新規就農したいと考えている人。
とくに有機農業をやりたいと考えている人は、おそらく環境問題にも敏感なのではないでしょうか。
環境のため。
自然のため。
環境の優しい農業をやりたい。
お金のためだけではなく、地球の未来のために農業をやるんだ。
という方が、じつはけっこう多いような気がしています。

もちろん、そういう高い志は大切でしょう。
環境になるべく負荷をかけないように農業をやっていこうと模索する。
素晴らしいことだと思います。
でも。
環境問題はかんたんには語れません。
からみあう要素が多くて複雑すぎるため、なにが環境によくてなにが環境に悪いのかを判断できる人はほとんどいないからです。

有機農業をやりたい。
という動機のなかに環境問題への意識があるなら、それはそれで素晴らしいとは思いますが、

環境に優しい農業をやっているんだ!

と力強く主張するのはほどほどにしておいたほうが無難でしょうね。
今回はそのあたりの、慣行農業でも有機農業でもそれほど環境負荷に違いはないんじゃないの?という話になります。
どうぞ最後までご覧ください。

 

蝶の羽ばたきが嵐を起こす

農薬や化学肥料を使った慣行農業。
農薬や化学肥料を使わない有機農業。
どちらが環境に優しい農業だと思いますか?

結論から先に言ってしまえば、有機農業のほうが環境にいいかどうかなんて簡単には言えません。
農薬や化学肥料を使った慣行農業よりも有機農業のほうが環境に優しい、という風潮が世間にはあるようですが、環境問題を考えると様々な要因が関わってくるため簡単に結論を出すことはできないんです。
環境問題に対するアプローチも違うため、単純に比較はできません。

ただひとつ言えるのは、有機農業をしている農業者のほうが慣行農業の農業者よりも
環境問題を意識している傾向が強い
ということでしょうか。
その農業自体が環境に対してどのように影響しているのかについて言い切ることはできませんが、環境についてより深く考えていることだけは言えると思います。

つまり意識の差でしかない、ということ。
でももしかしたら、その意識の差が将来的に環境にとって大きな差を生むかもしれませんよね。
おおきなうねりになって、環境改善に多大な効果をもたらすかもしれませんよね。
そういう希望もありますから一概に、意識だけかよ!と残念に思う必要もありません。
蝶の羽ばたきが嵐を起こす
なんていう例えがあるくらいですし、小さなことでもコツコツとやっていくことが大切です。

 

地球は「人間ウザイ」と思っているかもしれない

地球温暖化

まず大前提としておさえておかなければならない重要な事実があります。
それは。
農業という活動自体が環境破壊だということです。
ここを考えないで環境問題を語ることはできません。
人間の存在そのものが地球にとって害である、というみなさんも同意してくれそうな大前提と同じように、農地で食料生産をするという行為そのものが地球にとっては迷惑だということを知る必要があります。
あえて書くまでもありませんが、人間は地球上で傍若無人にふるまっています。
好き勝手やっています。
私もみなさんも、もちろん人間ですからその所業はご存じのことと思います。
自覚もあると思います。

その人間が、生きる上で大切な食べ物をつくっている。
農地を整備して、そこで食料の生産活動をしている。
この事実は地球にとって迷惑なことだということを、環境うんぬん語るときには頭に入れておく必要があります。

人間の立場でみれば必要かつ大切な農業。
でも地球の立場でみれば不必要かつ環境破壊にすらなっている農業。
こういう視点の違いによる逆転は日常ではよくあります。

 

ジョギング

たとえば。
私たちは運動をすることが健康につながると考えています。
健康を維持するためにウォーキングをしたりジョギングをしたりしますよね?
運動をすることで得られるさまざまな効果によって、健康を維持することができます。
まあ、ウォーキングはダラダラ歩いているだけじゃ効果がないらしいですが。
スポーツも健康に寄与する素晴らしいものとして考えられています。
私たちにとって運動は健康のために必要なものだと言えます。
でも。
こんな意見があります。

