有機栽培・有機農法の栽培公開は農家の心意気

有機農業をやっている有機農家。
有機じゃない農家も一部そうなんですが、自分の栽培方法や使用している肥料などの資材を、惜しげもなく公開している有機農家ってすごく多いと思いませんか?
ある意味では企業秘密のような要素も含んでいるところまで、おおっぴろげに公開している。
そこまで見せてしまっていいの?
そんなところまで教えてしまっていいの?
というところまで情報公開している有機農家が、けっこういます。
それがなぜか、分かりますか?
分からないと先輩農家には勝てません。
先輩農家の戦略を知らなければ、彼らを超えていくことはできません。

もし彼らに勝ちたいのであれば。
彼らと対等に戦っていきたいのであれば。
先輩農家がなぜ情報公開しているのか、その理由を知る必要があります。

 

お客様の興味は商品にしか向いていない

先輩農家の戦略を知る前に、まずは言葉の説明をさせてください。

有機野菜、有機農産物、有機農業、有機農法、有機栽培
というふうに有機とつく言葉はたくさんあります。
似ているようで全く違う、そういう言葉が並んでいます。

このブログを見ていただいているみなさんはおそらく農業に興味があると思いますので、上記のような言葉の違いについては説明するまでもないでしょうけど、いちおう簡単に書いておきます。

有機野菜、有機農産物・・・商品

有機栽培、有機農法・・・製造法

有機農業・・・業種、ジャンル

大きく分けるとこのようになります。

このことは、ほかの商品を例にするとよく分かります。
たとえばブログ。
日用雑貨を取り扱って販売しているショッピングサイトがあったとして。
そのブログがワードプレスというツールを使って作成されていたとしたら。
日用雑貨・・・商品
ワードプレス・・・製造法
ショッピングサイト・・・業種、ジャンル
というふうに整理することができます。

もうひとつ例をあげておくと。
松平まんじゅうという和菓子を、ふるさと本舗という会社が製造・販売している。
この場合は、
松平まんじゅう・・・商品
ふるさと本舗独自の製法・・・製造法
和菓子・・・業種、ジャンル
というふうに整理することができます。


二つしか例を挙げていませんが、世の中にある商品について製造法を詳しく知りたいと思う商品はそれほど多くないんです。
日用雑貨を買いたいと思ってショッピングサイトを見て回る人は、ワードプレスというツールには興味がありません。
松平まんじゅうを買いたいと思っている人は、そのまんじゅうが作られている製法に興味があるというよりは商品そのものの味に興味があります。

自動車にしてもテレビにしても、映像コンテンツや音楽にしても、衣類や医薬品にしても。
ほとんどの場合、製造方法には興味がないんです。

 

製造方法を公開するのはこだわりを伝えるため

弾痕
(画像参照:朝日医療専門学校岡山校 教員ブログ

そんななか。
ごく一部で、製造法を前面に出していることがあります。
たとえばラーメン屋。
ラーメン屋では、どんな材料をつかっているとかどんな製麺方法をとっているとか、ラーメンという商品をつくりあげるまでの材料や製法を公開していることがあります。

パン屋もそうですね。
国産の小麦を使っているとか、天然酵母を使用しているだとかこだわりを伝えているところがあります。

それはなぜかというと。
商品が完成するまでの物語や独自のこだわりをお客様に知ってほしいから。
食べる美味しさだけではなく、知ることによって美味しさが増すことを知っているから。
他との差別化を図るために、あえて情報を公開しているんです。

農業についてもこれと同じことが言えます。
農法を伝えたり、使用資材を公開したりするのは、こだわりを伝えたいからなんです。
自分なりのこだわりを伝えることで、お客様に美味しさを感じてほしいから。
もしくは安全性をアピールして安心して食べてほしいから。
だから惜しげもなく情報を公開するんです。


材料を明かしたり、製造方法を見せたりするなんて、製造業では考えられないことです。
場合によっては企業秘密なところもありますから。
それが農業では秘密が少ない。
まったくないとは言いませんが、他の業界に比べると明らかに少ないです。

それはおそらく。
植物工場のようなところを除けば、たいていは外から丸見えの状態で生産を行っているから、隠しようがないという事情が大きいんでしょう。
壁がなく、もともとオープンな環境で生産している農業だからこそ、製造方法の公開にはためらいがないのかもしれません。
むしろ秘密にできない、と言ってもいいほどです。
隠したくても隠せない。
そういう事情が農業にはあります。

 

有機農家がとっている情報公開戦略

とはいえ。
隠しきれないことを差し引いても、情報公開に積極的な農家がいることは事実です。
聞かれてもいないのに資材を公開したり、体験や見学会を開いたり、栽培方法を明かしたり。
私生活をさらけだす農家もいます。
なぜこんなに積極的なんでしょうか。
それはさきほど書いたように、安心して食べてほしい美味しく食べてほしいと思ってるから。
生産者を知ることで消費者にとっては安心につながることを分かっているから。
資材や栽培方法の公開を望んでいる消費者がいるから。
すべてを知って安心したうえで野菜を食べたい消費者がいるから。
それらを叶えるために、すべてをさらけだす農家もいるということです。

有機農家がとっている情報公開戦略。
それは
すべては食べてくれる人のために
という想いの上に成り立っています。

食べてくれる人のために情報をさらす。
あなたにはそのような覚悟がありますか?
情報を公開しなければ農家失格というわけではありませんが、オープンな農家とクローズしている農家がいれば、消費者がオープンな農家を選ぶことは明白です。
有機の世界にはそのような農家がたくさんいます。
あなたはそんな世界で戦うことができますか?

 

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

つづきはこちら

 

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