2030年に生き残れる農家と死んでいく農家

今回は統計から日本農業の未来を考えてみます。
今から十年も経たない未来、2030年。日本の農業はどうなっているでしょうか?
そんなに遠くない未来なのでなんとなく想像できるかもしれません。ですが現在、日本の農業は大きな変革期を迎えていることをご存知でしょうか。劇的に変化していく10年になることをご存知でしょうか。

農業従事者のほとんどが65歳以上という事実

まず、2020年の基幹的農業従事者数(農業を主としている者)は136万人です。2015年からの5年間でなんと約40万人も減っています。そして減少ペースはまだ続きます。なぜなら136万人のうち65歳以上が95万人もいるからです。あと10年経てば65歳の人でも75歳。多くの方が引退される年齢です。この方々がごっそりといなくなってしまいます。

つまり
2030年頃には引退年齢を迎えた95万人がいなくなる可能性が高く、乱暴に言えば136万人(2020年)→40万人(2030年)に激減する可能性があります。
多少の誤差を見たとしても2030年には多く見積もっても約50万人ほどに減っていることは、統計から見える事実です。

これは危機的状況でしょうか?日本の農業は壊滅でしょうか?食料生産が追い付かなくて国民が飢える未来が待っているのでしょうか?
大変革になるのは間違いないでしょうけど、既存の農家という立場から見れば追い風でしかありません。決して危機的な状況ではありません。

いろんな側面から考えられるので全てを網羅的に語ることはできませんが、ひとつの側面として1農家あたりの収入を見てみましょうか。
日本の農産物総産出額はだいたい9兆円ほどです。基幹的農業従事者数136万人で割って平均を出すと1人当たり産出額(売上)は約660万円。10年後も9兆円を維持できたとして(できるように頑張らないといけないですが)農業者は50万人なので1人当たりの産出額は約1800万円になります。ちなみにオランダは2000万円を超えています。

9兆円の総産出額を輸入を増やさずに実現できれば、1人1800万円の売り上げは十分可能だということです。高齢農家が引退して農地はどんどん空きます。それらを集約すれば大規模化できますし、スマート農業と言われる先端テクノロジーをうまく活用すれば効率的に生産することも可能でしょう。農林水産省としても少数精鋭の農家を育成していく方向で予算を使うでしょうから、補助金・助成金をうまく使えば経営拡大がスムーズにできるかもしれません。
時代の流れにうまく乗っかることができれば、10年後も農家として生き残っていくことができる可能性があります。
逆にいえば、この未来を予想しないで現状維持していくことの怖さがわかるでしょうか。

これが想定される10年後の未来のひとつです。そこに至るには農地集約、大規模化、企業参入、スマート農業の活用が欠かせないでしょうし、時代の変化に取り残されてしまえば生き残ることは難しいと思います。(都市型、中山間地の農業や小規模農家の生き残りについては今回は割愛)。これから起きる農業大変革の大きな流れをくみ取って、自身の農業をどのように変化させていくのか、どうやって荒波を乗り越えていくのかを考えてみませんか?

関連記事

  1. 七草バイトから見えてくる農家の働き方とは

  2. ゴッドハンドをもつ農家の苗づくり

  3. 主食だからこそ守りたい、だから振り回される稲作農家