気持ちよく食べていただけることが第一

野菜の品種の選び方というのは農家にとっての生命線だと思います。
農協や市場出荷なら先方が希望する品種を作らなければならないのかもしれませんけど、自分で売っている農家であれば品種選びにかなり自由度があります。
自由すぎて、うちのような多品目農家は頭を悩ませるのだけど。

いちおう説明しておくと、野菜というのは単にダイコン、ニンジンという分類にとどまりません。
ジャガイモでいえば男爵、メークイン、キタアカリなど。
これを品種といいます。
ダイコンひとつとってもスーパーでよく見かけるような青首大根だけじゃなくて、表面が赤い大根もあれば切ると赤い大根もあるし、おでんに向く大根もあればおろしに使うような辛味大根もある。
何百品種という多くの大根が世の中には存在します。

そんな中から自分の好きな品種を選んで栽培していくんだけど、ほんとに自分が育ててみたい品種だけをピックアップしていくと大変なことになります。
変わった品種、見たこともないような品種のほうが作り甲斐があるので、どうやって食べるんだよ!と突っ込まれそうなものばかりを選んでしまいがちです。
紫色の人参とか、チョコレート色のトマトとか、エンダイブ、コールラビ・・・。
家庭菜園ならアリなんですけど。

まず第一に考えなきゃいけないのは食べてもらう野菜だということ。
誰に売って誰が食べてくれるのか。
うちの場合は家庭向けの野菜がほとんどなので、あまり珍しすぎる野菜は敬遠されてしまいます。
ちょっと珍しいくらいの野菜を、しっかりと説明を添えてお届けする。
というところで留めるのがポイントですね。
上記で挙げた変わった野菜でも飲食店向けだったら喜んで飛びつくのでアリ。
だから需要にあわせて少量だけ作付けすることもあります。

日本中には有機野菜をセットで販売している農家が山ほどいます。
そんな中でも松本自然農園はなかなかおもしろいセット内容になってるぞ、と言っていただけるように工夫していければと思っています。
ここでしか買えない、ということが零細農家の生きる道ですから。
スタンダードな野菜を揃えつつ、ちょっと珍しい野菜も合わせて入れる。
毎週野菜が届いても飽きのこないようなセットをつくれるように心がけています。
そのためには品種選び、作付け計画がキモになってくるし、ここが多品目農家の生命線であり企業秘密にあたる部分です。
まあ品種に関してはお客さんにすべてばれてますけど。

とにかく品種には気を遣います。
そして一年分の栽培品種を決定するのは今の時期です。
春夏野菜に関してはもうだいたい買ってしまいましたが、珍しい野菜や新しく挑戦する野菜はまだ追加で買い足します。
これ食べたいよ、という品種がありましたらお知らせ下さいね、お客さーん。

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

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