今現在サラリーマンだという人にとって、新たに農業を始めるのは勇気がいることです。
農業に限らず、現状を打破して新しい一歩を踏み出すのは相当な勇気がいります。
たとえ現状に不満があったとしても、それでもなんとか生活できているのであれば、今を壊してまで別の道へ進むことの怖さは誰しもが感じることです。
その一歩を怖じ気づくのもわかる気がします。
でも。
本当に農業をやりたいと思うのであれば、やっぱり前に進まなければならない。
一歩を踏み出せなければ何も変わりません。
新しいことをやろうとすれば、なにかを犠牲にしなければならないんです。
今回は。
新規就農における心の問題に触れていきます。
農業をやりたいと強く願っているけどどうしても前に進めない。
最初の一歩が出せない。
そんな方へ。
モノの見方や考え方を変えると、抱えている心の不安が軽くなったりすることを知ってほしいと思います。
すべての人に当てはまる考え方ではありませんが、だれか一人でも心に響くものがあれば幸いです。
目次
遠くにもっと大きな目標を設定する
農業を仕事にして新しい生活をスタートさせる。
それはゴールではありません。
あくまでもスタート地点です。
勉強をしたり農業研修を受けたりして、新規就農するために必要なものを揃えたりして、実際に農業を始めるところまで辿りつく。
そこはゴールではなく、やっとスタート地点に立っただけ。
実際に営農して、学んできたことを実践して、生活できるような稼ぎを得て、ようやく新天地になじむことができます。
では。
一人前の農家になることはゴールなのかというと。
そこは中間地点にすぎないんです。
もちろん人によってイメージしているゴールは違います。
具体的に年収1000万円というゴールを設定する人もいれば、田舎に引っ越してきて農業を仕事にした時点でそこがゴールだと感じる人もいます。
でもまあ。
一般的には農業を仕事にして自分の生活を支えられることが目標であることが多いと思います。
これから農業を始めようかと考えている人にとって、農業でちゃんとした稼ぐを生みだすということ自体が遠い目標です。
世間的には農業だけで生活できている農家はそれほど多くありません。
そんななかで自分は農業で食っていけるのだろうか。
そういう不安はあって当然だと思います。
だからこそ。
あえて遠くにもっと大きな目標を設定してみてください。
農業で生計を立てる、この目標よりももっと先にさらに大きな目標を用意するんです。
より高い壁を遠くに作っておくことで、相対的に手前の壁が低く見える。
という錯覚を利用するんです。
地方都市の市議会議員に立候補するときに、将来は総理大臣になるんだという高い目標を設定しておく。
大学生が就職活動をするときに、会社に入社できたら将来はそこで社長になるんだという高い目標を持つ。
アクセサリー教室に通い始めるときに、将来的には独自ブランドをつくって事業展開していくことを想像してみる。
これからやろうとしていることが小さく思えるような、大きな目標をさらに先に用意しておくんです。
ただし。
この手法は誰にでもうまくいく話ではありません。
すでにある目の前の壁(新規就農)をものすごく高く感じているなら、さらに遠くに高い壁を作ったとしてもその壁は見えないかもしれません。
遠くに設定した目標があまりにも途方のないものだったら、手前の目標にはなんの変化をもたらさないかもしれません。
ようは目標設定の仕方がちょうどよい塩梅じゃなきゃいけないので、うまく目標を決めるためのコツが必要だということです。
事業を展開させてみる
目標設定が難しいとはいえ。
一度決めたら終わりというものではないので、いろいろと遠くの目標を変えてみて心境の変化をみてみるといいんじゃないかと思います。
トマト農家になるという目標があるなら。
うまくトマトを栽培して経営が軌道に乗ったあと、そのトマトを加工して売ることも視野に入れてみる。
つまり6次産業化を考えてみるといいかもしれません。
それが気乗りしないなら、「奇跡のトマト」とか言ってメディアに取り上げてもらえるのを目標にするのはどうでしょうか。
皇室専用の農産物を生産する御料(ごりょう)牧場(栃木県)を差しおいて、トマトだけは自分のところから買ってくれるように、とか。
たとえば自然栽培で農業をやっていきたいと考えているなら。
農家として生計を立てるという先に、自分なりのアレンジを加えて新しい農法を提唱することまでイメージしてみる。
自分の農法を体系化して書籍出版を想像してみる、とか。
自然栽培農家を束ねて販売を一元化するシステムをつくるとか。
取引先を飲食店と定めて営農を考えているなら。
最初は近隣の飲食店との取引をするけど、最終的にはミシュラン認定三ツ星レストランとの取引ができるところに持っていく、と想像してみる。
最初は個人でやっている小さなお店からスタートして、全国展開している大規模チェーン店との取引までもっていくとか。
自社の農場に和食用、イタリアン用、フレンチ用、中華用の品目品種を分けた栽培区画をもうけて多方面での販売を手掛けていくとか。
などなど。
これからやろうとしている農業、新規就農をして作物を育てて売るという一般的な形態の次の展開を考えてみるんです。
それはひとつではありませんから、いろいろと想像してしっくりくるもの、わくわくしてくるものを残してください。
そうすることで、まず最初に乗り越えなければならない壁が小さく思えてきます。
まだ先にやるべきことが待っているんだから、こんなところで足踏みしている場合じゃない。
さっさと乗り越えて次のステージに行かなければ・・・という意識ですね。
しかも。
次を意識することは、今やるべきことにも影響を及ぼします。
まったく別のことをやろうとしているわけではなく、同じルート上に高い目標を置くわけだから近くの低い目標にも関連があるんです。
さきほどの例で言うと。
トマト農家として生計を立てるだけじゃなく、6次産業化も最初から視野に入れていれば。
加工に向いた品種を初年度から栽培して経験を積むことができます。
就農当初から自然栽培をアレンジして体系化するつもりで栽培に取り組めば。
自然栽培という枠にとらわれないで栽培を考えるようになるし、自分自身の考えを整理して文章にまとめようとするかもしれません。
人に教えることが前提なので技術のマニュアル化が進むかもしれません。
先を見据えて高い目標を遠くに設定すると、事業を展開していくうえでプラスに作用するし、今現在の取り組み姿勢も変わってきます。
これから新規就農でトマトを栽培していく、その次はラーメン屋を始めようかと思っています。
というような繋がりのない目標設定は意味がないけど、なにかしら関連がありそうな目標を遠くに定めることは有効だと思います。
余裕のあるときに妄想にふけってください
新規就農のことで目一杯考えている。
そんな先のことまで考えられない。
という意見もあるかと思います。
もちろん目の前のことに集中することも大事ですし、全力で壁を乗り越えてほしいですが2つ目の壁を持つという意識を頭の片隅にちょっと残しておいてください。
すべての人にお勧めはできませんが、目の前にある目標にも影響を及ぼす遠くの目標には一定の意義があると思います。
参考になれば幸いです。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・