品種とは何か 奥深い世界の一端を知り農業経営に活かす

専門用語というほどではありませんが、農家は品種(ひんしゅ)という単語をよく使います。
当たり前に使います。

アイコっていう品種が子どもにけっこうウケがいいんだよね。
とか。
コリンキーって品種がかなり独特の個性を持っていておもしろいよ。
とか。

アイコもコリンキーも野菜です。
アイコはトマト、コリンキーはカボチャですが、ここまで書いてもなんのことか分かりませんよね。
ふつうに生活していれば出会うことのない品種の世界。
ですが、農業を仕事にするのであれば知らないというのはあり得ないくらい重要なのが品種の世界です。
農業において品種を軽視することは、失敗を約束されているようなもの。
絶対におさえておく必要があります。
今回は。
この品種についてザックリとした概要を書いていきます。
品種を知り、うまく活用することで、農業経営に大きなプラス効果をもたらします。
品種を知ることでようやくスタートラインに立てる、と言ってもいいほど。
ぜひ最後までご覧ください。

 

品種という分類があることを知る

スーパーで買い物をするときのことを想像してみてください。
野菜コーナーに並んでいる野菜たち、これらはどのような名前で売られているでしょうか。
水菜、キャベツ、大根、里芋、ピーマン・・・。
おなじみの名前ですが、これらはいわゆる品目(ひんもく)と呼んでいる名前です。
かんたんにいえば野菜の種類のこと。

でも。
ジャガイモはどうでしょうか。
男爵、メークイン、キタアカリ
このような名前で売られていませんか?
ジャガイモ、という品目名に加えて男爵やメークインという表記がプラスされています。
もしくは男爵とだけ書かれていたりもします。
これが品種です。
ジャガイモという品目のなかにある、男爵やメークインという品種。

ポテトチップスという商品のなかにある、うすしおやコンソメというラインナップ。
自動車という商品のなかにある、セダンやRVや軽トラックという分類。
といったイメージでしょうか。
ジャガイモはただひとつジャガイモがあるだけじゃなく、そのなかに多くの分類を持っているわけです。

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 (画像提供:日本いも類研究会)

男爵もメークインも、キタアカリも、どれもジャガイモなんだけれど、見た目や味や性質が異なるために品種という分類があります。
よく御存じの品種のほかにも、でんぷん原料用としてコナフブキ、フライドポテト用にホッカイコガネ、ポテトチップスにはトヨシロやアトランチックが使われています。
みなさんが知っている品種のほかにも、用途にあわせてたくさんの品種があるんです。


ジャガイモのほかに、いくつか品種名が世に出ている野菜があります。
たとえばサツマイモ。
最近ではものすごく甘いサツマイモとして有名になっている安納芋(あんのういも)
関西方面ではけっこう主力の鳴門金時(なるときんとき)
などは品種名としてはわりと知られています。

大根でいえば桜島大根守口大根(もりぐちだいこん)
ねぎでいうと下仁田ネギ(しもにたねぎ)などが有名でしょうか。
関西のおせち料理には欠かせない金時人参(きんときにんじん)などが品種名で売られていることもあります。

でもほとんどの野菜については、野菜の名前そのもので売られていることが多いですよね。
水菜は水菜、ナスはナス、キュウリはキュウリ、レタスはレタスとして店頭に書かれているだけで、それがじつは千両二号(せんりょうにごう)という品種のナス、夏すずみという品種のキュウリだということは誰も知らないわけです。

本当は。
水菜にもたくさんの品種があります。
ナスにも数え切れないほどの品種があります。
キュウリだってレタスだって、多くの品種が登録されています。

野菜だけじゃありません。
コメだって、牛だって豚だって、花だってキノコだって。
様々な品目についてそれぞれ多くの品種があります。

 

品種を知らないことで損をしている

野菜の品種というのは、日本に限らず世界を見渡せば何千種類、何万種類という品種数が存在しています。
トマトだけみても世界には8000種類を超えるような品種があるとされていて、日本でも品種登録されているものだけで200種類ほどあると言われています。
そんなにあるのに普通に生活していたら気づくことはありません。
触れることがない世界です。
知る必要がないから触れないのか、それとも触れられるとなにか困ることがあるのか。
そのあたりの裏詮索はおいておくとして、野菜ひとつひとつには品種があるということをもっと知ることで、消費者の食生活がより豊かになる可能性があります。

 

フェラーリ

たとえば。
自動車を買うときに、家族構成や用途に合わせて車種を選びますよね。
うちは6人家族だから7人乗りの大きなワゴンタイプを選ぶ。
趣味でドライブするために買うセカンドカーだからスポーツタイプを選ぶ。
日常的に使用して街中をちょこまか走るから軽自動車でじゅうぶん。
などなど。
このように車種を選ぶときに、車種という分類があることを知らなかったらどうなるでしょうか?
6人家族なのにスポーツカーを買ってしまったり、爽快にビューンビューン走りたいのに軽自動車を買ってしまったり、目的に合っていない車種を選んでしまう可能性が出てきます。

 

野菜にそんなミスマッチがあるの?
と思われるかもしれませんが・・・ものすごくあります。
男爵はホクホクしているのでポテトサラダやコロッケなどに、メークインは煮崩れしにくいので煮物に向いています。
ジャガイモは用途に合わせて品種を使い分けますよね。
ほかの野菜にも同じような使い分けができる品種があるんです。

バナナピーマン

たとえばピーマン。
一般的に売られているピーマンのほかに、パプリカのように肉厚でがっちりしていて肉詰めしやすい特徴をもつ品種もありますし、サラダにまぜると美味しい生食に向いている品種もあります。
子どもが食べやすいように苦味が少ない品種だってあるんです。

紅芯大根
(画像参照:もったいないかあさん

たとえば大根。
スーパーで目にするのは首の部分が緑っぽく色づいている大根ですが、水分が多めでサラダにすると美味しい品種もあれば、水分が少なくて煮物にすると煮崩れしにくい品種もあります。
切ると中が真っ赤になっていてサラダにすると彩りがきれいな品種もありますし、守口大根のように漬物に適した品種もあります。

 

顧客のニーズから品種を選ぶべき

このように野菜には、ジャガイモだけじゃなく色々な品種があります。
コメには、コシヒカリだけじゃなくミルキークイーンやあきたこまち、ひとめぼれやきらら397など多くの品種があります。
牛には、黒毛和種、褐色和種、無角和種などの品種があります。
花にしてもチューリップをみるだけでもスピーシーズ、トライアンフ、レンブラント、ビリデなど何百品種もあります。
ではここで。
生産者として販売者として、品種をどのように活用すべきか。
美味しい農産物をより美味しく食べるために品種を選ぶ必要があります。
用途にしっかりマッチしたものを食材として使うため品種を選ぶ必要があります。
ニーズに合わせて品種を使い分け、需要にベストマッチした品種を提供することでお客様の評価が高くなりますし、欲しい人に渡るので売りやすくなります。

そのために最も大切なことはターゲットの絞り込み。
自分の農産物は誰に向けて売ろうとしているのか、誰に買ってほしいと思っているのか。
顧客の絞り込みが最重要課題です。
誰が決まれば栽培品目が決まり、品種も決まります。
そうすると必要な機械や資材なども決まり、必要な農地面積も決まります。
ターゲット設定は何をおいても真っ先に決めなければならないことなんです。

自分は誰に対して農産物を売りたいと思っているのか。
そこが決まれば品目が決まります。

あとは品種という奥深い世界を堪能しながら、必要とされる品種を選んでいくだけです。

参考になれば幸いです。

 

 

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

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だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

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