農家なら借金が怖いという思い込みを捨てよ

僕は借金が怖いです。できればしたくないです。同じ感覚の方はきっと多いでしょう、というかほとんどがそうじゃないかと思います。これが普通の感覚だとは思いますが、一人前の農家として事業を大きくしていきたいなら、考え方を180度変える必要があります。

もちろん生活費が赤字で回らなくて借金しているとか、ギャンブルに突っ込んで大やけどしているとか、家計での借金はないほうがいいです。家や車など高額の買い物でローンを組むのも返済計画がしっかり組まれているならいいと思いますが、ないに越したことはありません。

ですが事業としての借金は別の話です。積極的にしたほうがいい。借りられるだけ借りたほうがいい、それが一般的な答えです。僕個人の考えではなく。企業経営者、税理士、中小企業診断士などの専門家で「借金をするな!」と声を荒げる方はほとんどいないはずです。

それは端的に言えば<借金は利益を前借りして成長を加速させるもの>だからです。事業をするというのはお金を何かに使って、それに付加価値をつけて売り、元手を増やすこと。100円でタネ・肥料・農薬等を仕入れて、手をかけて育てた農産物を200円で売る。100円に付加価値をつけて200円で売ることで100円の利益を生み出す、それが事業です。

利益(100円)=売上(200円)-経費(100円)

今度は残った利益100円を元手に材料を仕入れ、200円で売って100円が残る。この繰り返し。これだといつまでたっても残る利益は大きくなりませんよね。でも借金をして手元に1000円を用意できればどうでしょうか。いきなり1000円で仕込んで2000円を生み出せます。借りた1000円を機械に投資すれば100円で仕入れて300円で売るなど大きく付加価値をつけられるかもしれません。

つまり、事業における借金は「投資」として使うと活きるということ。どこかの投資商品を買ってもせいぜい数%程度の利回りですが、自分の事業に投資すれば数十%、うまくいけば数百%の利回りだって可能です。

これが生活のための借金との違いです。生活費としての借金は「浪費」であるのに対して、事業つまり農業で借金するのは「投資」になりえます。借金が悪いものではない理由がここにあります。

心配しなくても中小企業の3分の2は金融機関から借金をしています。当たり前のことなんです。事業拡大期はとくに先に出ていく経費がどんどん膨らむので、資金が枯渇しがちです。そんなときに借金してでも手元に余裕資金をおいておくことは、事業拡大の大きな力になります。

僕は就農当初、このことを知りせんでした。だから軌道に乗せて安定期に入るまでの5年間はお金の工面にかなり苦労したのをはっきり覚えています。今なら迷わず借金しますけどね。

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