新規就農のハードルは人によって高さが違う

インターネットで色々と調べてみたり、山のようにある書籍を買いあさって読みふけってみたり、あちこちの農家へ見学に行ってみたりして、農業をやりたいという気持ちがどんどん高ぶってくる。
でも決心がつかない。
農業を仕事にしていこうと考えているけど、あと一歩ふんぎりがつかないというか躊躇してしまう自分がいる。
そんなことはないでしょうか。

自分は情けない人間だ。
これだと思った世界に踏み出せないでいる。
決断力のない弱い奴だ・・・。

そんなふうには考えないでください。
人それぞれ事情は様々ですが、新しい環境に飛び込むことは簡単ではありません。
飛びこめないのが普通です。

でも。
やりたいけど踏み出せない、このジレンマをどうおさめたらいいでしょうか。

置かれている環境はみんな違いますし、背負っているものの重さもそれぞれです。
人生観や宗教観、どんなことを重要視して生きているのか、様々な価値観があります。
だからこそ新規就農するときのハードルはそれぞれ高さが違うんです。

脱サラして一歩を踏み出せないからダメ人間!
ではないことをまず覚えておいてください。
そのうえで。
新規就農したいけどどうしても一歩が踏み出せない人のために。
決心や覚悟のハードルをどのように下げていくのかを考えてみます。

 

独身と妻帯者ではおかれている状況がまったく違う

新規就農しようと思ったときの、その人が置かれている立場によってハードルの高さはまったく違ってきます。
たとえば独身者。
社会人として独立して、誰かを養うわけでもなければ誰かに養ってもらうわけでもない。
自分さえ食えればいい、という自由な状況。
だとしたら、新規就農するのになにも怖いことはありませんよね。
失敗したっていいじゃないですか。
背負っているものがないんだからいくらでも復活できます。
身軽であることは、就農ハードルを下げるための何よりの条件になります。

 

でも妻帯者は違います。
妻がいて、子どもがいる。
もしくは養うべき祖父母がいる。
背負うべきものが多ければ多いほど、会社を辞めることは難しくなります。
そして新規就農するときのハードルは高くなります。
現状に満足しているとか不満があるとか関係なく、会社を辞めたり新規事業を興したりするのは家族を不安にさせますし、路頭に迷わせる可能性を持つことになるからです。

だからこそ。
妻帯者は周到に準備する必要があります。
家族が不安にならないように、5年先10年先の明るい未来を想像できるようなプランを提示して、石橋を叩いていくべきです。
そこには勢いとか挑戦といった言葉はありません。
用意周到。
妻帯者にはそんな言葉が似合います。

 

必要なのは勇気と決断力

ハードル

とはいえ。
妻帯者だと新規就農するのが難しいと言っているわけではありません。
高いモチベーションを保つという意味でいえば、養うべき家族や守るべきものがあったほうが有利ですし、独身者だと自分ひとり食べていければそれで充分、という低い目標を達成してだらけてしまいがちだからです。
家族がいるから頑張れる、それは妻帯者なら誰もが共感できることですよね?

家族がいるとハードルが高くなる。
それは言えますが、ハードルを越えてしまえば高いモチベーションを維持し続けるための
原動力
になってくれるのが家族という存在です。

 

ところで。
ハードルの高さには個人差がありますが、置かれている環境がどうであれハードルがあるのは確かです。
低くても越えられない人もいれば、高くても悠々と越えていく人もいます。
その差はもしかしたら勇気や決断力と言われるものなのかもしれません。
じゃあ。
勇気や決断力がない人は新規就農できないのか。

・・・うーん、できないですね残念ながら。
実際に新規就農していった人たちは、勇気や決断力があったから一歩を踏み出せた人たちです。
個人差はありますが「定年後に田舎で農業を」とか言って夢を先送りしている人たちとは持っているモノが違います。
ハードルが低ければ勇気や決断力も小さくてOK。
ハードルが高いなら勇気や決断力は大きくなければならない。
それだけのことです。

 

一歩を踏み出せないのはなぜか

足跡

家族がいてハードルが高いうえに、勇気や決断力が足りない。
とすると、新規就農は出来ないことになります。
実際そのような状況で一歩を踏み出せない人は多いのではないでしょうか。

それでも就農したい。
農業を一生の仕事にしたい。
家族を説得してなんとか転職して農業を始めたい。

というように就農する本人の意志が固いときにはどうしたらいいのでしょうか。

その答えは、考えること
一歩を踏み出せないのは何が原因なのか、考えることです。
魅力的だと感じている農業の世界へ踏み出せないのはなぜか。
ただ漠然と勇気が出ないから、ではなく具体的に何が勇気や決断を鈍らせているのかを考えるんです。

たとえばそれは、
収入への不安
なのかもしれません。
今の仕事をやめてしまえば、一時的に収入が途絶えてしまう。
農業が軌道に乗るまでの間、うまく食いつなぐことができるだろうか。
農業でしっかりと収入を得られなかったらどうしよう。

収入に対する不安が大きいからこそ、それが決断を鈍らせているとは言えないでしょうか。

であれば、収入への不安を消すために周到に準備をすべきです。
多少の時間がかかってもしょうがないので貯蓄を増やしておく必要があります。
農業研修をみっちりとやって、確実に利益を上げられるだけの栽培技術と経営能力を身につけておく必要があります。
仕事のなかでプレゼンテーションをするとき、自信をもって本番に望むために練習を重ねますよね。
オリンピックでも、本番でしっかりと実力を出せるように何度も何度も練習を重ねますよね。

本番で結果を出すために必要なのは周到な準備です。
これでもかというくらい準備をしておけば、本番で不安になることは少ないと思います。

 

とにかく考えて分析してみることをお勧めします。
ただ漠然と不安になっているだけではなく、その不安の元を探っていくことで解決の糸口が見つかります。

サラリーマンから自営業へ。
長年務めてきた会社を辞めることは勇気がいります。
一大決心が必要なのはたしかです。
だからこそ。
石橋を叩いて時間がかかったとしてもしっかりと準備をして、新規就農というステージに立つべきだと思います。

 

 

 

関連記事

  1. プロとしての自覚を持つ アマチュアとの違いを意識すべき

  2. 自分の意志で農業を仕事にすることの重要性

  3. あなたは自分の仕事に情熱を注いでいますか?

  4. 日本では大多数を占める職人的農業者に足りないもの

  5. 脱サラして農業を始めるときに注意すべき意識改革

  6. 農業は身体が資本 いざというときに備えておく4つの方法