無償労働の行方

先日、研修生向けに話した真面目な話。
「研修生」の位置づけについて。

松本自然農園の考え方として古くからあるのは、研修生の労働力をあてにしていない、というものです。
自分が研修していた頃を振り返ってもそうですが、農業初心者は作業スピードが遅いです。
僕の半分くらいしかできない、ということもよくあります。
これは個人差がありますが経験によってずいぶんと速くなるような気がしますね。
もうひとつ、基本的に言われたことしかできません。
自分の頭で考えないということではなく、農園の技術方針があるので勝手に思いこみで仕事を進めると方針に合わなかったり、根本的に間違っていたりして農園側に迷惑がかかるためです。
あとは、自分ひとりで管理できる面積しかやっていないので、ひとりでこれだけの利益を出してこんな時給になりました、と言えなくなるのがいやだからです。
実際のところ、まったく研修生がいなかったころと面積や利益はそんなに変わってませんし、労働時間が減ったのは子育てなど家の都合でそうせざるをえない結果です。
多く見積もっても研修生の労働は年300時間ほどのプラスだろうと思いますが、栽培上のやってほしくないミスなどもありますので時間的にはそれほど多くのプラスではありません。
ただし一人で血相変えてガツガツやっていたときよりも明らかに作業にゆとりがあるので、同じ仕事量をじっくり考えながらこなせるというのは非常にうれしいメリットかもしれません。

この研修生の労働力をあてにしないという考えが、おそらく研修生にとってよくなかったんじゃないかと思うことが今年は多かったです。
期待されていないことが悪い方向にすすんだという印象です。
経営者としての緊張感や危機感をもっと伝えたかったんですが、今まで姿勢ではだめかもしれないと感じることが多い一年だったように思います。
経営的には安定してきましたが、研修制度はまだまだ不安定な松本自然農園です。

来年は面積がさらに増える予定ですし研修生は2名に限定しました。
最初から経営的な部分にタッチしてもらって、ある程度の責任と緊張感をもって研修してもらえるように形を変えていければと思います。

・・・こき使うということではありません。
研修生の労働力はタダですが、アルバイトやパートの扱いとは全く違います。
そこは常に気を遣っています。

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