新規就農者が熟練農業者と対等に戦う方法

農協に出荷していると気がつきませんが、同じように農産物を育てて出荷している農家というのは自分にとっては競争相手なんですね。
同じ生産部会に入っていてグループとして出荷しているのであれば、それはグループ内の生産物になるので仲間かもしれませんが、基本的には同じ農産物(トマトならトマト)を生産しているときは同業者=ライバルだと考えて間違いありません。
そのライバルたちよりも上を目指さなければ、自分自身が農家として生き残っていくことができない。
そういう状況もありうるわけです。
というかそれが当たり前。

では、先行してすでに営農している先輩農家がひしめく戦場に降り立とうとしているあなたが、新規就農して同じ土俵で戦っていくにはどのようにしたらいいでしょうか。
何年、何十年と先に農業をやって事業として確立されている農家とまともに戦うことがあなたにできるでしょうか。
もちろん、まともにやりあっていては勝てません。
栽培に関する技術力もなければ、経営力や営業力も及びません。
そんな新規就農者がとるべき戦略はどのようなものでしょうか。

 

なにを武器にして戦うのか

自分の商品(農産物)を販売していくときに、どのようなことを売りにしていくべきでしょうか。
安さでしょうか?
いいえ、すでに大規模経営をしている農場、巨大な資本を背景に展開している農業法人などが相手では安さをウリにして勝てるわけがありません。
地元の直売所に売っていくにしても、年金暮らしで趣味の農園をしている人が出品している農産物は利益を度外視しているので、ここでも安さで勝つことはできません。
TPPによる影響を考えても、新規就農者が安さで勝負していける環境はないと思ってください。

 

品質でしょうか?
いいえ、じつはこれも違います。
いいモノを作れば売れると思っている人がいまだに多数いますが、本当に売れている商品は必ずしも高品質のものばかりではありません。
三重県伊勢市の和菓子屋赤福の赤福餅は御存じでしょうか。
赤福
(画像参照:株式会社 赤福HP)
お餅の上にこしあんをのせた餅菓子ですが、伊勢名物として知らない人がいないくらい有名な餅です。
値段がとくに安いというわけでもなく、格別に美味しいということもありません。
(それなりに美味しいですが)
赤福餅は高品質だから売れまくっているという商品ではないんです。

そもそも、品質がいいとか悪いとかいうのは、同業者から見たときと消費者から見たときとでは評価が異なります。
たとえば。
●●農場のトマトが、ものすごい高い技術レベルで管理された高品質な商品だとします。
一方、▲▲農場のトマトは、ごく普通の栽培をしている、ちょっと美味しいかもしれないなというレベルのトマトです。
プロの視点を持つ同業者からみれば、間違いなく●●農場のトマトに対する評価は高いです。
ても、それらを買って食べる人にしてみたらそこまでの高評価にならないことが多いんです。
●●農場のトマトと▲▲農場のトマトとを比べても、それほど大きな違いは感じません。
ある一定の基準を満たしていれば、そこから先は大きく差がつかない、味の違いがわかるプロからみれば多少評価に差がつく、という程度のものです。
プロから見て間違いなく高品質だというものは、新規就農者にとって必ずしもウリにはなりません。
というより最初から同業者から一目置かれるような栽培なんて、そもそも出来ませんから。

 

では安全性をウリにするのはどうでしょう?
有機農業ではこれをウリにしている農家がけっこういます。
食の安全は長い間揺らぎ続けていますから、安全な農産物だと謳って売っていくことは可能でしょう。
消費者側からの食の安全性に対する要望は少なくありませんから、これを切り口にして安全性を高めるような栽培をしていくことは戦略としては間違っていないかもしれません。
でも。
どこまで突き詰めていけば安全は確保されるのでしょうか。
農薬を使わないようにして育て、肥料も毒になりうるからといって無肥料栽培にして、水や空気がきれいなことは植物にとって重要だと考えて人里離れた山奥で農業をする。
そこまでやったとしても原発がドッカン、放射能汚染に見舞われる・・・なんてことも。
これでは目も当てられません。
酸性雨やPM2.5はどうやって防ぐ?
安全性を突き詰めていってもキリがありません。
たとえ極限まで安全を確保できたとして、どれだけの消費者から理解を得られるでしょうか。
キリがないものを追求し続けることは精神的に非常に苦痛である、ということも捨て置けない問題です。

 

同じ戦場で争ってはダメ

それじゃあ一体、なにをウリにすればいいのでしょうか。
新規就農者で技術も経験も乏しいときから、競争相手がひしめく戦場で対等に戦っていく方法。
というよりも、そんな厳しい戦場では戦わない方法です。
ウリにするのはあなた自身。
あなたから買いたいと思ってもらうこと。
つまりファンづくりです。
メガホンで応援
自分のことを知ってくれて、自分の商品をよく分かってくれているファンを増やす。
あなたが育てている農産物だから買いたいんです、と言ってくれるファンをひとりでも多く増やしていくこと。
これが非常に重要です。
コアなファンがついてくれたら、安さで勝負する必要はありませんし、度を過ぎた高品質を追求する必要もありません。
安全はもちろん大事だけど、それよりも安心が欲しいと思っているのがファンです。
そして、一度ファンになってくれた人は、あなたから続けて買ってくれるようになります。

あとにもさきにも、とにかくファンを作るための努力をする。
これだけでじゅうぶん農業経営していけます。
他の歴戦のつわものたちと同じ土俵で戦わずに悠々と生きていけます。
これが新規就農者がとるべき戦略です。

すこしでも参考になりましたら幸いです。

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

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