多品目有機農家は大手宅配会社と競合しない

らでぃっしゅぼーややオイシックスに代表されるような大手食品宅配会社では
旬の野菜を詰め合わせた定期宅配
という販売方法をとっています。
全国各地の契約栽培農家から農産物を集めて、それらを各家庭向けに農産品セットとして詰め合わせて、全国各地へ配送していきます。
こういうスタイルの販売方法はじつはけっこう前からあって、らでぃっしゅぼーやが設立されたのは1988年、草分け的存在である大地を守る会は1975年に設立されています。
けっこう長いですね。

大手食品宅配会社の特徴は、品目ごとにいる専業農家から農産物を集めて宅配用セットをつくっているという点です。
キャベツ農家、ダイコン農家、小松菜農家、といったそれぞれの野菜を専門に育てている農家から集めているので、ひとつひとつの品質はレベルが高いです。
欠点は、全国から集めて全国へ配送するという集荷・配送の時間的ロスが大きいこと。
これは鮮度にかかわってくるので味が落ちてしまうという致命的な欠点になります。
もうひとつの欠点として、有機野菜だ無農薬野菜だと安全性をウリにしているのにあまりに多くのスタッフ・農家が関わることで透明性が損なわれてしまい、結果として購入者の安全に対する不安を払しょくしきれない部分があることが挙げられます。
大規模に経営をしていくことの弊害ですね。

これらの欠点を補うかのように経営をしているのが家族で営んでいるような小さな有機農家です。
収穫した野菜をその日のうちに梱包して発送することができるので、翌日には購入者のもとに届きます。
鮮度が味に与える影響は非常に大きいため、当日もしくは翌日に届くというのは大きなメリットです。
また、ひとつの農家がすべての農産物を育てて発送するため、その農家を信頼できるのであれば安全・安心につながります。
透明性はかなり高いです。
逆に、大手宅配会社ではメリットであった農産物ひとつひとつの品質が、大手に比べて劣るという欠点を持つことになります。
多品目でいろんな種類の農産物を育てるのと、ひとつの農産物に特化してそれだけに集中して栽培していくのと、どちらがよいものを育てられるのかは明白でしょう。
もちろん個人差があるので全体としてみれば、の話です。
多品目でやっていてもかなり高いレベルで栽培する農家もいますし、単品目で栽培していてもいまいちな結果しか出せない農家もいます。
そういうばらつきはありますが、全体としてみれば多品目栽培は品質低下を招いている傾向があるということです。

 

大手会社と個人農家の客層は違う

シャッター通り
大手宅配会社が乱立する中で、個人の小さな有機農家も同じような野菜セットを売っている。
というのが今現在の日本です。
ふつうに考えれば、競合して小さな有機農家は淘汰されていきそうな気がしませんか?
大型店舗が出来たことによって、近くで商店街を形成していた小さな店舗がどんどんつぶれていく。
というのはよくある話ですが、これをオーガニックマーケットにも当てはめれば小さな有機農家はどんどんつぶれていってもおかしくありません。

ところが、そうなっていません。
むしろ有機農家の数は年々増加していっています。
大手につぶされない理由、それは
じつは競合していない
ということなんです。
先に書いたように、大手宅配会社の野菜セットには欠点があります。
鮮度と透明性。
これらの点において満足できない消費者が、小さい有機農家に救いを求めてくるんです。
大手が拾い切れなかったこだわりの強い消費者を、小さな農家が拾っているんです。

そして、大手宅配会社は急成長を続けています。
それに合わせるように、大手の網にかからなかった消費者の数も比例するようにどんどん増えています。
つまり、小さな有機農家から買いたいと思っている人たちがどんどん増えているということです。
これは、有機農業で新規就農したいと考えている人によっては歓迎すべきことですよね。
市場が拡大しているんですから。

 

多品目栽培農家の優位性

オーガニック市場の拡大、有機農家からの直送セット野菜への需要増加。
まだまだ農家が足りていないというのが現在の状況です。
新規就農のチャンスです。
らでぃっしゅぼーややオイシックスが成長しているうちは大丈夫です。
とりこぼしも増えていきますから。

と、ここで心配事が。
新しい農家がどんどん生まれて成長して、需要を充分に満たせるようになる、そして供給過剰。
多品目有機農家が増えすぎて顧客を奪い合うようになる。
なんてことはおそらくありません。
なぜなら。
多品目栽培は非常に難しいからです。
進撃の壁
(画像:アニメ「進撃の巨人」より)
難しいから新規参入者のなかでも一定割合しか生き残れません。
ある意味、最大の参入障壁といってもいいかもしれないくらい高い壁です。
それでもなんとか生き残っていけば・・・逆に安住の地になるわけですよ。
一定の需要があるなかで、新規参入者が長く生き残れないくらいの難易度の高さをもっている。
だから生き残った農家は非常に安定して経営していける。
というわけです。


自分は絶対に生き残れる!
という方にはぜひお勧めしたい経営形態が多品目栽培&野菜セット定期宅配です。

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

つづきはこちら

 

関連記事

  1. いいものは売れる、は顧客目線を意識しなければ努力が無駄になる

  2. 単価を上げるテクニック「まとめる&分ける」

  3. 有機農産物=安全というアピールだけでは不十分

  4. 入念なリサーチだけで新規就農は有利になる 競合とは?

  5. 新規就農者必見! 小さな農家の生き残り戦略

  6. 競合する農家とは同じ土俵で戦わない