有機農業するなら当然知っておくべき有機JASの秘密

有機JASに対する誤解はいくつかありますが、そのなかでも特に大きなものは
有機野菜だからといって無農薬とは限らない

という事実です。
これについては別の記事で詳しく書いていますのでそちらをご覧ください。

有機農業やるなら常識!有機野菜と無農薬野菜の違い

使える農薬があるとはいえ安全性については厳しい基準がありますので、食品の安全はある程度は保障されています。
ただ、世間の認識として
有機JAS = 無農薬で育てられた農産物
というイメージが強く法律に対する誤解がありますので、それは周知してもらう努力をするべきだと思います。
もちろん。
万人にとっての安全、絶対安全というのはありませんし、有機JASでの安全性も絶対安全はないという前提で定められていることは知る必要があります。


そんな有機JASですが、ほかにも知られていない誤解があります。
国際情勢とも関係がありますが、農業をやっていくうえでは知っておいたほうがいい情報です。
今回はそれをご紹介しようと思います。

 

有機大豆がアメリカ産??

先日、スーパーでいつものように買い物をしているとふだん目にしない納豆を見つけました。

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パッケージには「有機」という単語がたくさん並んでいて、有機JASの認証マークもしっかり入っています。
大豆の栽培から納豆の製造まで有機認定を受けていると書かれています。

ここまで見れば、
「あー有機JAS認証された有機納豆なんだな」
ということが分かります。

ところが。
パッケージの裏面、栄養成分表とか原材料名とか製造者名とか書かれているところを読んでみると意外なことが書かれていました。
私が引っかかったのは原材料名。

有機大豆(アメリカ産、遺伝子組み換えでない)

となっていました。

えっ?
と思われた方、いらっしゃいますか?
アメリカ産の有機大豆ってどういうことなのか。
有機JASというのは国内規格であり、日本のJAS法に基づいて定められたものじゃなかったのか。
アメリカで栽培された大豆に、日本の規格である有機JASが適用されるってどういうことなのか。


最初見たときにはまったく意味がわかりませんでした。
アメリカ産の大豆を使用しているのに有機JAS認証されている。
これは何を意味するのか。

今回はこのあたりの謎について詳しく書いていきます。

 

有機JASとは

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まずは有機JASとは何者かを理解しなければ話がまったく進みません。
別の記事で詳しく書いているのでそちらをご覧いただければいいんですが、ここでも簡単に説明しておきます。

有機JASはどんな農家にとって必要な規格なのか


有機JASとは、日本国の法律であるJAS法に基づいて作られた規格のことです。
JAS法・・・農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律
この有機JAS規格に適合するように育てられた食品に対してのみ、有機JAS認証が与えられ商品に有機JASマークを表示することが許されています。

つまり。
有機JAS法の基準を満たしていなければ、有機野菜と表示して売ることができないということ。
有機JAS規格に沿って栽培されていなければ、有機大豆と表示できないということです。


ちなみに。
有機JAS法について要約すると下記のようになります。
———-
【有機JAS法】
 化学農薬、化学肥料および化学土壌改良材を使用しないで栽培された農産物、および必要最小限の使用が認められる化学資材を使用する栽培により生産された農産物で、化学資材の使用を中止してから3年以上を経過し、堆肥等による土づくりを行なったほ場で収穫されたもの。
———-

さらに噛み砕いてしまえば、

農薬や化学肥料を3年以上使っていない畑で収穫されたもの。
ただし法律で認めている農薬もあります。

という感じです。

つまり。
食品に有機JASマークが貼られているということは、国内法である有機JASの規格基準を満たして合格しているということで、日本国のお墨付きをもらっている食品だということになります。

 

有機認証制度の同等性

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ではここで。
最初に紹介した有機納豆はどうでしょうか。

有機大豆(アメリカ産、遺伝子組み換えでない)

と原材料名に記載されています。
アメリカ産ということは、アメリカで栽培された大豆です。
有機JASというのは食品そのものを検査するのではなく、栽培過程や使用資材をチェックするための規格なので、輸入してきた大豆を検査しても有機JAS認証は取れません。
日本国内の検査機関が、アメリカの農場まで出向いていって、そこでチェックを行い認証する。
ということなら分かりますが、国内法にのっとって海外で検査をするというのは・・・ちょっと考えにくいですよね。
(実際はあるみたいですが)


日本人が海外で犯罪を犯せば、その国の法律で裁かれます。
日本人がシンガポールでゴミをポイ捨てすれば、シンガポールの法律で裁かれます。
日本人がアメリカでマリファナを栽培すれば、アメリカの法律で裁かれます。
国をまたいで法律が適用できるなんてことはあり得ないんです。

では。
なぜアメリカ産の有機大豆なんてものが存在するんでしょうか。
その答えは、有機認証制度の同等性にあります。
アメリカやEU諸国、カナダやオーストラリアなどJAS制度と同じような基準の制度を持っている国であれば、有機食品を輸出入することができるんです。
つまり。
日本のJAS制度と同等の制度がアメリカにあれば、アメリカの有機食品を日本に輸入することができるし、日本の有機食品をアメリカに輸出することもできるということ。
アメリカで栽培された大豆は、アメリカの有機認証制度によって検査合格すれば、日本へ輸入して「有機大豆」として販売してもOKだということです。


ご紹介した有機納豆の表記
有機大豆(アメリカ産、遺伝子組み換えでない)
が何を意味するのか、おわかりいただけたでしょうか。

 

有機認証は誰を救うためにあるのか

有機認証制度の同等性。
何やらきな臭い陰謀が見え隠れしているようですがそれはさておき。
アメリカ産の有機大豆という存在に怪しげな印象を持つのは私だけではないと思います。
有機JASというのは言ってみれば国のお墨付きです。
国が責任を持ってしっかりと管理監督するので、安心して食べてくださいという趣旨の法律ですから、その国を信じられない人にとっては何の意味もありません。

 

だから。
日本という国を信じられない人にとっては有機JASそのものに意味はありません。
アメリカという国を信じられない人にとっては、アメリカ産有機大豆はまったく信用できないわけです。
JAS制度と同等の制度を持っているからOK?
その意義はもちろん理解できますが、有機JAS大豆なら大丈夫だけどアメリカ産大豆はダメといった線引きは、いまのところ各個人が責任を持って判断すべきでしょう。

 

消費者は食の安全を求めています。
農薬の危険性とかそういったこともありますが、たとえ農薬を使っていたとしてもそれが安全だと証明できるなら満足できる消費者はたくさんいます。
消費者が求める食の安全とは、結局のところ安心が欲しいんです。
そして。
安心を提供するために必要なのは生産者が分かること。
どんな生産者がどんな想いで、どんな考え方やこだわりで作物を育てているのか。
生産者を詳しく知ることができれば、それは安心につながります。

遠く離れたアメリカで認証された食品。
そこに安心できる消費者はどれくらいいるでしょうか。
有機認証制度の同等性を知ったとき、有機というお墨付きを与えてくれることをどれだけ信用できるでしょうか。

生産者として、有機JASは何のためにあるのか、有機認証によって誰が救われるのかを改めて考えてみる必要がありそうです。

 

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

つづきはこちら

 

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