ビニールハウスなどの施設を建ててトマト、イチゴなどを効率よく育てる。温度や湿度、水分、光や二酸化炭素までも制御して、ときにはロボットまで導入して製造業のにおいたっぷりスタイリッシュ&スマートな生産をする。それが施設園芸です。
農業界では「スマート農業」「農業DX」などテクノロジーをつかって新しい農業を推し進めていく風潮がありますが、その流れの中心にいるのが施設園芸です。
職人的な勘や経験よりもデータがものをいう世界になってきて、もともと初期投資が大きいジャンルのため個人よりも法人のほうがとっつきやすい傾向にあります。実際、資本力がある他分野の企業がどんどん参入していて競争が激化しています。
この先、環境制御はもちろん収穫や栽培管理などが自動制御になっていくと、これまでのようにアナログで
むむーよし今だ!
この生育状況で今後の天候を考慮すると・・・プランAだな
勘と経験をたよりに頑張っているだけでは勝てない時代がやってくる ・・・そんな気がしています。
農業は基本的に面積当たりの収量、収入で差は出にくく、規模によって格差が生まれますが、こと施設園芸に限っては面積が同じであっても設備や技術の差で大きな収入格差が生まれやすいです。
これから10年の変化が大きいジャンルなので、格差拡大、天国と地獄が共存する世界がすぐそこまで迫ってきているわけです。
自動収穫ロボットが最たるものですね。トマト、キュウリ、ピーマン、アスパラなど。私の 地元愛知県だとトマトの収穫ロボットでデンソー、トクイテンが最前線を走っています。
イスラエルでは果物の自動収穫も 24時間無人収穫
Tevel’s Fruit-Picking Flying Autonomous Robots
https://youtu.be/xzOf4-WaXzE?si=kZI-eT6kzYQyzKaz
こんなのが大規模農場で当たり前になっていったら個人の農家は勝てます?
格差拡大が目前に迫ってますよ。
目次
施設野菜農家の平均像
そんな施設園芸のなかでも現状の施設野菜農家の平均像はどんなものでしょうか。例によって農林水産省の統計データ「営農類型別経営統計」を見ていきます。
施設野菜で法人を除く個人農家の平均面積は約4000㎡なので、これに近い農家をピックアップします。 4000㎡のビニールハウスは壮観です。そんなスタイリッシュ&スマート農家はいったいいくら稼ぐんでしょうか。
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2019年
「施設野菜作個人経営(母数98農家)面積3800㎡」3000-5000㎡ 農業依存率95.7%
売上1700万円、経費1260万円、本業の所得440万円
共済・補助金120万円、合計所得560万円
家族2.92人、雇用2.27人の計5.19人(6600時間 5400+1200 雇人費100万)
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つまり
「施設野菜」「3800㎡規模」の平均的な農家像は「560万円稼いでいる」
これを家族労働5400時間で生み出している
というのが平均的な経営像ですが、実態としてはばらつきが非常に大きいです。以前の動画でトマトやイチゴを取り上げたことがありますが、農家によって収量差や売り上げの差がものすごい大きいです。
もしかしたら施設野菜に関して平均はあまり参考にしないほうがいいかもしれません。うまくハマればぼーーんと伸びる可能性があるので、天下とったるぜ!というチャレンジャーにとってはやりがいのあるジャンルともいえます。
施設園芸における成功のカギ
ところで、 ハウスを建てるのって初期投資がものすごい大きいイメージありますよね。 設備(基礎、骨格、ビニールなど)により全然違うけど 1000㎡で1000万円を切るものもあれば2000万円を超えるものもあります。
そこに環境制御、自動制御などスタイリッシュ機能を追加していくとさらに跳ね上がります。まあ、でかい初期投資ですよ。その投資によってリターンも変わってくるから、投資に見合った成果が見込めるなら「いいもん建てちゃえー」となるんだと思います。
とはいえ、その借金をかかえながら年収500万円ほどで生活するのってけっこう怖い気もします。まあ露地栽培で天候に左右されドキドキワクワク精神的ストレスがものすごいのに比べたらどっちがいいとも言えないけど。
農業一本で生計が成り立つ経営規模では、それなりの投資が必要なのはどんなものをつくっても同じです。
広大な農地にでかい農業機械を投資するのか
ハウス等の設備に投資するのか
農業では思い切った投資ができるかどうかが成功のカギなのかもしれません。その際は災害など万が一にそなえて共済や保険に入っておくことをお忘れなく。
ただし、もしこれからトマトやイチゴで就農したいと思っているなら・・・人気が高いので飛びつきたい気持ちもわかりますが初期投資は大きいですし、なにより資本力のある企業が参入しやすく競争が激しい分野なので、そことのガチンコ勝負が避けられないことを気にして参入を考えたほうがいいかと。
慎重すぎるほど慎重になることをお勧めします。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・