食料危機が来るって本当?

2050年には90億人に

最近YouTubeを見ていると、食糧危機や食料備蓄の動画がやたらとおススメに出てきます。けっこうしつこく。再生数を見てもかなり回っているようで、YouTube運営側が農業に興味がある人へおススメしまくっているんでしょう。
おそらく化学肥料の高騰から危機感を抱いた農業YouTuberが発信しているんだろうなと思いましたが、あまり見る気になれずしばらく放置していました。

でも見ちゃうんですよね、結局。いま世間がどんなことに興味をもっているのか、農業界隈ではどんなことが流行っているのか、ある程度知っておいたほうがなにかと役立ちますから。

そんなわけで見てみました。いくつかの動画をチェックして、火種になったのが鹿児島県のアスパラ農家が出した動画であることも分かりました。その動画は50万回以上再生されています。コメントを見た感じでは生産者だけじゃなく消費者も見ているようです。

そのアスパラ農家さんはすごく真っ当なことをおっしゃっていましたが、ほかの動画では「ん??」と思うものもあり消費者の誤解を生まないか心配です。とはいえ何を言おうが自由ですから、あれこれ指摘するつもりもありません。僕の考えが正しいわけでもないですし。

今回は、本当に食料危機がやってくるのか、食料備蓄は必要なのかについて答えを出すというより、なぜこんな騒動が起こっているのかを冷静に分析してみます。これを見た農家が冷静になり、的確な行動を起こせることを期待しつつ書いていきます。

飛び交っている情報を整理してみる

食料危機、食料備蓄に関するいくつかの情報をまとめておおざっぱに言えば、問題なのは3点

①需要の増加

世界人口の増加、途上国などの食生活の変化によって麦・大豆・家畜飼料など穀物の需要が増加している。
それにより穀物を取り合う状況になり価格が高騰している。

②生産コスト増による農産物価格の上昇

石油・天然ガスやリン鉱石・加里鉱石など地下資源の高騰により、肥料・農薬・資材等の価格が上昇。
生産のためにかけるコストが増えるため、(現状は据え置いているが)販売価格が上がる可能性あり。

③供給の減少

窒素・リン酸・カリなど化学肥料はほとんどを輸入に頼っており、国際的な需要増加での買い負けにより必要量が確保できていない。
そのため生産に必要な化学肥料を使えず、収穫量が減少する可能性あり。

これらが引き金になって利益を出せない農家の大量離農が加速。日本の農業は一気に衰退するのではないか。だから今のうちに食料を備蓄しておきましょう。今からでも家庭菜園を始めましょう。いろんな動画を見てまとめれば、だいたいこんな内容になります。

YouTubeのみならず他のSNSを見ていても、現役農家がかなり危機感をもっていることが伝わってきます。実際に現場では、化学肥料が取り合いになってるという話を聞きます。価格が2倍以上になっていたり、そもそも手に入らなかったり、なんとかしないと来季の作付けが危ういといった焦り、怒り、混乱がひしひしと伝わってきています。

食料危機、食料備蓄を農家が叫ぶのは、おもには化学肥料が高騰・入手困難であること、経費がかさんで経営が傾きつつあることが要因のようです

肥料高騰が農家に与える深刻な影響

化学肥料の高騰は数年前から予兆がありました。この頃から危険を察知できていた農家は、もしかしたら一足先に対策を講じていた可能性はあります。でも、おそらくほとんどの農家はゆでガエル状態でいままで気付かなかったのだろうと思います。

化学肥料の価格(輸入品)の推移 日本銀行 企業物価指数を基にGD Freak!が作成

肥料価格が一気に跳ね上がったのが昨年の秋ごろ。JA全農は年2回、春肥と秋肥の価格を発表するので、半年に一度の衝撃がついにやってきたわけです。次は2022年の春。今年もまだまだ上がるとの予想もあります。

肥料費が膨れ上がることの恐ろしさを数字で見てみます。

農水省「 営農類型別経営統計(個別経営)」より作成

野菜作農家全般(平成30年)の経営費を平均したものですが

粗収益 868.7万円
経営費 532.0万円

—————————-
所得 336.7万円

肥料費は経営費532万円のうち約1割ほどで51.8万円です。
すごく単純化してみると肥料費が2倍になるという話ですから
51.8万円→103.6万円になります。約50万円の経営費増加。
経費が上がるだけで売り上げは変わりませんから、これは所得がマイナス50万円になるのとほぼイコールです。
今は原油価格高騰などの影響もあり農薬、燃料、梱包、資材も値上げしているので、下手すると経営費100万円アップも普通にあり得る状況です。
ということは、336万円あった所得が236万円に。。。恐ろしすぎます。

化学肥料の高騰は経費を圧迫し、利益減少に直結します。販売価格を上げる交渉ができる農家はほとんどいないでしょうから、売り上げが変わらずに経費だけが増えてしまう状況です。
しかも上がるのは化学肥料だけではなく、農業は石油など化石燃料に依存しているので、経費全体が膨れ上がることになります。
売り上げが変わらず、経費だけが上がる。同じことをやっているにもかかわらず所得が減るわけです。これが現実に起きつつあるのだから農家が「やばい!」と叫ぶのも分かりますよね。

ただし、食料危機は消費者目線で見た日本全体の話ですが、農家にとっては目の前が経営危機です。食料危機を訴えている場合じゃないのに丁寧に発信してくれている、そんな農家さんたちに頭が下がります。

じつは過去にもあった肥料高騰

平成24年度 食料・農業・農村白書
 総合的な食料安全保障の確立に向けた取組 より

2008年にも今回と同じように肥料が高騰したことがあります。図を見れば明らかですが、急激に上がり、そして下がっています。そうなんです。一年ほどで下がっているんです。その当時に言われていた肥料高騰の原因は、今回言われていることとほとんど同じ。穀物需要の増加や原油高騰によるものだと。そして高騰していった化学肥料が投機の対象になりさらに高騰が加速した。

これを踏まえて考えるなら、歴史が繰り返す可能性はじゅうぶんにあります。もしかしたら来年のどこかで価格が暴落して落ち着くかもしれません。

まあ楽観視はできませんので「きっとまた下がるよ」「今だけ我慢すれば乗り切れる」と思っていると痛い目にあうかもしれません。対策をしつつ、あとは神に祈るだけ、そんな状況まで持っていきたいものです。

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