農家が収入を増やす3つの方法

これからの10年で日本の農業が大きく変わっていくことを前回の記事で書きました。
2030年に生き残れる農家と死んでいく農家
今回はまたすこし違った角度で10年後の未来について考えつつ、農家としてどうやって生き残っていくべきかを示していきます。

稼げる農業が未来には必要

10年後の未来について考えるとは言ったものの、予想するだけではおもしろくありませんよね。どのような2030年になっていればいいか、どのような日本農業になっていればいいかを考え、そこを目指したほうが夢がありませんか?
今がまさに関ヶ原合戦、時代の分岐点なので進むべき方向は知っておいて損はありません。

それぞれの農家にはそれぞれの想いがあり、何を目的にするのかによって目標が違ってきますが、農家レベルで見ても国レベルで見ても「稼げる」ことは目指すべき未来のひとつではないでしょうか。
しっかりと稼げる農家が多ければ、強い産業として存続できますし国策にもよい影響があります。しっかりと稼げる農家が多ければ、就職先の一つとして農業を仕事にする若者が増えますから。

じゃあ稼げる農業とはなんでしょうか。それはちゃんと利益を出せる農業です。農業は規模も品目も、販路もちがう様々な農家がいますが、どんな形であれしっかりと利益を残せる農家は長く続けられますし魅力的に見えます。
では利益とは何か。これをしっかりと考えておくと、農家はずいぶんと営農しやすくなります。

商売での基本公式「売上-経費=利益」

さてここで算数の時間です。モノを売る商売ならほとんど当てはまる公式があります。

売上 経費=利益(所得)

商品を作ったり仕入れたりするためにお金を使い(経費)、できた商品を売ってお客様からお金をいただく(売上)。その差額、売上から経費を引いて手元に残った利益が自分の収入になるという式です。
これは分かりますよね。ここからさらに売上を分解すると

単価×数量-経費=利益(所得)

という式ができます。モノを売る商売の場合、1つ〇円の商品を何個売ったかで売り上げが決まるので、単価×数量がほぼイコールで売上になります。

たとえば大根農家でいえば、1本100円の大根を10万本売れば売り上げは1000万円になり、それを作って売るために種代・肥料農薬代・資材費・機械代・出荷手数料など700万円の経費をかけていれば
1000万円-700万円=300万円
利益が300万円手元に残るわけです。

農家のカタチに合わせて利益を追求する

農家が稼ぐ農業をするとき、つまり今よりも利益を大きくしようと思ったときには、何に注目して利益を増やすのかを意識したほうがいいんです。自分がやっている農業のカタチに合わないところに注力してしまうと、せっかくの努力が無駄になってしまう可能性もありますから。

さきほどの公式に沿って言えば、利益を大きくするには、
①数量を多くする
②単価を上げる
③経費を抑える

この3つしかありません。
たくさん作るか、高く売るか、安く作るか、これだけです。大事なことは、自分のポジションによってどこに注目するのかを変えることです。

おおざっぱに書きますが、「①数量を多くする」が向いているのは大規模農業です。栽培面積を大きくすれば農産物は多く収穫できます。もしくは面積は同じでも反当りの収量を増やせば収穫量が大きくなります。このやり方が向いているのは規模拡大をしていきたい大規模農家です。

いやオレは大規模化したいわけじゃない、現状の栽培面積でなんとか利益を増やしていきたい。そんな方は「②単価を上げる」に注力すべきです。収穫量を増やさずに売り上げを大きくするには、商品の付加価値を高めることで単価を上げていくしかありません。
それはたとえば、栽培技術を追求していくことで品質を高めるとか。秀品率がアップすれば単価の高いものが多く売れることになりますし、その品質が評価されることで高値で取引されることもあるでしょう。
付加価値を高めるのは品質だけじゃありません。ギフト用として丁寧に梱包するとか、珍しい品種を採用して希少性を狙うとか、商品にまつわるストーリーを発信することで他との差別化が図れるとか、いろいろあります。
都市型農業や中山間地域農業など、規模拡大路線が難しい地域で農業をやっている方はそもそも大規模農業とは相性が悪いですから、「②単価を上げる」ことによって売り上げを大きくしていくことになると思います。

そして「③経費を抑える」ですが、JA出荷している農家のように周辺農家との兼ね合いで規模拡大しにくいとか、共販なので付加価値を高めることがそもそもできないなど、「①数量を多くする」「②単価を上げる」によって売り上げを大きくすることが難しい農家であっても、経費を抑えることで利益を増やしていくことができます。
もしかしたら「今でも十分経費を抑えてやっとるわい!」と言うかもしれません。ですがJAで購入している肥料や農薬をホームセンターや他の資材屋で価格を比較してみたことはありますか?JAや農機具屋の言われるままに、規模に見合わない大きな農機を買ったりしていませんか?作業手順を見直したり労働環境を改善するなど労働がコストだという意識をもって仕事をしていますか?
経費を抑えるのは地味だしケチくさく見えます。規模拡大や品質向上によって売り上げを伸ばしていくほうが効果が大きいのでおろそかにしがちです。でも無駄をなくしていくことは大切ですし、経費を抑えることで利益率が高まるのは健全経営の第一歩になります。

未来はみんなでつくるもの

このように農業での稼ぎ方にはいくつもの道があります。それぞれの置かれた環境や目指すべき方向に合わせてキーポイントを決めればいいと思いますので、周りの意見に振り回されないように突き進んでほしいですね。
これからの10年、日本の農業は大きく変わります。その変化に乗れるのか、それとも振り落とされてしまうのか、運命を決めるのは自分自身ですよ。

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多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

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