心臓には寿命がある。
車のエンジンと同じように、長く走っていればいつかは壊れる。
その寿命はだいたい決まっていて、心拍数2億回がひとつの目安。
そして総心拍数はみんな同じ。
心拍が遅いゾウは100年生きることができるが、心拍の速いネズミが短命なのは心臓に寿命があるから。
だから。
運動をして心拍数を上げてばかりいると短命になる。
スポーツマンに短命が多いのはこれが理由である。

このことが科学的に証明されているか私は知りません。
でもある程度根拠がありそうな話だと思います。
運動は健康であるために必要なことだけど、運動ばかりしていると心臓に負担がかかって寿命を縮めてしまう。
健康という立場でみれば運動は必要なもの。
寿命という立場でみれば運動は不必要なもの。
ということです。
視点が変わると結論が変わるんです。

 

有機農業だから環境に優しいとか、慣行農業だから環境によくないとか。
そういうことを言っている以前に農業活動そのものが地球にとっては害です。
もしかしたら地球にとっては有機だろうが慣行だろうが大きな差がなく農業活動は苦痛なのかもしれないんです。
そのことは忘れてはいけません。

 

慣行農業だって努力を続けています

有機農業は環境に優しい農業だと言われています。
有機栽培や減農薬栽培にたいして国は、環境保全型農業という呼びかたをしています。
それは。
農薬が環境にたいして負荷をかけているとか、過剰な化学肥料の投入で土が疲弊したり富栄養化で河川が汚れたりしているとか、これまでの慣行農業での環境に対する悪影響、マイナス面を取り上げて改善していこうという意識の表れです。
少なからず環境に対して負荷がある農薬や化学肥料を極力おさえて、持続可能な農業をしていこうという動きを推進するものです。

 大気汚染

たしかにそういう暗黒の時代、農薬や化学肥料が環境汚染の要因になった時代があったのは事実です。
川の魚がぷかぷかと大量に浮かんでいた、そんな時代もありました。
工場から垂れ流される排水に含まれた化学物質によって、全国各地で公害病が起きていたそんな時代のことです。
大気汚染も問題になっていました。
農薬だけでなく、いろいろな面で暗黒だったわけです。

でも。
農薬問題でも触れたが、技術は進歩しているんです。

    詳しくはarrow070_01農薬が危険だと思っている人へ 技術は進歩する

慣行農業はいつまでも停滞していません。
農薬の残留性は低くなり、散布して数日後には成分が分解されてしまうようになりました。
ピンポイントで特定の虫や病気に効くように改良されてきました。
化学肥料だけではなく、有機肥料も混ぜてつかうことで土を健全に育てていこうという動きは慣行農業のなかにも出てきています。
完璧ではないにしても、以前にくらべて明らかに改善してきているのは事実です。
いつまでも昔の暗黒時代と同じ思考でいると、時代に取り残されてしまいます。

というように。
農薬や化学肥料を使う慣行農業は、日々進歩しています。
ひどかった時代とは比べものにならないくらい良くなっています。
ゼロではないにしろ環境問題について以前ほどメディアで取り上げられなくなったのは、こういう日々の進歩があるからだと思います。

 

有機農業だから環境に優しいとは言いきれない

では有機農業はどうでしょうか。
もちろん。
有機農業だから環境に全く負担がないとは言えません。
農薬も化学肥料も使わないから環境に優しいんだ!
という主張はありますが、有機肥料でもたくさん使えば富栄養化をまねいてそれが河川や海に流れ、環境汚染を招きかねません。
そして。
慣行農業に比べれば全体として収穫量が劣る有機農業は、その事実だけでも問題を抱えていると言えます。
有機農業は、農薬を使わないのでうまく育たないことも多く収穫量が安定しません。
めちゃくちゃうまく作れる達人級農家は慣行農業に見劣りすることなく見事な結果を出しますが、全体としてみれば慣行農業にくらべて収穫量が少ないのは事実です。

