【経営開始型】年150万円受け取れる農業次世代人材投資資金。貰ったほうがいい人と貰わないほうがいい人がいる

青年就農給付金という名前で民主党政権時代に2012年から始まった新規就農者支援制度。使い道が自由な給付金として年150万円がもらえるので、新規就農を希望する人にとっては非常にありがたい制度です。実際、年2000人ほどだった新規参入者(非農家組の農業参入)がこの制度がはじまってから年3000人を超えるようになったことからも影響力の大きさがわかります。

ただ、、、
現役農業者からすると、もらえる金額があまりにも大きすぎるがために、この給付金制度はとんでもない甘やかしにしか見えないので、嫌悪感を抱く方は多いと思います。私もそのうちの一人で、この制度については以前から反対の立場をとっています。これは、全面的に制度を反対しているわけではなくて、もともと自力で就農しようと道を切り拓いていく人にとっては背中を強力にプッシュくれるものになるので有益だろうと思います。

まずいのは「給付金があるなら就農しよう」と後ろ向きな気持ちで動く人に渡してしまうことだと思ってます。というのは、給付金を当てにした新規就農というのは、なにがなんでも自分で道を切り拓いで一人前になってやるという覚悟が弱くなってしまうんですよ。

農家になるというのは、事業者になるということで事業者はサラリーマンとは違う、雇われて決まった給料をもらっている「ぬるま湯環境」に慣れているとすべて自己責任、給料は自分のがんばりにかかっている浮き沈みの激しい自営業である農業の世界ではやっていけない、確固たる覚悟がないとかんたんにしぬのが農家。

そんな農家になろうとしている人が
「わー年150万円!合計すると1千万円もらえる!農業やってみようかな?」
という気持ちで一人前になれるとは、どうしても思えないんです。

もちろん誰に覚悟があって誰にないのか、それを明確に線引きすることはできないので、条件を満たしさえすれば誰でももらえてしまうわけで、もし給付金申請の窓口である行政機関の担当者が、人事・採用のプロで、その人の将来性を見抜けるのであれば、給付金を有効に使ってくれる人だけを受給対象にすることもできるんでしょうけど、それは現実的にありえないでしょうし。

であれば、新規就農を考えている人、もしくは就農して数年の駆け出し農業者自身が、自分はこの給付金をもらってうまく活用し成長を一気に加速することができるだろうかを考えなければならないと思います。そのときに考えてほしいのが

給付金がなかったとしてもこの道を進んでいくのか?ということ。これを自身に問いかけてほしい。あったほうが楽だから?もらえるもんはもらっとこう?
その考えをすべて否定するつもりはないけど、もしもらえなかったらどうか?それでもやる?という問いにやる!と自信をもって答えられる人にこそ受給してほしいです。

ですので、やってやるぜ!本気だぜ!という覚悟があるならぜひもらってください。そして給付金の使い道は自由なんですが、できることなら設備や機械に突っ込んで経営を一気に軌道に乗せる、とかもしくはアルバイトしないで農業に集中し成長を加速させるなど、生活の足しにするとか言わず前向きな使い方をしてください。
現時点で栽培技術がないとか、資金が心もとないとか、成功のイメージがないとか、関係ない。大事なのは覚悟があるかどうか、石にしがみついてでもつきすすめるか、それさえあるなら農業次世代人材投資資金は強い味方になります。

ということで農業次世代人材投資資金なんですが、今回は準備型ではなく経営開始型についてです。
準備型・・・農業研修でもらえる
経営開始型・・・就農後にもらえる
じつは2年ほど前に動画にしていますが、何度かマイナーチェンジを繰り返しているので改めて取り上げます。

いちおう言っておくと、要点だけをかいつまんで話すので詳細は行政の担当窓口で聞いてください。これは私に聞かないで!と逃げているわけじゃなく、各地域・各窓口によって対応が違ってくる可能性があるからです。
というのは、この給付金制度は当たり前ですが予算があって(152億円)、その予算内で対象人数が決まってきます。
150万円×10000人=150億円
つまり要件を満たせば全員受給!ではなく審査があり、各自治体の割り当て人数を越えて応募が殺到すれば、本来もらえるはずの給付金がもらえない可能性もあるということ。
就職活動で企業面接に行って、すごく感触がよかったとしても、もっと優秀な人材が面接を受けていたり採用枠がそもそも小さいと受からないのと同じ。大枠の概要は国が出しているものだが、実際の采配は各自治体に委ねられています。そういう意味で「詳細は窓口で聞いてね」ということです。
では詳しい話は動画でどうぞ。

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