農家の稼ぎは選んだビジネスモデルで決まる現実

今日は非常に大切なことをお伝えします(いつも伝えてるつもりですが)。いま物価高騰などコスト増で苦しんでいる、値上げができなくて苦しんでいる農家が真剣に考えなければならない問題です。

ひとくちに農家といっても規模も違えば品目も違う、地域も構成員も販路も違っていることがほとんどです。あまりにも多様すぎて、平均をとった統計データがまったく無意味じゃないかと思えるくらいです。バリバリ稼げる農家もいれば赤字を続けてヒーヒー言ってる農家もいて、そこには天と地ほどの差があります。

けれども一方で、あまり農家による差が出ない場合もあります。同じ地域で同じ品目、同じ販路で営農している場合がそれです。もちろん面積が2倍なれば売上もおおむね2倍になりますが、面積が同じなのに利益(所得)が2倍も違うなんてことは基本的にはあり得ません。職人技を持つスペシャルな農家がいたとしても同条件の農家と比べて2倍も差がついたりはしません。売上は面積に応じて比例するものの、例外といえるような出る杭は生まれにくいですよね。

それはなぜか。農業はビジネスモデルに強く依存するからに他なりません。大根を作れば売上に対して経費が7割ほどかかるとか、産直を基本に出荷すれば利益率は5割を超えてくるとか。施設栽培トマトなら10aあたり売上300万円超も可能だけど稲作なら10万円が関の山とか。

何をどこでどうやって作って売るのか。

これがほぼすべてを決めます。個人の能力の差よりもビジネスモデルの差のほうが圧倒的に大きいわけです。

ビジネスモデルは一度決めてしまったら基本的には変えるのが難しいです。微調整をしながら走り続けるしかありません。けれどもいまは、変化しなければどんどん苦しくなっていく時代に突入しています。

作る品目を変えるのは大冒険だし、別の地域へ移転するのも非現実的。でも、栽培を見直したり販路を変えたり機械化を進めたりすることはできます。その変化が経営にどんな影響を及ぼすのかを予測しつつ、恐れずに一歩を踏み出す。大きく変化できなくても小さなパーツをひとつ変えるような変革は起こせます。

ビジネスモデルと堅苦しく言っても、それは小さなパーツの組み合わせにしかすぎません。たったひとつのパーツを入れ替えただけでもビジネスモデルが180度変わることだってあります。大きく変えようとしなくても、時代の流れに合わせてほんのちょっと変えるだけでもじゅうぶんだったりします。

大事なのは変わろうとする意識だと思います。現状への不満を変化への原動力にして一歩でも前に進んでいきたいものです。

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