いいものは売れる、は顧客目線を意識しなければ努力が無駄になる

職人気質の農家が多いせいか、
とにかく品質を高めて美味しいものを作る、いいものを作りさえすれば世の中が認めてくれて、それは高く評価されて高く売れる。
と思っている農家が意外に多いように感じています。

実はそうじゃないんだよ、という話はこれまで何度かしているんですが。

いいモノを作れば売れる!は農家の間違った思考

いいものが売れるのではなくて、よく見えるものが売れる。
という事実を知ってほしいから、そのように言っているんですが、
見方によっては、確かにいいものが売れているのは事実です。
でも。
たとえ本当にいいものじゃなくても、良く見せることで売れる。
というのも事実。

今回はこのあたりについて詳しく解説していきます。

顧客目線を意識しながら、
いいものは売れる
という言葉の本当の意味を、考えてみてほしいと思います。

 

新規客とリピート客の違いを知る

ひとくちに顧客、お客さんといっても、じつは大きくわけて2種類いることをご存知でしょうか。
ひとりは新規客
あなたが農家だとして、あなたの農産物をこれまでに買ったことがない、その存在を知らない人のことです。
もうひとりはリピート客
一度でもあなたの農産物を買ったことがあり、気にいってくれて何度か繰り返し購入してくれているお客様のことです。

どちらも、あなたの農産物を買ってくれるお客様です。
でも。
買ってもらうためにあなたがとるべき行動、見せなければいけない価値は、新規客とリピート客ではまったく異なるんです。
これをちゃんとおさえておかないと、必死に営業しているのにぜんぜん買ってくれないとか、もっと美味しくしようと栽培に力を入れているのに売り上げアップにつながらないとか、努力が報われない結果に終わってしまいます。

新規客とリピート客。
両者には提供すべきものが違う、求められるものが違う。
という認識を持ってもらいたいと思います。

 

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なにがどう違うのか、については恋愛を考えてみればわかります。

交際をするまでの段階では、自分をよく見せるために外見を磨き、積極的なアプローチをしかけますよね。
プレゼント攻勢に出たり、サプライズしたり、
とにかく良い面だけをアピールしまくるはずです。
悪い面はなるべく見せないように、とにかく好印象を持ってもらえるように力を尽くします。
ここでは外見が非常に重要で、内面を知ってもらうよりもまずは外見で気にいってもらう必要があります。
もちろん外見というのは見た目だけではありません。
見た目のかっこよさはプラスに作用しますが、たとえば仕事ができるとか、トークが絶妙におもしろいとか、立ち振る舞いが紳士的だとか、そういった要素も含みます。
内面から滲み出るような味わい深い人格、付き合えば付き合うほど感じる深い愛情、みたいなものは必要ありません。
良くないところはなるべく隠して、無事付き合うことになるまで、必死に頑張って自分をアピールしていきます。

でも。
首尾よく付き合うことができたあとは、どうでしょうか。
もちろんプレゼントやサプライズは引き続き必要だと思いますが、
外見よりも内面を磨く、見せていくことが大切になりますよね。
良い面も悪い面も見せて、自分を理解してもらうための努力をして、相手のことも知って、 長く付き合い続けられるように、お互いを理解し合うことが大切になってきます。
長続きするためにやるべきことは、付き合う前にやっていたこととは違います。
これは。
恋愛と結婚の違いと言ったほうが分かりやすいかもしれませんね。

 

新規客は味で判断していない

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この恋愛観を農業に当てはめてみたらどうなるでしょうか。
新規客に売りたいと思ったときには、どこに注目すればいいでしょうか。

新規客は、恋愛でいえばまだ付き合っていない状態です。
これから自分のことを知ってもらう、そういう段階です。
だから。
その商品に価値がある、価格に見合っていると感じれば買ってくれるわけで。
まずは見た目がとにかく重要。
栄養価や安全性など数字で表される価値、などで判断されることもあります。
味はもちろん、食べてみなければわかりません。
美味しいかどうかは買ったあとの話ですから。

ということは、初めて買ってくれる新規客に対しては、おいしさそのものではなく
美味しそうに見える
ことが重要で、美味しく見せるために、もしくは高い価値を持っていると感じさせるために、農産物の価値をどのように伝えていくかが重要なわけです。

だから新規客に向けて売りたいと思うなら。
まずはどんな人を顧客にしたいのかを絞りこみ、その人たちに向けて買ってもらうための努力をする。
その努力とは、よく見せることです。
つまり、極端なことをいえば、
栽培はがんばらなくていい
ということ。
自分の商品が持っている価値をどうやって伝えていくか。
比較される他の商品との違いをどうやって魅せていくか。
価格の妥当性をどうやって分かってもらうか。
それらに力を注ぐほうが新規顧客の獲得には効率が良いはずです。

これはつまり。
新規顧客を増やしていく活動を端的に言い表すなら
広告、営業、販売
ということです。

 

リピート客は味、サービスで満足する

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ではリピート客には、どんなアプローチをすればいいのでしょうか。
同じものを何度も買ってくれる人は、新規客と求めているものが違います。
リピートするということは、 一度商品を手に取り、買ってくれて、食べてくれて、気に入ってくれたからまた買ってくれるわけで。
それは、あなたのファンですよと言ってくれているようなものですよね。
ということは、リピート客に対してあなたがするべきことは
ファンサービス
であるべきです。

ある程度の価値は伝わっているんだという解釈をしたうえで、

栽培に力を入れて、よりよいものをお届けしていく。
サービスの質をアップして顧客満足度を高めていく。
長く継続してくれるための施策をとる。

これらは、いわゆる「いいものは売れる」と思っている人達がやっている
品質を高める
という行為ですよね。

ここで大事なことは。
多くの農家がやっている「いいものを作る」という行為は、リピート客に対して有効に働くんだということです。

 

野菜セット農家の戦略

リピート客に出すべき情報と、新規客に出すべき情報。
リピート客が求めているものと、新規客が求めているもの。
その違いを知っておくことは重要です。

有機農業によく見られる野菜セット農家は、定期宅配というシステムを採用していることが多く、いわゆるリピート客を抱えています。
そして。
それと同時に、新規客を常に獲得しなければならないという課題も持っています。
この、新規顧客獲得と定期宅配。
この両者を惹きつけるための商品は別に存在していて、ビジネス的には、
フロントエンドとバックエンド
と呼ばれます。
フロントエンドは、新規顧客を獲得するための低額もしくは無料の商品。
バックエンドは、利益の出る高額の商品もしくはリピート商品。

野菜セット農家は、フロントエンドとバックエンドをたくみに操ることで、
新規客を獲得しながら、リピート客を維持していっているわけです。
そのときに。
2つの方向性をもって経営を動かしているという認識は大切になってきます。

 

努力の方向性を定めるためにも顧客を知る

どちらに何を見せていくのか。

魅せ方を間違えると、買ってもらえないし、続けてもらえず離脱率が高まってしまう
という悲劇に陥りかねません。
自分が今やろうとしていることは、新規客に響くのか、リピート客に響くのか。
いま力を入れなければならないのは、新規客の獲得なのか、リピート客の維持なのか。
といったことを考えた上で、
栽培に力を入れた方がいいのか、その商品が持っている価値を伝えることに注力するのか、
を考えながら、努力の方向を定めていくべきだという話です。

ただ単純に
いいものを作れば売れる
という姿勢ではだめなことがお分かりいただけたでしょうか。
参考になれば幸いです。

 

 

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

つづきはこちら

 

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