【コメと果物で天地の差】もらえる補助金に大きな格差あり。不公平とかじゃなく明確に理由あります

農業は補助金づけだとよく言われます。全体としてはたしかに大きな金額が動いていて、
予算ウン千億円のうち水田活用の直接支払交付金3000億円
これがわかりやすいですが、明らかにコメ農家(コメ麦大豆の生産)向けのものだよね・・・という補助金が多いです。

農水省の予算2.2兆円のうち3000億円はわかりやすくコメ農家に配られてるのが実態。それって均等に配られてないんですよ。基本的にはみんな平等なかよく均等になんかなりません。もらってる農家ともらってない農家がいる、それが現実です。

今回は補助金がどこに振り分けられているのか、稲作、野菜、果樹、花き、どこに多くのお金が流れているのかをざっくり解説していきます。

予算配分を知る意味

補助金が手厚いのは
国が保護したい
もしくは強化したいと考えているから

国民が飢えないように、豊かな食生活が送れるように、国際社会で生き残っていけるように、必要で配分しているからです。予算がつくということはその産業が必要とされている、伸ばすべきだと国が考えているということ。

それを理解したうえで、あえてそこに乗っかっていくのはアリだと思うわけです。ただしマクロとしてはそうなんだけど、ミクロ視点つまり農家目線ではちょっと注意が必要。

補助金には経営を安定させる効果がある反面、国に生殺与奪の権利を握られている怖さがあります。長い目でみればリスクなんですよ。あるとき突然スパッと切られたりして、地獄に突き落とされるなんて絵空事じゃないですから。

だから、これから新規就農する、どんな品目でやっていこうか考えている人は
今回のデータは参考になるはずです。

参考にするデータ

当サイトでは営農類型別経営統計をよく参考にしていますが、以前の動画では2021年のデータを引用していました。これだとコロナ真っ最中で補助金バンバン出ていた時期なので、平時の状況を知るには語弊が生まれる可能性があったんです。なので今回は2019年のものを引っ張ってきてます。

拾っているのは農業収入がメインの農家だけを集めたデータです。小規模だったり会社員としての給料が多い兼業農家は含まれません。ほぼ専業農家。統計データでは<主業農家>となっています。農業一本で勝負している農家の平均像が見えると思います。

統計データから拾ってきていますが、数字は丸めて分かりやすいようにしています。「共済・補助金」としてまとめて記載してあったため共済などの保険も含まれてますが、おおざっぱな傾向は読めるかと思いますのでご安心ください。

所得が500万円あったとき、そのうち補助金は●円なのか■%を占めているのか
こまかい数字の整合性は無視して大きな傾向だけ読み取ってください。

●野菜作(露地・施設)


野菜作全国平均 ぜんぶまとめて
合計所得:500
補助金:125
★所得全体に占める補助金の割合:25%
露地 小規模では20%程度だが大規模になると50%に近づく
施設 小規模では20%程度だが大規模になると10%に近づく

●果樹

合計所得:500
補助金:50
★所得全体に占める補助金の割合:10%
小規模では5%程度だが大規模になると20%に近づく

●花き(露地・施設)

花卉・・・(卉は草の意味)草花、観葉植物も盆栽なども含む
合計所得:500
補助金:10 
★所得全体に占める補助金の割合:5%
規模によらず5~10%程度
施設よりも露地でもらっている傾向があるのは野菜と同じ

●水田作 米以外にも転作で麦や大豆をやってる

合計所得:500
補助金:500
★所得全体に占める補助金の割合:100%
規模によらず100%程度

分析してみると

おおまかな傾向としては国が保護したいところに予算がついている印象です。国民が飢えないように、豊かな食生活が送れるように、国際社会で生き残っていけるように、いろんな側面はありますが

食料安全保障上、大事な品目は手厚く保護されている

ということで米は最重要、そのつぎに野菜、果樹や花卉は安全保障の観点からは低めになってます。

補助金をどの視点から眺めるかによって見え方が違ってきます。現場の視点からみれば「米ばっかり補助金をばらまきやがって!」ですし、国の視点から見れば「国民を守るための安全保障が第一」で振り分けられてますから。

それはさておき、もらえるならもっと欲しいとおねだりしたい気持ちはわかるので、

自分は露地野菜でけっこう大規模でやってるんだから本来ならもっと補助金がついてもおかしくないのでは?

とか

うちは稲作メインだけど補助金ほとんどなしでも成り立っている
けっこうイケてるんじゃね?

とか経営を客観視するときの参考にしてもらえたらと思います。

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

つづきはこちら

 

関連記事

  1. 【農業のキホン09】目的に合わせてポリマルチを使い分けよう

  2. 【農業版ISO】GAPって何?認証は取ったほうがいいの?

  3. 【規制緩和で困惑】ロータリ装着したトラクターの公道走行が可能に。。。えっ?今までも走ってたけど?

  4. 【農林業センサス2020】農業者40万人減ったら日本の農業はオシマイなの?

  5. 【ボトルネック】そのトラクター本当に買っていいの?昔からあるテッパン弱点克服法

  6. 【特権】農家に認められた特例中の特例「農家住宅」は活用しないと損