人生最大の買い物といえば。。そうです家です。あたながもし、夢のマイホームにまったく興味ない、住宅は資産じゃなくて負債なんだから賃貸のほうがいい、というシティ派だとしても、農業やっていれば、自宅のそばに機械や資材を置く倉庫が必要だったり、出荷調整や収穫物保管のための施設などあれこれ必要になってくるので、事業の拠点として一軒家を持たざるを得ない場合、ありますよね。
いやいや、自宅に仕事場を持つ必要はないだろ、アパートやマンションから通えばいいじゃないか、仕事場と自宅は別で考えるべきだ、という大規模農業や、農業法人などスタッフを多く抱えるところもあると思います。ですが日本の農業は大多数が家族経営規模の農家です。自宅を拠点にして、その場所に生活も仕事も詰め込んでいる農家は多いはず。
そんなとき、実家が元々農家ならそのまま同居したり、設備一式を譲り受けたりできるかもしれないし、そうじゃなくても親に土地を分けてもらって、そこに分家住宅を建てることができるかもしれません。うーん羨ましい。。。もちろんそこまで恵まれた境遇にない、最近は非農家から農業やってる人が増えていますからね、実家は農家じゃないからもらえるものなんてないよ、という方もいると思います。
そんな人が農家としてやっていくなら、もちろん全員とは言いませんが事業の拠点としての自宅を新築しなきゃならない場面が出てきます。いつまでもアパート暮らしじゃー、ね。。。となると、まずは土地を買って、そこに家を建てることになります。家だけ建てても高いのに、一軒家+アルファ農業用施設も建てなきゃならない。もちろんそれらを建てる広い土地が必要なのは言うまでもなくて
そのあまりにも大きすぎる負担には絶望しかねません。なんで実家は農家じゃないんだと打ちひしがれます。見積もりを見てやっぱりやめようかとくじけそうになります。そりゃあ補助金にすがりたくもなりますよ。宝くじ当選に望みをかけたり、したくもなりますよ。
ここで登場するのが農家住宅。これは補助金や助成金ではありません。購入費用の4分の3を国が負担しますとか、条件を満たせば100万円支給します、とか。そういう優遇措置ではなく、言ってしまえば農家に与えられた特別な権利、つまり特権。農家が住宅を建てるにあたって特権が与えられている、それが農家住宅というものです。
農家住宅という名前からすると建物に関する優遇のようだが、じつは土地への優遇なんです。
一般の人が家を建てられない場所に、農家であれば安く土地を購入して建築できる
というとんでもない特権なんです。勇者しか装備できない勇者専用武器ロトのつるぎを、安く買える、みたいな話。行きつけの居酒屋に農家専用のVIPルームがある、みたいな話。農家ならこんなオイシイ話を聞き逃すのは勿体ないです。いままさに家を建てようと考えている人はもちろん、将来的にはもしかしら・・・という人も、聞いておいて損はありません。それではいってみましょう。
目次
農家住宅とは
農家住宅という言葉から想像できるイメージは、、、
①農家が住んでいる家
農業やってる人が住んでいて、広い敷地にトラクターなどの機械や資材などが入った倉庫があり、収穫してきたものを調整したり保管したりする出荷場もそばに建っている。軽トラを含め複数台停められるゆったり駐車スペースがある。だと思うしおおむね間違っていませんが「農家住宅」本来の意味は
②農家しか住めない家
が正しい表現になります。
これをもうすこし詳しく言うと
農家住宅とは、市街化調整区域において、農業を営む人が住むための建築物
のこと。この一文に建築のポイントが凝縮されているので、分解して見ていきます。
市街化調整区域において
まずは市街化調整区域がどんなエリアなのかを説明する必要があります。
国土は大きく都市計画区域と都市計画外区域に分かれます。これはざっくりと言えば、人が住んでいる地域と住んでいない地域のこと。実際、都市計画区域は面積が(国土の25.7%に過ぎないものの91.6%の人が住んでいます。
そしてこの都市計画区域は
市街化区域、市街化調整区域、(と非線引き都市計画区域)に分けられます。市街化区域は街。家が密集していたり開発が進んでいたりする地域。市街化調整区域は田舎。農地と家が混在しているような地域ですね。非線引きは地方都市に多く、都市計画がそれほど厳密じゃない地域です。
そしてポイントなのは、市街化調整区域は市街地がわりと近く、ほどよい田舎なので住環境はすごくいい、人や家がごみごみ密集してないし、街が近いこともあってインフラがそこそこ整っていて利便性も高いということ。けれども、家を建てることに関してはもっとも厳しく規制されている区域だということです。市街化調整区域は原則として建物の建築ができないんです。つまりは現状維持を主だったスタンスにしていて、もしここで建築したいなら開発許可が必要になってくるということです。
今回の話、都市計画法を始めとして法律が関わってきますし、自治体によって適用条件を変えていたり、開発許可さえ通れば・・といった例外物件もないとは言えず、ここではっきりと数字を示したり許可不許可の線引きを断言することはできません。とはいえ市街化調整区域で個人住宅を建てることはかなり困難なのは間違いなくて、そんな建築不可地域での建築を可能にする優遇措置、それが農家住宅なんです。
なぜ農家は優遇されている?
