気にするべきは売上じゃなく所得

年の瀬が近づいてきてますが、そろそろ来年に向けて気持ちを新たに目標を立てようかと思っている人もいることでしょう。気が早いわ!と言われるかもしれませんが、農閑期に入れば次年度の作戦を練っていきたいと考えるのは自然なことです。

でも、その目標設定で「売上」を指標にするのは危険なのでやめたほうがいいです。下手すると今より苦しい経営になってしまうかもしれません。

目標を立てるなら「所得」をオススメします。1年がんばった結果いくら手元に残るのか、いくら生活のために使えるのか。生きる糧として仕事をしているなら、サラリーマンと同じで手取りもしくは総支給額を気にするべきです。

もし売上ばかり気にしているとどうなってしまうと思いますか?

売上を増やすのはそれほど難しくありません。とにかく数を出せば売上は増えるんです。安売りすれば買ってもらえるんです。

面積を増やして大量生産して、相場より安売りすれば喜んで買ってもらえるから、物量で勝負すれば売上は増やせます。けれども面積が増えれば使うお金も増えるし、安売りしちゃうと薄利多売になり利益率が下がるから、かけたコストに見合う利益が出るとは限りません。

売上も働く時間も増えたけど、所得はたいして増えてない。そんなのよくある話で、売上ばかり気にしていると悪手で首を締めることになりかねません。

手元にいくら残せるのか、いくら欲しいのか、これがすべてでありスタートです。所得がこれだけほしい、そのためには売上がこれくらい必要で、単価がこれくらいなら収穫量や栽培面積はこのくらい必要になる。だから経費はこれくらいかかる。

所得から計算していった先に売上の見込みを立てなければ、意味がないどころか悪い方向へ進んでしまう可能性すらあります。

「売上●千万だぜ!スゲーだろっ!」と自慢したい人は好きにしてくれていいですが、「それでいくら手元に残ったんですか?」「家族は満足してくれてますか?」と突っ込みたくなりますね。

もちろん、売上だけ気にしてガンガン規模拡大していって、ガッチリ稼いでいる農家がいることは否定しませんよ。1億円売り上げて利益率10%しかなくても所得1000万円ですからね。薄利多売でもやっていける猛者や、それができる恵まれた地域にいるなら、どうぞ稼ぎまくって自慢してください。その姿をみて「農業って夢がある!」と若者が就農を目指してくれるならこんなうれしいことはありません。

けど薄利多売ができる農家はほんのひと握り、ランチェスター戦略でいえば強者の戦略です。その戦い方は豪快でキラキラ輝いて見えますが、多くの農家は採用してはいけない道ですよ。

所得からの逆算で手堅く売り上げを積み上げる。年始の目標を立てるときにはぜひ逆算思考を採用してみてください。

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