このブログでは、新規就農するにあたっての考え方や姿勢、どのようなことに気を付けて段階を踏んでいけばいいのかについて書いています。
とくに、有機農業をやっていきたいと考えている人のなかには
お金がなくても生き甲斐として農業は素晴らしい仕事だ
というような清貧思考の人が多いことから、お金にまつわる情報もたくさん提供しています。
さてここで。
もしかしたら勘違いしている人もいるかもしれないので改めて書きますが、このブログを熟読しただけでは新規就農することはできません。
今現在でも、今よりもっと記事が増えていっても、このブログだけでは就農できないんです。
それはなぜかといえば。
実践するためのノウハウがほとんど書かれていないからです。
当ブログで書かれているのはあくまで考え方なんです。
正直に言ってしまえば、実践するためのノウハウなんてものは世の中にあふれています。
探せばいくらでも出てきます。
ようするに作物の育て方とか売り方とか、そういったノウハウのことです。
学校だってありますし、書籍だってたくさん出ています。
そういうところにお金を払って勉強すればいいだけ。
でも。
それよりももっと大切な「考え方」がどこにも載っていない。
もしくはしっかりと整理されていない。
だからこうしてみなさんに情報をまとめて提供しているわけです。
今回は。
「考え方」と「実践ノウハウ」
これらの関係について詳しく書いていきます。
興味がありましたら是非ご覧ください。
目次
事業の基礎となるのは考え方
新規就農に対する考え方。
というよりも、サラリーマンから自営業者になるための心構えと言ったほうがしっくりくるかもしれません。
会社に雇われながら働くのではなく、自分の力で収入を得ていく事業者になる。
これは働き方としては間逆です。
雇用者と被雇用者ですから。
経営者思考とサラリーマン思考という対比をしてもいいかもしれません。
脱サラをして新規就農するときには、まずサラリーマン思考を捨てなければ失敗します。
だからこそ。
このブログでは、新規就農するにあたって身につけてほしい事業者としての考え方を書いているんです。
考え方というのは、家でたとえると基礎にあたります。
ここがしっかりしていないと、基礎の上に立っている家はグラグラと不安定になりますし、そこに住む人も不安を抱えながら生活することになります。
強固な基礎がなければ、しっかりとした家は建たないんです。
じゃあ、基礎の上に立っている家はなにかというと
生産と販売
このふたつです。
一般的に、既存の農業者や新規就農希望者は生産のことしか頭にありません。
販売がおろそかになっている場合が多いです。
でも。
生産と販売の両方をしっかり考えていたとしても、それらを支える土台が盤石でなければちょっとした変化や衝撃で耐えることができません。
異常気象だと騒がれている天候不順にいちいち一喜一憂したり、TPPで農業は壊滅する!とか騒いでみたり。
そういうのは、基礎である考え方がしっかりしていないから起きるんです。
経営者としての考え方、ビジネスとしての農業をちゃんと知って基礎を作ってあれば、異常気象もTPPも怖くありません。
逆に。
考え方がしっかりしていなくて、販売のことも頭にない。
考えているのは生産のことだけ。
そんな農家は長く生き残っていけるわけがありません。
農家は意外と販売について考えていない
基礎の上に立つ家、それを構成している販売について考えてみます。
そもそも販売とはなにかというと。
どのように営業をかけて、どのような契約を交わして、どのような商品をいくらに設定して売っていくのか。
発送するにあたっての事務処理、納品書や請求書の発行や集金はどのようにしたらいいのか。
そもそも顧客管理はどのようにしたらいいのか。
といった経営における生産以外のほとんどを指します。
以前に。
自営業の経験があるなら研修はいらないといったことを書きました。
農業って未経験者でも始められるの?
それは、生産に関わる部分をのぞけばほとんど全ては商売の経験があれば充分こと足りるからそのように言っているんです。
でも。
農業をやりたいと考えている人のなかに自営業の経験がある人はどれほどいるんでしょうか。
商品を仕入れて販売するという経験があるでしょうか。
ようするにサラリーマンではない、給料というお金の稼ぎ方ではない仕事ということですが。
おそらくほとんどいません。
だからこそ研修が必要なんです。
極端なことをいえば、商売の経験を積むのであれば農家に教わる必要はありません。
八百屋でも花屋でも弁当屋でも、自営業者から学べばいいんです。
ただしアルバイトで終わってはだめです。
しっかりと経営すべてを教わる必要があります。
快適に住める家をつくるには、基礎である考え方はもちろん販売に関するノウハウも備えていなければだめです。
作業者と管理者ではまったく立場が違う
考え方と販売。
これらと平行して必要なのが栽培技術の習得です。
農業というと栽培ばかりに目がいきますし、栽培さえ秀でていれば農業では成功のように語られがちですが、じっさいには栽培はたくさんある業務のなかのひとつにすぎないわけです。
ちょっと考えてほしいんですが。
会社組織のなかで、給料をたくさんもらっているのはどの職種ですか?
製造ラインで働く人たちですか?
事務を担当している人たちですか?
違いますよね。
商品の企画や開発
管理職
役員
ようするに頭を使う仕事をしている人たちが高い給料をもらっていることに気づいてください。
栽培すること、それ自体は誰にでもできる単純作業です。
覚えてしまえばたいした作業ではありません。
難しいのは栽培管理。
いつどこにどれくらいの種をまくのか。
耕す深さやタイミング、肥料設計。
顧客の要望にどこまで応えていくのか。
必要だと言っている栽培の実践的ノウハウはここなんです。
作業者としての小手先テクニックではありません。
上っ面の作業を覚えたところで、そんなものはどこでも誰からでも教われますから。
誰からでも教われるということは、言い換えるとアドバンテージにならないということ。
ゆるいとはいえ、農業にも競争はあります。
限られた需要を奪い合います。
そんななかで、誰でも知っているノウハウにどんな価値がありますか?
はっきりいってありません。
競争から抜け出すためのノウハウは、実際に抜け出しているところからしか学べません。
それを持っている農家は一握りです。
どんな状況でも戦える栽培技術をもっている農家は少ないです。
でもそういう農家から教わることができれば、あなたにとって必ずプラスになると思います。
ちなみに私にはそういうノウハウはありません。
栽培に関してはどっちかといえばヘタクソの部類ですから。
考え方があってこそ生産と販売が活きる
このように。
変化や衝撃に強い農業経営をしていくためには、生産と販売の両輪が機能する以前に
考え方
が強固な基礎としてなければダメだということです。
世の中にあふれている実践的なノウハウは、考え方という基礎があって初めて生かされるということを知ってください。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・