市街化調整区域は基本的に農地が多く、そこで農家の方が耕作をされています。そのため、耕作の際に農地の近くに住めるようにと特例的に認められています。水管理、災害緊急対策、トンネル・ハウスなど温度管理。農地が近いことは農業者にとって大切なこと、と見なされていますから。そして、この特例が大きなメリットを生み出しています。
原則建築不可地域ということは土地の買い手がいないということ。つまり競争がないので土地の価格が安い。住環境に優れた地域で、周りよりも安く土地を買える、すごいメリットですよね。じゃあそんな特権が認められるためには何が必要か?それが「農業を営む人」なんです。
農業を営む人
これは農家資格があるかどうかということです。
「経営耕地面積が10アール以上の農業を営む世帯、または農産物販売金額が年間15万円以上ある世帯」
年間60日以上農業に従事しているかどうか問われることもありますが、各自治体の農業委員会で農家登録されれば農家証明が出ます。その証明書が農家資格を判断します。
資格の条件は兼業農家でも該当するような緩いものなので、農家住宅を建てたいがために農業者のフリをする人もいます。そういうグレーな部分はおいとくとしても、農家資格を取るのは真面目に農業やっていれば決して難しいものではない、ことは知っておくといいと思います。そしてもうひとつの条件、農家住宅を「農家しか住めない家」と表現した理由がここにあります。
住むための建築物
誰が住むのかが問われる”属人性”に基づく住宅として位置づけられています。
①農業を営むための住宅であることが求められます
許可・建築した農家が住むことが条件なので他人に貸すことができません。
②売却可能だが住めるのは農家資格者だけ
事情があって農家住宅を売りに出すことはできますが、その家に住めるのは農家資格を持った人だけです。多くの一般市民は、その家を買うことはできても住めないということ。かんたんに言ってしまえば、勇者の装備はそれを装備できる勇者になら売れるということ。買い手がつきにくいのは大きなデメリットになりますね。
そんなデメリットはありますが、逃げ道として「用途変更」が設けられています。
※農家住宅の用途変更により属人性解除
建築後、10~20年程度の年数を経過している場合
建築後、規定の年数を経過した後にAさんが破産手続き開始の決定がされた場合
建築後、規定の年数を経過した後にAさんが生活の困窮・病気・高齢化・死亡等などのやむを得ない事情が生じた場合
つまり、その農家が現役で活躍して住宅として充分活用された、家を手放さなければならない状況になってしまった。などの場合に用途変更できたりします。
その他の条件
・1000㎡未満・・・納屋や農機具がある農家住宅の方が広い土地を宅地化することが認められている
・1農家につき1戸
・すでに自宅を持っていない
・近くに農地がある
まあ常識の範囲で当たり前のことを条件にしているだけです。
自分は該当する?
おっ!農家住宅いいかも、と考えて動き出す。要件に当てはめるかどうかを調べてみる。ぜひやってみてほしいですが、私はその道の専門家ではありませんので「この土地は市街化調整区域なの?」という質問にはお答えできません。いざ建築を検討するときには不動産屋とか工務店とかその道のプロがあれこれ手を尽くしてくれますのでそちらを頼ってみてください。もちろん自分で調べることもできますから、この土地は、、、と検討している人は各自治体のホームページなど確認してみてください。
さてここで、市街化調整区域の農地で耕作している農家が農地の近くで家を建てたいとして。自分の農地の一角で建築したい、とか農地って安いから借りてるものを購入して自宅建築にあてたい、と考えることもありますよね。つまり農地の一角に建築することはできるのか?と。細かい要件はとりあえず無視して!大ざっぱな答えだけお伝えします。
農地に建てる
農地転用はできるが、農地法でしっかり守られているので条件は厳しいというのが答えです。
・市街化区域は農地でも建てられる
・市街化調整区域では農家特権で家を建てられるが、農地には建築不可なので転用が必要
とはいえ農業振興地域に指定されているとほぼムリ(土地改良、耕地整備)です。よほど農地として使いにくい、整備がされてないところじゃないと難しいと思った方がいいかもしれません。
さらに、もし農地転用できたとしても
・道路への接地、幅
・水道ガス電気の引き込み工事費用
・地盤改良など含めた造成工事
など安く建てたいと思ってやったはずが逆に費用がかさむ可能性もあるので注意が必要です。
まとめ
農家住宅とは、市街化調整区域において、農業を営む人が住むための建築物。市街化調整区域は基本的に農地が多く、そこで農家の方が耕作をされています。そのため、耕作の際に農地の近くに住めるようにと特例的に認められた住宅のことを指します。安い土地に建てられるメリットはありますが、農家しか住めないため売却・譲渡が難しいデメリットもあります。
とはいえ、もともと市街化調整区域で家を建てようと考えている人にとってはかなりオイシイ優遇措置ですので、検討の価値あるのではないでしょうか。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・