最初に書きましたが、農業という行為自体は環境破壊になっています。
収穫量が少ないということは、必要な食料を確保するためによりたくさんの農地面積が必要になるということ。
それだけ環境破壊する面積を広げてしまうということです。
小さい面積で効率よくたくさん収穫していく慣行農業のほうが、環境負荷が小さいという見方ができるわけです。
もし仮に。
今の有機農業の技術レベルで、100%のシェアを持ってしまったら・・・。
日本では1%にも満たない有機農業のシェアが100%になってしまったら・・・。
農地面積は今よりもっと必要になって、より環境破壊が進んでしまう。
そんな可能性があるということです。

 

肉を食べる人間で考えてみる

有機農業と慣行農業。
そして地球。
この関係に似ている例をひとつ挙げてみます。
というか例を出さないと分かりにくいですよね。

放牧

添加物や抗生物質を使わずに安全でおいしい食事を与えられ、放牧されて運動もしつつ、のんびりと育てられた牛。
⇒有機農業

とにかく安定生産、増産のために狭いところに閉じ込めて運動もさせずに、高カロリーの食事をさせてぶくぶく太らせて育てられた牛。
⇒慣行農業

この牛たちを頂くとして。
地球 = 人間
どちらを食べたほうが健康にいいのかといえば、のんびり牛だと思います。
でも美味しいのはどちらかといえば、もしかしたらぶくぶく牛かもしれません。
だって脂肪たっぷりできれいな霜降りになっているかもしれないですから。
まあこのへんはとくに問題じゃなくて。

人間にとってはどちらを食べようが大きな差がなかったりするんです。
つまり安全性とか味とか言っている以前に。
そもそも肉の食べすぎはよくないじゃん、という意見があります。
いくらこだわりの肉牛であっても摂りすぎはよくない、ぶくぶく太った霜降り牛でも少量しか食べなければ体に負担はかからない。
食事のバランスが大事だと。
さらに。
肉ばかり食べていても健康な人もいるし、食べ過ぎても問題ない人もいる。
劣悪な肉ばかり食べていても大丈夫な人もいれば、安全だと思われている肉でも食べて健康を害する人だっている。
人間によって肉牛の影響は違うんです。


だから。
地球にとっては有機か慣行かなんて小さな問題にすぎない。
そもそも農業をしていること自体、人間が増えすぎていること自体に問題がある。
ということです。

 

現状に満足せず改善を続けていくことが大事

慣行農業では。
農薬や化学肥料の使用をおさえて、なるべく環境に負担の少ない農業をやっていこうと努力する。
有機農業では。
栽培技術レベルの向上を図って、生産性を上げることで必要農地面積の減少につなげていこうと努力する。
両方のアプローチで環境問題に取り組んでいく。
そういう姿勢が今の日本にはあります。
どちらがよくてどちらが悪い、ということは明確には言えません。

そして。
どんな要因が環境へどのような影響を与えているのか。
多くのことが絡み合い、影響は長期にわたるのでそれを実証するのは困難です。
それでも。
なるべく環境に負荷が少ないと思われることをやっていく。
選んでいく。
そういう姿勢は大切ではないでしょうか。


だって安全で美味しい肉、食べたいですもん。

 

 

栽培が下手でも時給3000円で働く農家になる方法とは?

もしかしたらあなたは、ひたすら栽培技術を磨こうとしていませんか?
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そんな道どこにあるの?じつは・・・

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有機栽培農家・松本がやってしまった間違いとは?

農業をやりたいと考えたときに最も重要なことは

栽培技術の習得

であることは間違いありません。商品ができなければ何も始まりませんから。
ちゃんと作物を栽培できて、ある程度のレベルの農作物を自分で作れるようにならなければ、当たり前ですが買ってくれるお客様はいないわけです。
だから栽培技術を身につけることは最低限やらなければならないはずです。

じゃあここで、あなたが、農業のなかでも難しいとされる無農薬栽培に挑戦しようと考えていたら・・・。自分の育てたものを消費者に直接お届けしたいと考えていたら・・・。

それはほとんどの場合。
有機農業では王道とされる、野菜セット農家になるということです。
たくさんの種類の野菜や果物、米などを育てて、それを詰め合わせボックスという形でお客様へお届けする。
そういう農家です。

当サイトの管理者・松本は、この野菜セット農家になるときに大きな間違いをしてしまいました。

それは・・・

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