自然農法、自然栽培を名乗る農家は二流以下

安全な野菜を食べたい。
もしくは食べさせたい。
と考えている人はたくさんいます。
食に対する安心をおびやかすような事件が世の中にあふれかえっているので、安全なもの安心できるものを手に入れたいという気持ちはすごくよくわかります。
そういう動きのなかで、
無農薬で育てられた野菜を提供したい。
無農薬のお米をたくさんの人に食べてもらいたい。
と思っている農家がたくさんおられるのは当然のことです。

実際は、無農薬だから安全だと言い切れるものではありませんし、農薬を使っていても安全だという見方もできます。
20世紀の本当にヤバかったときの農薬事情をいまだに引きずっています。
 

でも。
それでもやっぱり無農薬がいい。
安全だって言われてもやっぱり農薬は怖い。
農薬がかかっていない安全な食品を世の中に広めていきたい
というのが、有機農業で新規就農したい人の意見だと思います。
そういう気持ちは大切です。

 

じゃあここで。
ひとくちに有機農業といっても様々な農法がありますよね。

自然農法、自然栽培、自然農、炭素循環農法、バイオダイナミック農法・・・。
どの農法を採用したらいいのかについて、あらためて考えてみます。
なんとか農法という看板を背負って新規就農することがなにを意味するのか、これを読んでいただければ農法に頼らないでがんばっていこうと思えるはずです。

ぜひ最後までご覧ください。

 

農法とはなにか

そもそも農法とは何かといえば、
自分の栽培方法は素晴らしい!
これを世の中に広めてたくさんの人に知ってほしい!
と考えた人が、自分のやり方に名前を付けた。
その人独自の栽培という意味で●●農法と名前がついているんです。


このことを分かりやすく説明します。
料理の世界でいえば
和食、イタリアン、フレンチ、中華、インド料理
といったようなジャンルは、
慣行農法、有機農法、減農薬栽培
といった大きな分類に当たります。


また。
フレンチというジャンルの料理を提供している△×●というお店がある。
というのは、
有機農法というジャンルの野菜を提供している■凹◎という農園がある。
ということと同じです。
飲食店のそれぞれの店舗が、ひとつの農家と同じだと思ってください。

さてここで。
レストランのなかには、チェーン展開しているようなお店があったり、のれんわけや支店を出したりしているようなところがありますよね?
こういうレストランが農法と同じなんです。
たとえば自然農法というレストランがあって、本店は農法を提唱した岡田茂吉氏が経営している。
支店は、自然農法で育てています!と言って野菜を販売している農家。
ということです。
本店・岡田氏と、支店・農家。
ここに直接的な金銭のやりとりは一切ありませんから、のれんわけと言ったほうがしっくりくるかもしれません。

本店と支店


では。
あなたが自然農法で作物を育てたい、と思ったときにどうするかといえば。
自然農法を実践している農家で研修を受けたり、自然農法を教えてくれる機関で勉強したりして、それから就農します。
新規就農したら、
自然農法の米を育ててます!
と謳って自分が育てた農作物を販売していきます。
その行為、農法を謳って販売するということが一体なにを意味するのか、ということを考えてみます。

 

消費者にとって農法は重要な要素ではない

農家と農法の関係は、食事に行くときのことを想像すると分かりやすいです。

消費者の立場に立ってみてください。
あなたがランチやディナーをお店で食べようと考えたとき、どのような手順でお店を決めますか?
おそらく。
まず最初にジャンルを絞り込むのではありませんか?
和食がいいのか、フレンチがいいのか、それともイタリアンなのか。
食事をする相手のことを考えながら、単なる食事なのか記念日なのかなどを考慮して、
今日の食事はイタリアンがふさわしい、って決めます。
それで。
イタリアンを食べようと決めて、それから予算に合わせて、地域を絞って、定休日や営業時間をチェックして、お店を決めますよね。
農作物を販売している農家を選ぶときもそれと同じなんです。

まず最初に、ジャンルを選びます。
いろいろと調べてみたけれど、農薬は使っていないほうがいい気がする。
ということで有機農法の野菜を買おうと決めます。
まずジャンルを決めるんです。
で、そのあとで細かな要望を反映させていきます。
住んでいる地域から近いところの農園で、月一万円くらいを予算として考えている。
美味しいほうがいいけれど、やっぱり安全性にこだわっているところから買いたい。
農園運営者が信頼のおける真面目な人だといいなぁ。
といった要望で、購入する農園を絞り込んでいきます。
人によって要望は違いますよね。
味にこだわるとか、農園の雰囲気で選ぶとか、土つき野菜がいいとか、明るくて話好きな農園主から買いたいとか、安定して見た目がきれいな野菜が欲しいとか。

外食をするときにお店を絞り込むように、農作物を購入する農家を絞り込むんです。

じゃあ。
その農作物を提供する立場である農家はどのようなことをアピールしなければいけないのか。
農法がアピールポイントになるのかどうか、考えてみましょう。

 

 

農法を語る農家は支店にすぎない

本店と支店2

農法は、その農家が実践した栽培方法を体系的にまとめたものです。
各地でナントカ農法の作物を育てている農家は、あくまで支店にすぎません。
支店だから粗悪だとか言うわけではありませんし、支店だろうが本店だろうが関係ありません。
どんな品質のものを提供できるのか
どんなサービス、安心を提供できるのか
だけが重要です。

 

ココ壱本店
カレー屋をやりたいと思ったときに。
自分オリジナルのカレーを提供したいと考えて独立するオーナーと、ココ壱番屋のフランチャイズチェーン店としてオーナーになる人がいます。
一から独学で勉強して開業していくのは大変だから、ココ壱番屋で働きながらスキルを身につけて、ココ壱番屋の名前を借りてカレー屋を開く。
それは独立への近道であることに違いありません。
それが悪いということでもありません。

 

自然農法とか自然栽培といった農法を看板にして自分の農産物を売るのは、

ココ壱番屋のカレーライスだから安心
みんなが評価している店だからそこそこ美味しいだろう

というお客様の安心を当てにして商売をしているようなものです。
安定して売れる材料になるとは思いますが、それだけのことです。


農家は100あれば100通りの農法があるのに等しいんです。
それぞれの農家が、自分に合った自分なりのやり方で野菜を育てているなかで、●●農法という看板を借りて支店として営業している農家がいる。
というだけの話です。
地元で評判のカレーライスを出しているお店もあれば、ココ壱番屋の名前を使ってカレーライスを出しているお店もある。
それだけのこと。

でも。
両方のオーナーを比べてみてください。
自分で味を追求して独自のカレーライスを生みだす地元の評判店のオーナー。
ココ壱番屋のメニューに従って、その味をきっちり再現するために力を注ぐオーナー。

どちらのお店で食べたいですか?

厳しい言いかたをすれば。
●●農法で野菜を育てています!
と宣伝している農家は、自分の栽培に自信がないから本店のネームバリューを借りているだけの、頼りない農家だということに気づいてください。

それでも農法をウリにしたければ別にかまいませんし、そっちがいいと思われる方もたくさんいるはずです。
どちらを選ぶのかは、あなた次第です。

 

 

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