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「常識を疑い、実践してみる。
僕がやれることはそれしかありません。」
非農家出身者が農業の道へ。
それは決して簡単なことではありません。
農地、農業機械、資金、栽培技術、販路。
何も持たずゼロからのスタートで新規就農し、
多くの失敗をしながらもすこしずつ前へ進み続けて、
9年目には時給3000円を超える農業経営を実現する。
愛知県豊田市の山間地域で始めた農業。
農薬や化学肥料を使わない有機農業で多種類の野菜を育て、それを一般家庭向けに野菜詰め合わせボックスの形にして直送する、そんな農業です。
非農家出身ですから親から受け継ぐものもなければ、農業系の学校に通ったことがなく知識や経験の積み上げもほとんどありませんでした。
まったくのゼロスタートの状況で生産には自信がありませんでしたから、先輩農家はもちろん同時期に新規就農した人と比べたとしても、育てる農産物の収穫量や品質で勝てるわけがありません。
であれば、正攻法でいくのは現実的ではありません。
まともにやっても一人前になるまでに膨大な時間がかかってしまいますし、そもそも一人前になるまでに挫折して力尽きてしまう可能性もあります。
加えて田舎暮らし思考で選んだ就農地は山間地域でしたから、だだっ広い土地で効率よく生産している地域に比べてかなり条件が不利です。
そんな厳しい条件の中で稼げる農業を実現するためには、常識に縛られていては無理。
もしほかの先輩農家の真似をして同じように栽培や販売をしたとしても、そこから得られる結果が先輩農家の足元にも及ばないことは目に見えています。
非常識な農業
僕が進むべき道はそこにしかありませんでした。
常識を疑い、実践してみる。
僕がやれることはそれしかありません。
一般的にはこうやるべきだ、という常識を根本から疑って変えてみる。
うまくいったら儲けものですし、うまくいかなかったら一般論を認めて取り入れる。
ひたすら試行錯誤。
トライアンドエラー。
そんな挑戦はゆっくりと、着実に成果を積み重ね、就農してから9年目にはついに時給換算で3000円を超えるような農家に。
そこには決定的な一手があったわけではありません。
小さな非常識の積み重ねによってたどり着いた領域。
しかもそれらは、誰でもできるようなことばかり。
実行するにはちょっぴり勇気が必要ですけど、
やってしまえばどうということもないノウハウばかりです。
本書には、時給3000円を超える働き方をしている農家の、
そんな一般的には受け入れがたい非常識な考え方を多く盛り込みました。
多くの方に
「そのノウハウは自分でも使えるかも」
「その考え方は取り入れてやってみよう」
と思っていただけるようエッセンスを抜き出してまとめましたので、ぜひご活用ください。
【目次】
●はじめに
●第一章 経営を意識する
◆農業の現状を理解することが全ての始まり
◆最初に決めるのは年収をいくら欲しいのか、という目標
◆時給を高めると収入にも労働にもゆとりが生まれる
◆小さくて強い農家になる 押さえるべき三つの原則
◆農家の仕事を具体的に把握できる経営全体図
◆経営理念をつくる 農家は食べ物だけを売っていたらダメ
◆お客様の顔が目に浮かぶくらい具体的に顧客を絞りこむ方法
◆売り上げを分解すると改善策が見えてくる
◆商品ラインナップを増やすと売りやすく、売れやすくなる
◆品種選びで経営が変わる
◆付加価値のつけかた 最高のUSPとは
◆競合(ライバル)を分析して自分の足場を固めよう
◆販売には戦略が欠かせない 売れ続ける仕組みの作り方
◆超強力!安さで勝負してもいい状況を作り出す戦略
●第二章 生産技術
◆書籍の理想論は現場では通用しない 栽培の自分化
◆栽培を劇的に変化させる方法 その作業は本当に必要?
◆働き方改革 顧客目線で無駄をカットする
◆全行程を把握したうえで目の前の作業をこなす
◆前向きなマイナス思考 足し算は簡単だが引き算は勇気がいる
◆ミスを減らしていくコツ 認識できるミスとできないミス
◆作業に優先順位をつけて労働効率を高める 考え方編
◆作業に優先順位をつけて労働効率を高める 実践編
◆マニュアル無視!株間や条間は自分に合った最適値を探す
◆7:2:1の法則
◆多品目栽培には独自のノウハウがある
◆常識を疑うPDCAの実例10パターン
◆機械選びのコツ 機械はつながっている
◆記録の重要性 活用しなければ記録しても意味がない
●第三章 販売技術
◆出荷基準を自前で持つことの真のメリット
◆小さな農家の武器 情報発信力=営業力
◆無料の営業マンは本当に無料なのか?
◆誰も教えてくれない農家ブログやホームページの作り方
◆リピーターだけでは存続できない、新規顧客の獲得ができなければ潰れてしまう
◆宅配について 送料・業者選び・梱包など
●おわりに
【著者】
松本直之(まつもと・なおゆき)
松本自然農園 代表/農Tube委員会 委員長/(一社)次代の農と食をつくる会 理事
富山県高岡市出身。システムエンジニアとして3年間勤務の後、自転車で日本一周。
2004年 (公社)自然農法国際開発研究センターで研修
2005年 愛知県豊田市にて野菜セット販売農家「松本自然農園」を運営開始
2014年 新規就農者向けサイト「最強の脱サラ新規就農」を開設
2016年 YouTubeチャンネル「農Tube委員会」を開設
小さくて強い農家を増やすため、新規就農や農業に関する情報を積極的に発信中。講演多数。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・