ふつうに考えてみればわかる問題。
競合農家といえばピンとくるでしょうか。
同じような商品を販売していて、同じような地域で商売をしている。
そんな農家が近くにいたとしたら、間違いなく競争相手になります。
自分が商売をするうえでの障壁になります。
ごくごく当たり前のことなんですが新規就農するときには忘れてしまいがちな問題です。
目次
競合を意識する
ビジネスをしていれば当たり前のように考えなければいけないのが競合相手です。
コンビニエンスストアが歩いて数十メートルのところに乱立しているようだとお客様の取り合いになってしまいます。
マクドナルドとモスバーガーが同じ商圏で店を構えていれば、お客様はどちらの店にしようかと選ぶことになります。
どんな商売でも同じです。
自動車でも住宅でも病院でも。
商圏がある商売であれば、競合する相手がいるかどうか、その相手は脅威なのかどうかは非常に重要です。
あなたが新規就農しようと思っている地域、商圏には同じような経営・販売をしている農家はいますか?
あなたは、研修を受けているもしくは受けようとしている農家、つまり研修先の農家と同じ地域で新規就農しようと考えていませんか?
もしも。
その研修先農家つまり先輩農家と同じような商品を同じような地域で売ろうと思っているなら、よく考えてみる必要があります。
あなたが飛びぬけて優秀な人材でないかぎり、先に就農している農家のほうが栽培技術や販売ノウハウを持っていることが多いですから、あとから参入してうまく販売先を見つけていけるのかという問題がついてまわります。
というより。
消費者の視点に立ってみれば、どのような農家から買いたいと思うのかだいたい想像がつきます。
優秀に見える農家、失敗を語らずメディアに頻繁に登場していて経験年数がある、そんな農家が近くにいれば新規就農したペーペー農家から買おうとは思いません。
じゃあ、どうしたらいいのか。
その研修先農家がいる地域は、自分の実家があって離れたくない地域。
この場所でなんとか農業をやって生計を立てていきたい。
そのような人が考えるべき大切なことがあります。
これを考えることで競合する農家と戦わずにすむようになります。
自分だけの道を突き進んでいくことができるようになります。
ずらしのテクニック
簡単にいえば同じ土俵で戦うな。
ということです。
たとえば。
師匠である研修先農家が、家庭向けに10種類詰め合わせ野菜セットを販売していたとします。
あなたが同じように10種類詰め合わせ野菜セットを販売するのであれば、それは間違いなく師匠が競合農家となりお客様を奪い合うことになります。
ここであなたがとるべき戦略は
ずらす
というテクニックを使うことです。
10種類詰め合わせ野菜セットではなくて、
保存系野菜(大根、人参、ジャガイモ、玉ねぎなど)を5種類詰め合わせた常備野菜セットをつくる。
珍しい西洋野菜専門の野菜セットをつくる。
マクロビオティックや薬膳でよく好まれる野菜をチョイスしたマクロビ野菜セットをつくる。
還暦祝い、結婚祝い、お中元、お歳暮、新築祝いなどの御祝い事で送られる贈答用高級野菜セットをつくる。
サラダセット、カレーセット、鍋セットというように料理に合わせた野菜セットをつくる。
味噌や醤油、納豆などの加工品も一緒に抱き合わせる野菜+加工品セットをつくる。
米や小麦や大豆などといった穀類も扱うようにして野菜のほかにもラインナップを揃えるようにする。
といったように、商品そのものをずらすという戦略をとると、お客様とするべきターゲットが変わってくるので師匠と競合することがなくなります。
ほかにもずらせるものはあります。
売り方をずらす。
競合農家が口コミでお客様を増やすという営業・販路開拓をしているのであれば、子育てグループと積極的に関わってお客様を開拓していく。
介護施設や学校・幼稚園等の教育施設を狙ってみる。
もしくはインターネットを使って商圏を全国に広げてみる。
など、売り方をずらしていくことでお客様となるターゲットが変わります。
そもそも。
競合になりうる農家と同じように野菜セットをつくる必要すらありません。
セット売りではなくて一品からでも御注文できます、という売り方をすればそのように買いたいお客様が集まってきます。
いずれにしても。
自分が就農したいと考えている地域で競争相手はいるのだろうか。
競争相手は勝負することができるレベルなのか、ずらしたほうが賢明なのか。
ということを先に調べてみるとよいでしょう。
生き残るために知恵を絞りきる
ここで。
競合農家とかち合わないように商品をずらしターゲットをずらしたとして。
ずらしたことで需要が減ることはないのか、という疑問が湧いてきます。
ようするに、マクロビ野菜セットってそんなに多くの人が求めているものなのか。
贈答用高級野菜セットを欲しがっている人ってそんなにいるのか。
ターゲットを絞りすぎて販売数が伸びなくなる可能性はないのか。
という疑問です。
これに対する回答は2つあります。
ひとつは対象を増やす。
マクロビ野菜セットを扱いながら、贈答用高級野菜セットも扱う。
絞ったターゲットを複数持つことで、結果としてトータルの顧客数を確保しようという方法です。
もうひとつは商圏を広げる。
インターネットを活用してホームページからの集客が可能になれば、商圏は就農地と関係なく全国に広がります。
ニーズが少なそうなマニアックな商品であっても、全国に商圏が広がれば需要はけっこうあるものです。
というふうに。
商品のラインナップを変える。
売り方を変える。
ターゲットを変える。
商圏を変える。
すでに地盤が確立されている競合・強敵と戦うためのコツは、とにかく同じ土俵に立たないことです。
別の路線を走りながら自分なりの道を進んでいくことが、結果として長く生き残っていける道になっていきます。
参考にしてみてください。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・