オレのつくった米はうまい!
と言っている農家がいます。
誰か特定の人を指しているのではなく、けっこう多くの農家さんが自分のつくった農産物に自信を持っています。
ほんとに。
多いんですよ、うまいから食ってみろ!的な人が。
でも。
本当に大切なのは、自分にとって美味しいことではありません。
自分の商品を買って食べてくれるお客様が美味しいといってくれること。
これが最も大切です。
さらにいえば、お客様が満足するのはなにも味だけではありません。
今回は、このあたりの話になります。
参考になれば幸いです。
目次
お客様は味だけで評価したりしない
はっきり言っておきますが、農産物の価値は味だけで評価できるものではありません。
味は数ある評価基準のなかのひとつにすぎません。
大事なことは。
つけられている価格に見合った味かどうか。
その価格と品質でお客様が満足できるかどうか。
これに尽きます。
単純な味の絶対値だけでモノの良し悪しを計るのは自己満足農家がやることです。
味も含めて商品の価値を決めるのは、農家自身ではなくそれを購入した人たちでなければいけません。
たとえば。
二つの農家がそれぞれ育てた10kgのお米があるとします。
1.味70点で3,000円のお米
2.味100点で10,000円のお米
どちらを食べて満足するかは、食べる人によります。
一万円払ってでも美味しいお米を食べたいという人もいれば、味はそれなりでもいいのでとにかくたくさん食べたいという人は1番の70点米でも満足できます。
食べる人によるんです。
じゃあもし。
A.味70点で3000円の米
B.味100点で3000円の米
このように価格は同じで味に差がある2つのお米があったとして。
全員が100点のお米を選ぶと思いますか?
同じ価格なら美味しいほうを選ぶでしょ。
と思われますか?
残念ながらそれは違います。
もしかしたら多くの人はBの美味しいほうを選ぶかもしれませんが、100%ではありません。
Aを選ぶ人だっているはずです。
なぜかというと。
そのお米を買ってくれたお客様が満足するかどうか。
という点が重要だからです。
たとえ70点のお米であっても。
そのお米をつくっている農家がどんな人たちで、どんな想いで愛情をかけて育てているのか、どのようなこだわりの栽培をしているのか。
その商品についてくるストーリー、背景を含めて商品を提供したときに、
「あーおいしい、私にとってはじゅうぶん満足だ」
とお客様が言ってくれるなら、たとえ他にもっと美味しい100点のお米をつくれる農家がいたとしても70点の米は素晴らしい商品です。
しっかりと売れる農家は優秀
そもそも。
農家が優秀であるかを決める最も大切な要素は、商品の味ではありません。
美味しければ優秀な農家、というわけではないんです。
お客様が満足することが重要だ、という視点に立てばどんな農家が優秀なのか見えてきます。
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水も空気も澄んだ人里離れたところ、自然豊かな山間で元気に育てられたお米を皆様にお届けします。
天日乾燥して旨みをぎゅっと閉じこめた、農薬を使わないで手塩にかけて育てた有機栽培のお米です。
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そういうアピールやストーリーを抱き合わせたイメージ戦略を打つことは、農家のみならず販売者であれば当たり前の売り方です。
それによってお客様の想像力を刺激してお米が美味しく感じられるのであれば、そのお米はたいへん評価の高いお米だということになります。
本当はそれほど美味しいお米ではないとしても。
お客様を満足させられるものが素晴らしいのであれば、農家を評価する指標は商品の味ではありませんよね。
農家を評価すべき指標、なんだかわかりますか?
それは、利益です。
どれだけの人に支持されていて、どれだけの人が満足しているか。
つまりはどれだけ売れたか。
どれだけ利益をあげたか。
これこそが商売をしている農家を評価するべき指標です。
じゃんじゃん売れて利益が出ている農家というのは、たくさんのお客様が満足して買ってくれる優秀な農家です。
手間暇かけて120点の商品をこしらえたとしても、それを買ってもらえなければその農家は優秀ではないんです。
それを、多くの農家は味さえよければ売れると思っています。
いいものを作るから売れる、じゃないんです。
逆です。
売れるということはいいものを作っている。
味も含めた品質、商品のよさというのは他人に評価されて初めて生かされるものです。
たくさん売れるということは、それがいいものだと評価されたということです。
ものすごいたくさん売れているマクドナルドのハンバーガーは100点をつけられる味ですか?
味以外のいろいろな付加価値をつけているからこそ、たくさんの人が欲しがり、たくさん売れるのではないですか?
求めるべきは顧客満足
味で語る農家は二流。
と言っておきましょう。
栽培ばかりに目が行って販売がおろそかになっている可能性があるからです。
趣味でやっている農的暮らしならまだしも、それを生業としている農業では売れなければ評価されません。
あなたがやらなければいけないことは、味を追求することではありません。
売れるにはどうしたらいいのか。
自分の商品を手にとってくれた人を満足させるにはどうしたらいいのか。
考えるのはそこです。
いろいろと手を打つ、そのうちのひとつとして栽培による味の追求があるなら、それは正しいと思います。
参考になれば幸いです。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・