法人をつくる最大のメリットは「経営の健全化」

私事ですが2023年11月8日に株式会社を設立しました。これまで18年ほど農家として野菜の生産・販売を行ってきましたが、それはあくまでも個人事業として。家族経営に過ぎません。

もとより家族が食べていけるくらいの経営ができればいいと思ってましたし、そのレベルで安定していることがある意味でゴールだったので、規模拡大や事業成長の意欲はそれほどなかったんです。だから法人化する必要もなかったし、する気もなかった。

それが47歳にしてついに株式会社をつくることになったわけで。規模拡大や事業成長の意欲が湧いたということです。ここから少なくとも20年は走り続けます。ほんのすこしでも農業界に爪痕を残せるよう、社会に貢献できるよう、命を削っていきます。

さてそんな状況ですが、今回のネタは農家の法人化についてです。「法人化すれば節税になるって聞いたけど?」「経営管理が難しくなってなんだか面倒くさそう」「いまのままで十分なんですが」「なんかメリットあるんですか?」と、よく分からない方が多いのではないでしょうか。

真面目に詳しく書いていくと紙面がどれだけあっても足りないので、農家が法人化するメリットの中でも僕がこれだ!と思うものを厳選してお伝えします。まだ始まったばかりの新米社長ですので説得力ないかもしれませんが、このメリットは知っておいて損のないものです。

法人化のメリット

よく挙げられる法人化のメリットとして「節税になる」が挙げられますが、これは従業員数とか役員報酬額の設定次第でどうにでもなるので、正直うまくやると所得300万円くらいでも恩恵があったりします。一般的には売上1千万円を超えたらとか、所得800万円を目安にとか言われますね。家族経営のまま法人化する農家は、税金対策を理由にする場合が多いです。

ほかにも法人のほうが「信用力が高い」から取引や融資で有利だと言われることもあります。これはそのとおりだと思います。ですが僕が考える法人化の最大のメリットは、

経営の健全化

です。個人事業では家計と経営の線引きがけっこうあいまいになりがちですよね。ひとつの財布で家のものも仕事のものも買うという・・・。財布を二つ持っているとか、クレジットカードを家用と事業用を分けているとか、しっかり分離している人は少ないでしょうし、どんぶり勘定で儲かった!損した!を繰り返してもなんとかなったりします。でも法人はそれができません。というかやっちゃダメです。財布は完全に別々。お金の流れを透明化することが経営の健全化につながります。

そして、自分の収入は役員報酬として会社から支払われます。会社員のように毎月固定給です。売上から経費を引いた残りが自分の収入になる個人事業では、収入のアップダウンは当たり前にあることですが、法人化すると給料は一定になり会社の経費としてカウントされます。

これが大きい。自分の給料を毎月ちゃんと支払うためには、これくらいの利益を出さなきゃいけない、これくらいの売上がないといけない、だからこれくらいの生産量がなきゃいけない、これくらいの単価じゃないと赤字になってしまう。そういう数字で経営を見るようになるんです。経営を数字で見る。この状況をつくれる法人化はすごいメリットだと思います。

経営を健全化するためには「数字で語れる」ことが欠かせません。それができる環境に自分の身を置くという意味で法人化するのは、じつはかなり有効な方法なのではないかと、いままさに株式会社を設立した身として強く実感しているところです。

さあみなさんもどうでしょう?株式会社をつくりませんか?

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

つづきはこちら

 

関連記事

  1. 行政が勧める「夫婦で農業」は必須ではない

  2. 農家の二極化時代 方向性を定めて強く生き残るには?

  3. これからの農家に求められるのは総合力

  4. 農家が価格決定権を持つのは当然の権利?

  5. 農業生産性を上げる三つの進化

  6. 台風、干ばつ、津波・・・どこまで非常事態を想定するのか