非農家出身者が農業の道に進みたいと思ったときに助けになるのが農業次世代人材投資資金という補助金制度。
研修期間に150万円/年で最大2年、就農後にも150万円/年で最大5年というとんでもない大きな金額の補助を受けられます。
もともと民主党政権時代に始まった青年就農給付金がスタートですが、これまで小さくマイナーチェンジをしながら約7年制度が続いてきて。
2019年度に大変革を迎えました。
かなり大きな変更があり、これまでどおり受給できるのか危ぶまれる状況です。
どんな変更があり、対象者はどう変わり、制度はどこに向かっていくのか。
今回の改正点を中心に、本制度の歴史にも触れつつ、新規就農者がどのように制度を活用していけばいいのかについて解説していきます。

制度の変遷

実家が農家ではない非農家出身者が独立・就農するときの支援として青年就農給付金がスタートしたのは2012年のこと。
当時政権をとっていた民主党が立ち上げた補助金制度です。
就農前の研修期間(2年以内)および経営が不安定な就農直後(5年以内)の所得を確保するという目的で、年間で150万円を給付するというもの。
研修期間(2年)と営農期間(5年)をあわせて合計7年間フルに受け取ったとすると1050万円というとんでもない金額が給付されることになります。

この制度、金額のインパクトが強いためか反響が大きく、2012年以前は新規参入者が年間で2000人ほどで推移していたのが、給付金制度スタート直後から年間3000人を超える新規参入者が生まれるという激増ぶりを見せました。
ただ、数年間続けていく中で問題も出てきて。
青年の就農意欲を喚起するという当初の目的は果たせているものの、もうひとつ「就農後の定着を図るため」という目的は達成できていませんでした。
ようするに補助金をもらって就農する若者は増えたものの、実際に就農したあとうまく軌道に乗れずにやめてしまうケースが多かったようです。
そこで2017年、給付金制度をマイナーチェンジします。
名称を農業次世代人材投資資金に変更し、給付認定の基準を厳しくしたり、離農時の給付金返還基準を厳しくしたりしています。

これは、入ってくる就農希望者をふるいにかけて、本当に給付金を有効に活用してくれそうな対象者だけに給付しようとする変更です。
これによりどれくらいの成果があったのかはわかりません。
ただ、その2年後の2019年に再び制度の見直しを行っていることから推測すれば、おそらく良い成果は上がらなかったのではないでしょうか。

この2019年の制度見直し、新規就農者にとって給付金制度を活用できるかどうか大きな死活問題になりますのでくわしく解説していきます。

農の雇用事業

2017年の農業次世代人材投資資金(準備型)では、研修生側の審査基準を厳しくすることで受給者の定着率を高めようとしました。
2019年の改正では、研修生ではなく研修生を受け入れる側、つまり先進農家や教育機関などにメスを入れています。
新規就農者がしっかりと健全な経営を行って定着できないのは、研修生を受け入れている先進農家・教育機関に問題があるのではないか?という発想ですね。

そして農業次世代人材投資資金(準備型)は、農の雇用事業への移行(統合?)という形をとりました。
農の雇用事業は2009年ころから実施されている助成事業。
農業法人等が新たに就業希望者を雇用して実施する研修に対して助成を行う事業です。

対象者や研修の目的により、以下の3タイプがあります。
(ア)雇用就農者育成・独立支援タイプ:法人が新規就業者に対して実施する実践研修を支援(助成金120万、支援期間2年間)
(イ)新法人設立支援タイプ:新規就業者に対する新たな法人設立に向けた研修を支援(助成金120万、支援期間4年間(3年目以降60万))
(ウ)次世代経営者育成タイプ:法人による従業員等の国内・海外派遣研修を支援(助成金120万、支援期間2年間)

これらのうち(ア)雇用就農者育成・独立支援タイプの支援が、農業次世代人材投資資金(準備型)の支援の方向性に似ているため、本事業にくっつけるようにして給付金制度を改正しています。

