ちょっとお高め有機農産物が売れない決定的な理由

有機農産物はなぜ売れないのでしょうか。消費者によいイメージを持たれているにも関わらず、面積も販売量も1%にすら届かない状況がずっと続いています。
なぜ広がらないのでしょうか。

答えはいくつもあります。栽培技術がまだまだ確立されてない、流通網が整備されてない、価格が高止まりしている、など。書いてるうちに頭が痛くなってきましたが、それらは生産者側の課題です。大きな変革が求められます。

一方、有機農業が広まっていくためには消費者側も変わっていくことが求められると言われています。環境負荷の小さい農業を支援していきましょうとか、虫食いや形の悪さをすこし認めていきましょうとか、そういう話です。

ただ、こういうのは価値観を押し付けるものでもなく、進んで有機農産物を手にとるようにならないと意味がないですよね。

そもそもの話ですが、なぜ有機農産物が売れないのかといえば
「消費者がちがいを感じられていないから」
ではないでしょうか。一般的な農産物とくらべて農薬を使ってないから安全だと言われたとしても、、、環境負荷が小さい農業だから応援しましょうと言われても、、、
一般的な農産物とのちがいを感じられないから、差が分からないなら安い方に手を伸ばしてしまうのは当然の流れです。本当に安全だったとしても、間違いなく環境負荷が小さかったとしても、ちょっと高いだけで買ってもらえなくなります。
それは1%の壁を未だに越えられないことからもわかっていただけるのではないでしょうか。

なぜ消費者は一般農産物と有機農産物の違いを感じられないのでしょうか。
かんたんです。
「安全性や環境負荷は見えにくいから」
これにつきます。目の前に見た目がほとんど変わらない農産物が並んでいたら、安い方を手にとるのは当然でしょう。安全性や環境負荷なんて手にとった農産物をじっくり見たって分かりませんからね。

ちょっと思い出してみてください。車や家電、スマホもゲームも、違いが分かりやすく価格に反映されてますよね。
それらって、すべて五感に訴えかけていませんか?

五感に響けば価格差は納得できるんです。見た目が違うとか、いい音がするとか、おいしいとか、肌触りがいいとか、芳醇な香りがするとか、わかりやすく五感にアプローチできたら高くても「そーだよね」と手が伸びるんです。
たとえば農薬残留値を数字で示すとか、糖度とか、見た目のよさとか。
わかりやすく感じられたら有機農産物だってもっと買ってもらえるのではないでしょうか。五感への訴えという点では、有機JASマークでは納得材料になりません。

今ここで新しい基準や新しいウリを示せるわけではありませんが、有機農業は新しい判断基準を世に示さないと広まっていかないのではないかと思います。
五感に響く価値を有機農業は持てるのかどうか、考えてみると面白いですよ。

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