隣の芝生は青く見えるというか、他人の財布の中身は気になるというか、農家の収入ってどれくらいなのか気になりますよね。まだ農業を始めてない方であれば自分がどれくらい稼げるようになるのか指標になるし、すでに始めている方であれば自分の偏差値がわかる。平均値は知りたくなるものです。
けど収入って農家によってバラバラなんです。同じ品目でも面積が10倍違えば収入だって大きく違うし、産地を形成している地域は全体的に農業が盛んで強いけど、そもそもJAが弱いところは農家も恩恵を受けられないわけで。単純な比較や平均にはあまり意味がありません。
とはいえ同じ農業という枠の中で戦っていることには変わりないので、耕作面積が農家によって違うなら単位面積(10a)当たりの数字を出せばそれなりに比べることは可能です。そこからさらに労働時間1時間当たりの収入、つまり時給に換算した数字を指標にすれば、1人農業なのか雇用して10人でやっている農業なのかに関わらず生産性・収益性が測れます。
ということで今回は農家って時給いくらで働いているの?という疑問に答えていきたいと思います。あくまでも平均ですが「医者や弁護士は時給がかなり高いけど農家ってどうなの?」「農業っておカネ的に魅力ある仕事なの?」にひとつの答えを示してくれるはずです。
目次
結論
農業全体でみても稲作、野菜、果樹など分野別にみても、時給に換算すると1000円にも満たないのが現状です。こまかく見ていけば、たしかに大規模農業ほど稼いでいるし時給は高くなる傾向にありますが、受け取っている補助金もけっこう大きく依存体質な不安感はぬぐえません。
露地野菜では
農林水産省の統計データには「営農類型別経営統計」というものがあり、農家の経営状況についての細かい数字を集計してくれています。
売上、所得、経費、労働時間などの内訳を品目ごと地域ごと規模ごとに分類してあるので、平均とはいえある程度は意味のあるデータだと言えるでしょう。
試しにデータから「露地野菜」「2-3ha規模」「都府県」と絞り込んで抽出してみると、
「露地野菜作主業経営(母数248農家)面積260a」
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売上1630万円、経費1386万円、本業の所得244万円
共済・補助金175万円、合計所得419万円
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このような経営状況が浮かび上がります。これを家族2.78人、雇用2.37人の計5.15人(5600時間)でたたき出しています。
つまり「露地野菜」「2-3ha規模」「都府県」の平均的な農家像は「年間5600時間労働」で「420万円稼いでいる」ということです。
これって時給に換算すると750円。共済・補助金を除いて計算すれば時給436円です。最低賃金にすらまったく手が届いてないですね。
現実を知る
時給に換算して1000円にも届かないのが平均的な農家像。それが現実です。従来からのやり方に従って、先輩農家や指導員、地域農家に倣って同じようなことをすれば、このような数字に近づいていくということです。
逆に言えばフツウを疑い変えることで、もっと効率的に大きく稼げるかもしれないし、変化が裏目に出て生活が成り立たないほどの稼ぎしか得られないかもしれません。
大事なのは、変化を恐れないこと。現状を変えたいなら現在の立ち位置と目標地点との差を知ることと、そこへの道すじをつくるために平均値を知ること。練った作戦の実現可能性を探るためにも、一般的なラインを把握しておきたいものです。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・