農業も同じ!生産力があっても販売力がなければ半人前

あなたが農業を仕事にして、米や野菜を育てたとします。
当然ですが、その農産物は売らなければいけません。
売らなければお金に換わりませんし、そもそも収入が欲しいから農業をやっているはずです。
今回は仕事をして収入を得ていくために非常に重要なことを書いていきます。

商品をつくって売る。
これは当たり前に行われている経済活動です。
農業も例外ではありません。
たいていの農家はつくった農産物を農協に出荷するのであまり気にしていませんが、農業にかぎらず商売をしていくうえで重要なことは
生産力と販売力
という二つの力をバランスよく持つことです。
これを分かっていないと、農業をはじめて農産物を収穫できたのに売り先がない、売り先を確保しているのに農産物がうまくできなくて顧客に迷惑をかけてしまっている、ということになりかねません。
 

たいていの農家は生産力があります

商品をつくる技術。
つまり米や野菜などの農産物を育てて商品にしていく力ですが、これが大事だということは言わなくてもみなさん分かっています。
よいものをつくろうとほとんどの農家は日々努力を重ねています。
よい商品を生み出そうと技術を磨いています。
栽培技術はあるていどマニュアル化されているので、新規就農したばかりの初心者でもそれなりのレベルで商品を作り出せます。
つまり、平均点がそもそも高いところにあって、初心者であってもそこそこの点数は稼げるし、腕を磨いて技術を積み重ねてきた農家は非常に高得点をたたきだせる、というのが日本の農産物の現状です。

唯一、無農薬で米や野菜を育てたい、という安全安心思考で就農した有機農家だけは、必要とされる最低レベルの栽培技術も満たしていない状態でスタートすることがあります。
これは、慣行農業のようにマニュアル化が進んでいないこと、就農前に技術を学ぶ研修先のレベルがばらばらであることが主な要因です。
それでも就農して何年かするうちに、それなりの商品をつくれるようになってくるので、ばらつきこそありますが誰でも平均点くらいには到達できてくるものです。

ようするに、既存の農家というのは、商品をつくる技術をしっかりと持っているんです。
生産力はあるんです。
それなのに、農業はもうからないとか、収入が不安定だとか、あまりよくない話を耳にすることが多いのはなぜか。
販売力が足りないからです。
 

たいていの農家は販売力が欠けています

ビジネス握手
自分がつくった商品は、売らなければ収入にはつながりません。
そして、ただやみくもに売ればいいというものでもありません。
ちゃんと考えたうえで、自分の商品を欲しいと言っている人に適切な価格で売る、ということをやらなければ、もうからない農業で終わってしまいます。
朝から晩まで家族総出で働いてもぜんぜん収入にならない
というよくあるけどちっとも笑えない話になってしまいます。
たとえば。
キャベツを売りたい農家Aさんがいるとします。
近所の農家さんがお勧めしているからと、地元の直売所に農家登録をして出品しました。
定年して年金をもらいながら趣味レベルで野菜を育てているような人のキャベツが並んでいるような売り場ですから、高い価格をつけることができず、自分のキャベツは結局1玉100円で店頭に並べられることになりました。
一方、キャベツを売りたい農家Bさん。
味にこだわるレストランに狙いをさだめて、歯ごたえがよく甘みが口の中に広がるようなキャベツを育てました。
誰に買ってほしいキャベツなのかを明確にして栽培しているので、レストランもそのキャベツが気に入れば買ってくれます。
こだわりのキャベツなので1玉300円で売ることができました。

同じキャベツを売るにしても、AさんとBさんでは3倍の価格差がついています。
これはつまり、1万個売ればAさんは100万円の売り上げになりBさんは300万円の売り上げになるということです。
同じような面積で同じように時間や経費をかけて栽培しているにもかかわらず、売り上げにこれだけの差が出るということです。
誰に対していくらで売るのか、販売力の差は収入を大きく左右します。

この例は極端だと思われるかもしれませんがそんなことはありません。
誰に、どのような商品を、どのように提供して、いくらで売るのか。
これらを明確にしたうえで商品をつくっていく、つまり農産物を育てていく。
販売力とはこういうものです。

現状では、まだまだ販売力のある農家が多いとはいえません。
これは新規に参入する人たちにとってはチャンスといえます。
生産力では既存の農家に遠く及ばなくても、販売力で勝てる場面はまだまだ多く残されています。
新規就農、まだまだお勧めできる時代です。

 

 

 

 

 

 

 

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