農家が価格決定権を持つのは当然の権利?

当然のことながらモノには値段という価値があります。
サラリーマンやアルバイトなど給料をもらう立場として働いていると気づきにくいですがこの値段、いったい誰がどのようにして決めているのでしょう。
まさかサイコロを振って出た目で決めるわけでもないでしょう。
今回は自分の商品に値段をつける、という話です。

農協や市場に農産物を卸す場合、たいていは自分で値段をつけることはできません。
農産物を出荷して、それが市場に流れていって、売れてみてはじめていくらだったのか知ることができるわけです。
セリによる価格の決定ですね。
産直のような直売所だと自分で価格を決めることはできますが、他の生産者がつける価格にある程度あわせる必要があります。
高くしすぎると売れないけど、安くしすぎると利益が薄くなる。
直売所は趣味で野菜をつくっているような道楽農家と競争することが多いので、専業農家が出品したとしても低価格に苦しむことが多いようですね。
 

売りたい価格で売る

農協や直売所に農産物を卸すのではなく、自分でお客様をさがして売っていくような経営をするとします。
直接お客様から代金を頂く場合、当然ですが自分で商品に値段をつけなければいけません。
会社から給料をいただく形で生活しているサラリーマンから転身して就農したときに困るのは、この価格設定ではないでしょうか。
この野菜はいったいいくらにしたらいいの?
というのは誰しもがかかえる悩みのタネだと思います。

結論から言えば
売れる値段で売る
ということですが、適正価格を外すと売れないので自分が希望する値段をつけられるとは限りません。
大根1本1000円で売りたいと思っても、さすがに買う人いないでしょう。
ナス3本2000円とかもムリ。
本来であれば、生産経費や人件費などのコストを計算して利益が出るように価格設定するのが通常です。
なかには米を5kgで15000円とかつけて売っている農家もいますが、これだって労働コストを考えたうえでの価格設定ですので、ある意味では適正価格なわけです。
 

商品の価格は買い手が決める

そもそも、価格というのは需要と供給のバランスによって決まります。
需要が供給よりも大きければ、商品が出回る量よりも欲しい人の数のほうが多いですから、価格は上がっていきます。
逆に供給のほうが需要よりも大きければ、商品がだぶつくわけですから売る側は必死になって売ろうとする、つまり価格は下がっていくわけです。
だから、もしあなたがつくったキャベツに何か特別な価値があって、どうしてもそのキャベツを欲しいという人が殺到するなら、べつに1000円という価格をつけても問題ありません。
あなたのキャベツを欲しがる人があまりいなければ、なんとしても売りきってしまいたいあなたはキャベツの価格を100円にして売りさばくかもしれません。
同じキャベツなのに1000円のときもあれば100円のときもある。
これってコスト計算がうんぬんの話とはまったく関係ないですよね。

マグロの競り
似たような話で大間のマグロの初競りがあります。
青森県大間のマグロといえばマグロ好きじゃなくても知っているくらいの一級品ですが、ふだんは大物でも一匹数百万円ほどのマグロが、初競りのときには過去に一億五千万円という価格をつけたことがありました。
とくに大物というわけではないマグロに、ですよ。
同じマグロなのに、初競りという付加価値がつくことで価格が一気に跳ね上がる。
そこには経費がどうとか労働コストがどうとかいった話は全く出てきません。

そうなんです。
商品の値段は、買い手が決めるものなんです。
自分がつくった農産物は、自分で値段をつけて売らなければいけない
と思っていたのは間違いだったということです。

強気に攻める価格設定

おカネ
自分で値段をつける必要はないんです。
あなたの商品を買ってくれた人が教えてくれます。
まずはキャベツを300円で売ってみて、ほとんど売れないようであればその価格設定は間違っています。
次に200円で売ってみる。
そうすると売れるようになってきた。
試しに100円で売ってみたところ、あっという間に完売してしまった。
これで100円は安すぎる、でも300円は高すぎる、200円くらいがちょうどよい価格なのではないか、ということが分かってきます。
適正な価格はお客様が教えてくれます。
あなたがもし、自分の商品にどのくらいの価格をつけておくのがよいかわからないのであれば、まずはとりあえずでいいので価格をつけて売ってみることです。
テスト期間を決めて、自分が想定している価格よりも高いところから始めてください。
最初から低い設定はやめてください。
なぜなら、価格を下げるのは簡単だけど、価格を上げるのは非常に難しいからです。
最初のころは自分の育てた農産物の品質に自信を持てないかもしれませんが、それはプロ目線で見てよくないだけで、素人目線で見れば立派な価値を持った商品です。
自身を持って、勇気を持って高価格設定をしましょう。

 

 

 

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