いいモノを作れば売れる!は農家の間違った思考

すでに農業を仕事にしている人はもちろん、これから農業を始めようと思っている人でも

イイものを作りたい

と考えています。
栽培にこだわり、とにかく美味しいものを作りたい。
日本一の美味しい米を育てたい。
モノづくりに魅力を感じて就農した人であれば間違いなく考えることだし、そのようにこだわりを強く持つことは悪いことではありません。

ですが。
栽培にこだわる人がここで同時に

イイものを作れば売れる

と考えています。
イイものを作っていれば世間に評価されて勝手に売れていく。
高く評価されれば高く買ってもらえる。
と考えるんです。

私が今回指摘したいのはここです。
イイものを作れば売れる。
これは間違いです。
もちろん。
イイものであれば売れる、という可能性は否定しません。
でも。
商品が素晴らしいことと、商品が売れることは必ずしもイコールではありません。
商品がいいのにまったく売れない。
こんなことはよくあります。
なぜでしょうか?

今回は。
農家にありがちなイイものは売れる思考の間違いについて詳しく書いていきます。
ぜひ最後までご覧ください。

 

イイものとは誰にとってイイものか

栽培のことばかりを考えている農家は、商売における大切なポイントを押さえていません。
それは。
商品の価値を決めるのはお客様
だということ。
商品が売れないということは、その商品は世の中に必要とされていないということです。
いくら自分自身で素晴らしいものができたと思っていても、それはお客様に評価されてはじめて価値を持ちます。
お客様が「この商品を買いたい」と感じることがなにより大事。
商品の価値はお客様が決めます。
そして。
買ってくれたということは、その商品はお客様にとってイイもの。
たとえば、このとき買われたのが100円の商品だったとして。
もっと高品質な1000円の商品がそばにあったとして、それでもお客様が100円のものを選んだということは、そのお客様にとってイイものが100円商品だったということです。
イイものを作れば売れる、と考えている農家は1000円の商品だけが売れると思っているから栽培にどんどん力を入れますが、どんな商品に価値を感じるかはお客様次第なんですよ。
安くても、品質が劣っていても、それに魅力を感じて買ってくれるお客様がいるなら、その商品はイイものだということを知ってください。

もっといいものを作れば売れると言っている農家は、ここが見えていません。
イイものとは誰にとってイイものか、明確になっていないんです。

 

AKB48ロゴ

ひとつ例を挙げてみます。
アイドルグループにAKB48というグループがいます。
このAKB48がリリースした数々のCDは、ほかのアーティストの追随を許さず圧倒的なセールスを誇っています。
10万枚売れたら大ヒットというご時世に、100万枚を超えるような販売枚数ですからまさに桁違い。
めちゃくちゃ売れています。

では。
AKB48の曲はイイ曲かというと、じつはそうとも言えないところがあります。

もっと歌唱力のあるミュージシャンは山のようにいますし、楽曲メロディが特に素晴らしいわけでもありません。
イイものだから売れている、というのであればAKB48よりも売れて当然のアーティストはたくさんいますし、CD売り上げランキングでAKB48がここまで上位を独占することはないはずです。

もし歌唱力がよければ売れるのなら、抜群の歌唱力をもつSuperflyボーカルの越智志帆さんはもっと評価されなきゃおかしい。
Superflyが出す曲すべてが大ヒットしてなきゃおかしいんです。


AKB48のCDがここまで売れるのは、楽曲そのものがいいわけではなく、売り方がうまいから売れるんだということに注目してください。
CDに握手券や総選挙の投票権をつける手法。
コアなファンをがっちりとつかんで離さない商法。
楽曲という商品を作ることに力を注ぐのではなく、売るということをしっかりと考えて練られた戦略があるからこそ、あれだけCDが売れて支持されるんです。

AKB48のCDは、楽曲がイイから売れているのではないということです。

 

売れたからイイものになった

シャネルのバッグ
(画像参照:シャネル公式サイト

そもそも売れるとはどういうことか、を考えてみます。
商品が売れる。
それは、買う人がお金を出す価値があると判断したから売れるんです。
価値を感じなければ、お金を出してまで買おうとは思いません。
たとえば。
ブランドバッグに興味のない私にとってシャネルのバッグは価値がないのでお金を出してまで買おうとは思いません。
たとえ30万円のところを5万円で!と言われても買いません。
興味がないからです。

でも。
仕事が効率的に進んでいく高機能な耕耘機にはすごく興味があるので、多少高くてもお金を出そうという気になります。
興味があれば高くても買います。


安くても興味がなければ買わない。
高くても興味があれば買う。

そこには、イイものだから売れるという方程式は存在しません。


ここで考えなければならないことは。
売れるものは、イイもの。
という間逆の思考です。
イイものだから売れるのではなく、売れたからイイものになった。
ということ。
イイものかどうかは結果でしかなく、しかもそれは買ったお客様が決めていることなんです。

お客様にたくさん買ってもらえる商品はイイものだ、と言い換えることもできます。
多くの人が買うということは、多くの人がイイと感じたからお金を支払っている。
高い金額を支払うということは、その人が高い価値を感じたからお金を支払っている。
売れるということが、その商品がイイものであることの裏付けになっているということです。

 

栽培ばかりにこだわりすぎない

日本一のバイヤーに認められたい。
三ツ星レストランのシェフに「うまい!」と言わせたい。
と言って栽培に磨きをかけるのは構いません。
でも。
必要以上にこだわりすぎるのはやめましょう。
そのこだわりにお客様はついてきていますか?
お客様にとってそのこだわりは必要ですか?

という問いに答えられないようなら、こだわりを止めるのもひとつの手です。


ストレートに言えば。
売れてなんぼの農業経営、売れることで商品に価値が出てきます。
誰に売ろうとしているのか、その人たちにとっていいものとは何かを考えながら、栽培に力を入れてみてください。
おのずとイイものとは何かが分かってくるはずです。

 

 

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