【地域格差】平地の農業はやっぱり強い!都市・中山間地域で食える農家になるにはコレしかない!

あなたはデカいトラクターに乗って大規模な農業をやりたいですか?それとも面積は小さくてもいいから美味しさを追求していく職人的な農業をやりたいですか?自分がやろうとしている農業のカタチが、地域によって不利になるとしたら・・・どこでやるのかは非常に重要なテーマになってくるはずです。

というわけで今回は、地域類別統計を見ながら、地域による差がどれくらい収入に影響しているのかを見ていきます。

一口に農業と言ってもいろんなスタイルがあって、猫の額ほどの小さな面積でやっている農家もいれば、北海道のような大規模でドッカーンとやるような大規模農業もあります。さらには生産される品目も様々で、米や野菜はもちろん果樹や花、畜産もあってとにかくひとくくりにするのをためらうほど多様なスタイルを含んでいます。

そのように多様な中で、これから農業をやろうとしている人にとって「どれが稼げるの?」「どんな規模でどんな品目なら家族を養える?」と現状を知りたいと思うのは当然のことでしょう。

ではそのときに、稲作農家でものすごく大規模な20ヘクタールとか30ヘクタール、さらには100ヘクタールクラスの稲作農家と、1ヘクタールにも満たないような小さな稲作農家とを比較して、売上とか利益(所得)を見たところでまったく参考にならないことは容易に想像できます。

経営状態をしっかりと把握するときに見るべき指標は、時給ではないでしょうか。農家が1時間働いた結果、どれくらいの対価(収入)を得ているのかを知れば、規模によらない基本性能が分かりますから。

ですので今回も、時給という指標をベースにしながら統計データを読み解いていきたいと思っていますが、分類し比較していくのは3つの地域
宅地など可住地が周りにある都市的地域農業
林野率が高めな中山間地域農業
上記以外の平地でいかにも農業がしやすそうな平地農業

という地域の差を見ていきます。

農家である実家を継いでいくときには就農地を選ぶことはできませんから、その地域の特性を理解したうえで作戦を練っていくことは大切なことです。平地で農地がまとまっているなら大規模にどんどん生産量を増やしていくとか、中山間地域で獣害がひどく棚田のような農地ばかりで効率が悪ければビニールハウス栽培にしたり観光農園にしたりして人を呼び込んだりするとか、状況にあわせて経営を変えていく必要があって。

非農家で就農地を選べるなら、自分が思い描いている生き方、働き方に合ったスタイルでちゃんと稼げる地域に入ったほうがスムーズに目標達成することができるでしょう。

いずれにしても、まずは日本の農業の現状を知ることからはじめてみる。すべてはそこからです。

地域ごとに違う時給の差はどのようにして生まれたか

今回用いる地域類別統計表は、農水省のホームページからたどっていけば誰でも見られるようになっています。

農業地域類型別統計表

この表を隅々まで見ていくことはしません。一点だけ、「自営農業1時間当たり農業所得」つまり時給データだけ拾っていきます。

分類は平地、都市、中山間という3つの地域に分けられています。分類上の詳しい定義はもちろんあって、林野率がどうとか、可住地率がどうとか、耕地率がどうとか、そのパーセンテージによって都市なのか平地なのか等を決めています。ただ、それを詳しく知ったところでどうということもないので今回は割愛します。イメージで大丈夫です。

都市的地域と言われて頭に浮かんでくる都市農業のイメージ。北海道のようにひたすら一面が同じ作物で埋め尽くされている広大な農業をイメージさせる平地農業。山に囲まれて、獣たちに囲まれて、猫の額ほどの小さな耕作地をせっせと管理している中山間地域のイメージ。だいたい想像はつくでしょうから、そのイメージを使ってもらえれば問題ありません。

では実際に、地域別にどれくらい時給が違うのかをお見せします。平成29年のデータです。

この数字は、農業メインでバリバリやっている農家だけでなく、趣味的に小さく耕作している程度で販売もそこそこな農家も含みますし、会社勤めをしながら片手間に細々と米を作っているような兼業農家も含みます。だから専業でやっているようないわゆる主業農家だけの統計データに比べると、数値は低めになっていることは最初にお伝えしておきます。

都市918円に対して平地1,343円、中山間は1,025円。個々の農家のばらつきはともかく、地域による時給の差がはっきり出ていることが分かります。

平地の時給1,343円は高いと思いますか?大規模化すればするほど時給は高くなっていく傾向については、過去に別の記事でお伝えしています。

【統計】大規模農業ほど儲かる?小さな農家に生き残る道は残されているのか

平地の農業をひとくくりにしてしまうのは難しいんですが、10haくらいの規模で時給2,000円、20haを大きく超えるような経営をしている農家は時給4,000円を超えることもあります。ばらつきが大きいのが平地農業です。それを平均した数字が時給1,343円だと理解してもらえればだいたい合っていると思います。