ごく簡単に言えば、先進農家は就農希望者と雇用契約を結んで、賃金を支払う形で従業員として雇い入れる。
そのとき研修にかかった経費を、国から研修費用として助成を受けるというものです。

これまでは、研修生として先進農家に受け入れてもらっていましたが、農の雇用事業を通すようになって雇用契約を結んで働く形に変わります。
研修生の立場からみれば、給料をもらいながら研修を受けるのか、研修を受けながら国から補助金をいただくのか、という違いです。
が、先進農家からみれば、雇用契約や補助金申請、研修報告など膨大な事務処理がのしかかる上に、補助金交付まで賃金を先行して支払い続けなければならない負担がかかります。
これはかなり高いハードルです。

家族経営規模の先進農家が、農の雇用事業をとおしながら研修生を受け入れるというのは現実的には難しいのではないかと思います。
つまり、これまでは個人でやっている小規模の農家への研修でも給付金制度を活用できましたが、2019年からはそれが難しくなるということ。

一部、農業大学校のような公的な教育機関、認定された全国型教育機関などは継続して給付金を受けられるようですが、先進農家での研修ではそれが絶望的になったわけです。

国(農水省)としては、風が吹けば飛ぶような小さな農家は増やさなくていいから、大規模農業もしくは小さくてもしっかりと安定経営ができる農業にしぼって支援していきたい。
そんな意図が読み取れます。

新規就農者はどうする?

実家が農家ではない非農家出身者(新規参入者)は、そもそもの置かれている状況が不利なところからスタートします。
実家が農家でそれを引き継ぐ形でスタートする農家出身者であれば、親が持っている基盤をそれなりに継承することができるからです。
それは農地であったり、農機具類であったり、販路であったり、生産技術であったり、倉庫や施設であったり、さまざまです。
就農当初から不利な状況にいる新規参入者に対して、手厚い支援をしようという取り組みが青年就農給付金事業ですが、この恩恵を受けにくくなってきているのが今の状況。
いままでもらえていたものがもらえなくなるということ。

それは困る!どうしたらいいの?
といった声も聞こえてきそうですが、そもそも2012年より以前にはこんな優遇制度はなかったわけですから、最初からないものとして考えておけばいいだけの話です。
150万円/年もらえる補助金制度などないと。

補助金ありきで始める農業なんて長く続けられるわけがありません。
農業で独立、新規就農するというのは事業者になるということであり、サラリーマンとは立場が180度変わります。
そんな働き方を選ぶのであれば、覚悟が必要。
なにがなんでもやってやる!
これで家族を養っていくんだ!生計を立てるんだ!
という意気込みを推進力にして前に進んでいく覚悟がなければ、天候不順や取引価格の乱高下など不測の事態が起こったときにあっさりと逃げ出してしまう可能性が高まります。
どうしようもない状況に立たされた時に踏みとどまれるかどうかは、持っている覚悟で決まります。
長く農業をやっていれば岐路に立たされることなど何度もあるわけで、それを乗り越えていくためにはどうしても覚悟が必要なんです。

そしてその覚悟を大きく失わせてしまうのが補助金。
強い農業を作るためには、強い農家を作るためには補助金なんてないほうがいいんです。
だから、最初からないと思っていればそれで済みます。
自分自身の成長のためにも、給付金なんてもらわないつもりで新規就農すればいい、ただそれだけです。

もちろん金銭的な不安を抑えるための貸付制度はもともと充実しています。
低金利での貸し付け、長期の据え置き期間を設けている貸し付けなど農業には非常に借りやすいプランが多く用意されています。
本気で進んでいくなら、そういったものを利用すればいいだけです。

優遇されてきた給付金制度は、着地点を求めて改正を繰り返しています。
その行きつく先は非農家出身者にとって明るいものではないでしょうけど、だからこそチャンスです。
要件を満たせず受給が無理なら、最初からないものとしてスタートする。
その道は苦しいかもしれないけれど、覚悟が生まれ、自分を強くしてくれるので、最終的には強い農家の仲間入りをすることができるはずです。

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