生産が先か、顧客確保(営業)が先か

生産と顧客確保、どっちが先か。
生産だけやっていればいいような農協出荷の方は気にならないことですが、自分で販路を開拓していこうとしている新規就農者が必ずぶち当たる問題です。

営業をかけようにも商品がなければスムーズな交渉ができないので、まずは生産して農産物を用意してから売り込みをかけていくのか。

売り先が確保できていないと売れ残りが怖くて気持ちよく生産ができないので、まずは予約を取るような形で買ってくれる人を探すのか。

生産を先にするべきか、営業を先にするべきか。
けっこう悩むのではないでしょうか。


新規就農して最初の頃は、本当に自分が商品になるようなものを育てていけるのか不安です。
タネを播いたのはいいけど、収穫まで辿りつけるのか不安です。
生産能力に不安があるそんなときに、商品を買ってくれる人を探し確保しておくなんて考えられません。
まずは自分の栽培技術がどんなものか、育ててみてうまく農産物が出来上がってきたら、そのときに買ってくれる人を探せばいい。
そんなふうに考えたりしていないでしょうか。


売り先をあらかじめ確保しておけば安心して生産できる。
それは分かっているけど、うまく育てられるかどうかわからないのに
●月くらいから販売を開始するので買ってください!
とは言えないよなぁ。
駆け出しの新規就農者が予約をとっておくなんて無理でしょ。
そんなふうに考えたりしていないでしょうか。

 

難しいのは販売

結論から言ってしまえば。
顧客確保が先です。
売り先も決まっていないのに生産をするなんてありえない、ということをしっかりと理解してください。

長期保存ができる米はともかく、野菜や果樹などあまり保存がきかない生鮮物を育てていくのに売り先がないというのは、とんでもなく無茶な行為であることに気がついてください。
営業をしないで売り先の見込みを立てないで生産に踏み切ったらどうなるか。
想像してみてください。
とりあえずタネを播いて、苗を育てて、畑で試行錯誤しながら栽培をしていく。
苦労しながらもなんとか商品になりそうなものが出来たとします。
ところが。
収穫時期を迎えているのに、売り先がないから収穫できません。
困った困った。
どこでもいいからとにかく買ってもらえるところに持っていこう、と言って地元の直売所に二束三文で売りさばいてしまうことになりかねません。
それでも売れるならまだいいです。
その直売所でも消化しきれないくらい畑に残ったらどうするつもりですか?
急いであちこちに営業に回って、それでも畑にある収穫物を売り切ることができなかったらどうするつもりですか?

 

ターゲットが決まればすべてが動く

誰に売る
そもそも。
商売をするときにまず最初に考えなければならないのは
誰に対して売りたいのか
ということです。
どんな相手に商品を売っていくのか、ターゲットが明確になっていなければどんな商品を作っていのか分からないはずなんです。
    詳しくはarrow070_01農業を始めると決めて最初に考えるべき重要なこと

売り先が決まらないうちに栽培を進めていくって、それは誰に買ってもらうつもりで育てているんでしょうか。
誰のために育てている作物なんでしょうか。
買ってほしいと思っている人がいて、その人が欲しいと思っている商品を届けるために、栽培方法を決めたり品種を選んだりするんです。
誰に対して売るのか。
農業を始めるときにまず最初に決めるべきところはターゲット設定です。

 

顔が浮かぶくらいターゲットが明確になれば、栽培方法が決まり栽培する品目や品種が決まります。
誰に対して売っていくのか分かっているんだったら、営業できますよね。
    詳しくはarrow070_01新規就農でまず最初に考えること~ターゲットの絞り込み

もしかしたらうまく育たないかもしれない。
思うような品質にならないかもしれない。
それでもいいじゃないですか。
もしうまく育ったら買ってください、という営業でいいんですよ。
とりあえず、買ってもらえるかもしれない見込み客を集めること。
たくさんの人に知ってもらって顔を広めておくこと。
農業にかぎらず商売で難しいのは集客です。
新規就農するときはどうしても栽培ばかりに目が行ってしまいがちですが、本当に難しいのは販売だということを覚えておいてください。
そんなに営業しちゃって大丈夫なの?というくらい売り先を確保しておくくらいが丁度いいんですよ。

 

だいたい、初心者マーク丸出しの新規就農者がはじめから高品質なものは提供できません。
だからといって安さで勝負してはいけません。
品質で勝負できない、価格で戦わない。
じゃあなにをウリにしていけばいいのかといえば、あなたから買いたいと思ってもらえること、個性をウリにしていくべきです。
こんな想いで農業をやっていて、それを形にするためにこういう栽培でこんなところにこだわっていて・・・。
という情熱を商品に乗せるんです。
まだ商品がないときから、ファンをつくる努力をする。
それが新規就農者がやるべき営業です。

    詳しくはarrow070_01新規就農者が熟練農業者と対等に戦う方法

 

インターネットの活用を視野に入れる

ということで。
生産するのが先か、それとも営業が先か。
どっちを先に手掛けたらいいかという問題については
売り先確保が先
と言い切ってしまいます。
モノがなければないなりに情熱をもって営業する。
できたらお持ちします!でもいいので想いやこだわりを伝えて予約をとってしまいましょう。
このときに有効なのがインターネット。
ブログやホームページ、facebookでもtwitterでもなんでもいいから自分を知ってもらうためにインターネットを活用することをお勧めします。
この人のつくった野菜を買ってみたい。
もし収穫できるようになったら買いますよ。
そういう人を研修しているうちからたくさん集めておく。
自分の顔を広めておく。
そういう努力は必要だと思います。
    詳しくはarrow070_01稼ぎたいならホームページは研修中から立ち上げよう

 


今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

つづきはこちら

 

関連記事

  1. 農業収入を決定づける3つの式を理解しよう。小さな農家は頭を使わないと生き残れない。

  2. 農業研修で最も大切なポイント・仕組みを盗む

  3. 【統計】大規模農業ほど儲かる?小さな農家に生き残る道は残されているのか

  4. 多品目有機農家になるための最大の参入障壁

  5. 小規模農家のヘリコプター戦略 小回りがきくメリットを活かす

  6. トラクター必須 思い込み問題