日本人ならコメを作れ。そんなことを言う人はいまどきいないとは思いますが、コメはずっと主食として君臨してきましたし、農家なら稲作しかない!と鼻息を荒くする方は一定数いると思います。日本人にとってコメは特別感があるんですよね。
ですが稲作で農家が食えるかどうかは別問題。米麦大豆などの穀類は土地利用型農業と言われ、だだっ広い土地があってこそ成り立ちます。10ヘクタールくらいから稲作農家の採算ラインだと、そんな話も聞こえるくらい大規模が前提の作物です。
10ヘクタール超の大規模稲作農家ってかなり少ないですよね。ほとんどの稲作農家は採算ラインに届いてなくて、農業収入だけでは成り立ってないのが現状です。
じゃあ10ヘクタール農家になれば収入はどれくらいなのか、100ヘクタール農家は荒稼ぎしているのか、気になりますよね?よく補助金漬けだと揶揄される農業ですが、その代表格が稲作ですのでそのあたりも含め、稲作農家の経営収支について紐解いていきます。
目次
統計からみる稲作農家
農林水産省の統計データには「営農類型別経営統計」というものがあり、農家の経営状況についての細かい数字を集計してくれています。
売上、所得、経費、労働時間などの内訳を品目ごと地域ごと規模ごとに分類してあるので、平均とはいえある程度は意味のあるデータだと言えるでしょう。
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kensaku/bunya3.html
稲作で食えるレベルは10haからという話があるので、それを信じてデータを抽出してみます。
「水田作個人経営(母数55農家)面積1240a」10-15ha規模抽出 農業依存率91%
売上1470万円、経費1620万円、本業の所得-150万円
共済・補助金420万円、合計所得270万円
家族2.93人、雇用2.89人の計5.82人(3510時間 3000+540 雇人費57万)
ワンランク上の規模では
「水田作個人経営(母数48農家)面積1720a」15-20ha規模抽出 農業依存率98%
売上1700万円、経費1900万円、本業の所得-200万円
共済・補助金740万円、合計所得540万円
家族2.77人、雇用3.01人の計5.78人(3540時間 3000+540 雇人費66万)
なんと10-15haでも15-20haでも、本業の所得は規模に関わらず赤字になっています。もっと言うと、統計データでは規模に関わらず上から下まで全て赤字になっていました。大規模だから食える!なんてことはありません。猫の額規模だけじゃなく、どこまで大きくなっても赤字のまま。
10haクラスが採算ラインと言われるのは、そこに補助金がついてくるから。現に、15-20ha規模では本業の所得−200万円にたいして共済・補助金740万円がついてます。このくらいになれば世帯収入としては食えるレベルになりますよね。
覚悟が問われる
農業が補助金漬けだと言われるのは、野菜や果樹ではなく稲作です。食糧安全保障のカナメだから手厚く保護するのは当然の措置で、国は莫大な予算を使って稲作を支えています。
最近は転作奨励金として麦・大豆や飼料米の栽培にかなりテコ入れてしてますが、いつまで続くのかは怪しいところです。政策転換で手のひらを返されると一発で経営が転覆しかねない怖さがあります。
家族労働3000時間で収入540万円なら決して悪い数字じゃないんですが、補助金ありきの経営で国に首根っこ掴まれている認識をもっておいたほうがいいと思います。そんな危うい稲作農家にあなたはなりますか?もしくはこのまま続けていきますか?
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・