農業次世代人材投資資金(旧:青年就農給付金)を活用して優秀な農家になる方法

青年就農給付金制度はご存知でしょうか。
詳しくはarrow070_01農林水産省「農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)

青年給付金

※2017年には農業次世代人材投資資金と名称を変更しましたが大枠は変わっていません。

新規就農を考えているのであれば、おそらくほとんどの人が知っているのではないかと思います。
それくらい有名で、有用な制度です。
そりゃそうですよ、要件さえ満たせば年間150万円が手に入るんですから。
もし知らなかったという人がいれば、一度調べてみることをお勧めします。

以前の記事で、
補助金を受け取ることは、起業して経営をしていく道を切り開いていくときの覚悟を減らしてしまうから危険だ
という話をしました。

農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)とは誰にとって有益なのか

今回はこのことについて、給付金を受け取りながらも覚悟を持って進んでいける方法について書いていきます。
先輩農家と対等に戦えるようになる方法、とも言えます。
最後までご覧いただき、参考にしてみてください。

 

準備型と経営開始型

青年就農給付金制度がなかった頃は、新規就農しようと思ったら資金を貯めて準備をしていくのが普通でした。
もちろん無利子や低利子の貸付制度はありましたし、就農支援資金としていくらかの補助を出すような制度もありましたが、基本的にはまとまった資金が必要でした。
その開業資金を貯めるために何年も働く人だっていましたし、就農してからも農業をしながらアルバイトを掛け持ちしていく人もけっこういたようです。

こういった状況をなんとかしたい。
アルバイトをする時間をなくして農業に集中してもらいたい。
という制度であれば、青年就農給付金は非常に意義があります。
開業資金を貯めるために何年もの時間を費やすくらいなら、さっさと就農してその時間を失くしてしまったほうが有意義ですよね。
農業とアルバイトを掛け持ちしながら、寝る時間を削ってフラフラになってがんばるくらいなら、農業一本に集中できる環境を整えてあげたほうがいいでしょう。
経営の安定に向けて、一日でも早く経営を軌道に乗せるために給付金制度が利用されるなら、制度としては利用価値の高いものになります。

この点について。
青年就農給付金制度にある準備型と経営開始型とでは、すこし受け止め方が変わってきます。
準備型とは、いわゆる新規就農する前の段階、農業研修を受けているときに給付金を受け取ることができる研修支援制度のこと。
最長2年まで給付金を受け取ることが可能です。
農業研修においては、研修先でひとつでも多くのことを学んでおくことが独立したときにうまく営農していくための力になります。
アルバイトをしながら研修を受けることほどもったいないことはありませんし、地元から離れたところで研修するのであれば生活費だけでけっこうかかってしまいます。
新規就農時に向けて貯めた資金を研修中に多く費やしてしまうのはもったいないです。
だから、青年就農給付金制度の準備型を受けることには非常に大きなメリットがあります。


これが経営開始型になると、ちょっと見方が変わってきます。
経営開始型とは、その名前のとおり新規就農してから受け取ることができる営農支援制度です。
これを受け取るとはどういうことか。
家があって、仕事がある。
でも仕事は始めたばかりで不安定だから、生活費を青年就農給付金制度で支えてもらおう。
そういうことですよね。
これって、自分の仕事を軌道に乗せるまで、税金を使って、生活を支えてもらうってことですよね。
もっと言い換えれば、
仕事でちゃんとした収入を得られるようになるまで、生活保護を受ける。
ということですよね。
もちろん本物の生活保護とは別物ですが、端的にいえばそういうことです。
あなたは、生活保護を受けながら経営を安定させていく農業に、誇りを持てますか?

 

視点を変えると有益な制度になる

さてここで。
給付金制度によって誇りを失わないための、ひとつの考え方があります。
視点を変えるだけで、給付金は非常に意義の高いものになります。

ここまで書いてきた給付金制度の利用は、あくまで生活費を補填するために使うというものでした。
もちろんそれがこの制度の目的になってますから、べつに悪いわけではありません。
でも。
給付金をもっと上手に、有効に活用する方法があるんです。
それは
ないものとしてありがたく受け取る。
ということ。
もらえるもんはもらっとけ、もらったらアルバイトをしなくて済むわい。
ではなくて、もらったお金は生活費に充てないで別のことに使えばいいんです。
もちろん遊びに使ってはいけません。
設備投資に使います。
トラクターB1702
トラクターなどの農業用機械や、ビニールハウスや出荷場や倉庫などの施設。
給付金はすべて設備投資に使うようにするんです。
参考:農業用機械を揃える 新品か?中古か?
事業において設備投資は、経営規模の拡大や収益向上に非常に効果のある方法です。
よく景気回復の目安として設備投資への反応を見たりしますが、それは業績アップに非常に大きな効果をもたらすのが設備投資だからです。
設備投資をすることで、生産性が向上したり作業の効率がアップしたり、結果的により多くの収益を生むことにつながります。
自己資金では本当なら所有することができないような機械や設備を持つことができるということは。
それを使って営農していくことで、本来ならゆっくりと徐々に売り上げを伸ばしていくところを一気に安定路線に引き上げることができる可能性を持てるということです。
事業の成長速度を速めることができるということです。
そして。
こういう給付金利用をするときには、己の道を切り開いていく覚悟を失いません。
覚悟を持ったまま、給付金を受け取ることができるというわけです。

 

給付金は使い方次第

1年で150万円。
給付金制度なしでこれだけの資金を、設備投資に使える農家はそれほど多くありません。
最大7年で1050万円。
これだけの資金を、設備に投資できる農業者はそれほど多くありません。

スタートダッシュ
だからこそ。
降って湧いた資金を、すべて設備投資のような使い方をすれば、新規就農から一人前の農家になるまでの時間をかなり短縮できるはずです。
10年先を歩いている先輩農家にも、簡単に追いつくことができるはずです。

ちなみに。
私は10年先を歩いている農家ですが、給付金をすべてこのような使い方をする新規就農者がいたとしたら、おそらく簡単に追い越されてしまうと思います。
それくらい給付金による設備投資は威力が絶大です。
逆にいえば。
せっかくの給付金を生活費を補填するために使っている新規就農者には、私は絶対に負ける気がしません。
そんな使い方をしている就農者は、経営を軌道に乗せるまでに時間を要するからです。
そもそも、自分の生活費を自分で稼がないで生活保護受給者として生きている農業者が、経営を軌道に乗せることができるとは思えません。
 

みなさんがもし、青年就農給付金を受けようと検討しているのであれば。
その使いかたをよく考えてみてください。
使い方次第では、現役の先輩農家を脅かすほどの大きな力になってくれるはずです。

 

 

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