一方、平地ほど規模拡大することが難しい都市的地域では、ビニールハウスのような施設栽培をしている農家が多いのか単位面積(10a)当たりの農業所得は3つの地域のなかでもっとも高くなっています。ただし時給は低め。小さな面積で効率よく稼ぐことができるよう工夫している農家がいる一方で、会社勤めしやすい環境にあるため兼業農家になる人が多いことが影響しています。

農業からの収入に頼らなくても生活できるということは、農業に本腰を入れて取り組まなくてもいいということ。片手間にやっている兼業農家が多いため生産効率は低くなり結果的に時給が低くなっているような気がします。

中山間地域の時給は、平地よりは低いものの都市的地域よりも高いという結果に。地域的に規模拡大しにくいですから平地の農業と張り合うことができないのは想像に難くないでしょう。斜面が多いので法面(土手)の管理にも無駄に時間をとられますし、近年では里山の崩壊などの影響もあり獣害がかなり多く出ているため対策費用が余計にかかってしまいます。それでも都市的地域よりも時給が高めなのは、本気で農業に取り組んでいる農家が多いからなのかもしれません。そこは救いでしょうか。

地域の特性を生かした農業を展開していく

国として稼げる農業を支援していくのは当然だと思いますので、大規模化していく平地の農業に目を向けて環境整備を進めたり、補助金・助成金を当てたりするのは理にかなっています。国際競争力を高めたり、食料自給率向上や食料安全保障を考えたりするときにも、平地の農業がそれを担ってくれるはずです。

じゃあ都市的地域や中山間地域は切り捨てていいのかというと、そんなことはないでしょう。国の支援対象になりにくいだけで、それぞれの地域に合った道はあります。

都市的地域の場合、その立地をやっぱり活用しない手はありません。それは大規模化しにくいから施設園芸を選ぶというようなものではなく、消費地が近いという利点を生かすということ。流通の面で有利になることがひとつ、そして消費者と交流がしやすいという点がもうひとつ挙げられます。

たとえば観光農園をやるのは分かりやすい例ですし、農業体験や食育・教育を事業化していくのも道すじとしてあります。地産地消を叫びやすいですし、農福連携をとりやすいのも都市的地域でしょう。消費者と生産者の距離が近いことの利点をうまく生かしていくと、それが意外と収入に直結してくる可能性があります。現状は平地の農業と同じような路線をたどって効率・生産性・価格面で勝てず疲弊している印象がありますが。地域性はしっかりと活かすべきだと思います。

あとはもう一つ、中山間地域なんですが、日本国の4割を占めている地域で多くの可能性を秘めているといえば誇張しすぎでしょうか。現状はお荷物のように語られることが多い地域ですが、日本の農業らしさはこの地域にこそあると思うのは私の勝手な思い込みです。

とにかく不利な面が多いのが中山間地域。獣害はひどいですし、交通の便も悪い。効率が悪い土地の形状だから生産性は低い。じゃあどうするかというと、やっぱり中山間地域のいいところを生かさなきゃいけないわけで。それはやっぱり豊かな自然なんだと思うんですよ。

棚田を観光資源にするのは分かりやすい例ですが、山林から生まれてくる有機物資源をうまく農業に利用するのも手です。農泊やったり農家レストランやったり、昼夜の寒暖差があるから美味しさが際立つと農産物のブランド価値を高めることも地域特性を生かした手法です。徳島県上勝町の葉っぱビジネスなどは自然を生かした成功例ですね。

住み分けと多様性がこれからの農業の鍵になる

食を支える農業の主流は平地にあるのかもしれません。効率よく生産できますし、大量生産できますから。けれども都市的地域や中山間地域が日本の農業のお荷物化といえばそんなことはなくて、地域性を生かした農業ができれば充分にやっていけますし価値あるものを提供できるはずです。

そしてそんな地域で農業をやるのであれば、自分自身の強みや弱みを理解しつつ、この地域の強み弱みは何だろうかと考えて、どんな品目がいいのかどんな農業をやったらいいのか、どんな規模でどんな経営をしていけばいいのか、あれこれと作戦を立てていく必要があります。

結局のところ作戦がすべて。現状を知り、頭を使ってまずは作戦を立てる。それから動き出す。たんなる平地農業の真似事をしているだけじゃ勝てません、それは統計データが示しています。

都市でやっても平地でやっても中山間でやっても、どこでやってもいいんです。けれども、大規模農業でやるんだったら平地でやるべきだし、小さな農業しかできないような中山間地や都市でもやり方によってはちゃんと食って行ける道があるわけで。農業には多様な業態、生き方、働き方があっていいんだとそれぞれの地域農業の在り方をみていくと、おぼろげながらそれが見えてくるのがおもしろい。参考にしてみてください。

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

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