あなたのライフスタイルに農的生活を1割取り入れませんか?

JA全農が新しい農業の提案をしてます。
「91農業(きゅういちのうぎょう)」
コンセプトは
「あなたのライフスタイルに農的生活を1割取り入れませんか?」
だそうです。。。

具体的には、
91農業は以下のような提案をしています。

○9本業1農業:休日に1日農業、新しい副業の形
○9育児1農業:子育てをしながら一時期に農業、新しいパートの形
○9旅行1農業:旅行の1日に農業、新しい旅行の形
○9夢追1農業:夢を追いながら一時期に農業、新しいバイトの形
○9自宅1農業:家以外に居場所が1つ増える、新しい就労支援の形。

半農半Xよりハードルを下げて、
休日の副業に、
子育て中のパートに、
旅行中に1日だけ手伝う、
など生活の1割で農業を取り入れよう、という提案です。

・・・
・・・

??
農業を舐めてる?
でもJA全農が考えてるんだよね?

ひとつの側面として、
こんな提案が出てくるくらい農業の人手不足は
深刻なんでしょう。
たしかに農業者人口は激減してますし。
人手が足りない!と農家から出ている要望を
JAが汲み取ってくれたと、
そう解釈することもできます。

ですが一方で、
プロの仕事をバカにされたと専業農家は怒ってます。
農家の仕事は旅行中に気軽にできるくらいのものなのかと。
facebookのとある農業者グループでは、
「意味がわからん」とぼやきが炸裂してました。

農業で食っている専業農家に寄り添えば、
91農業の提案
なんて発想になりません。

たぶんですが、
JAとしては母数があることで選挙での影響力を持ってきた
これまでの歴史があるので、
政治力を維持するために頭数を減らしたくない
事情があるのかもしれません。

それはさておき、
農業での仕事は当然ですが
本気が求められますし、
成果が求められます。
旅行中に1日だけ手伝う人が
それに応えられるんでしょうか。
気軽な感じで農業に触れたい人に
本気労働を強いても大丈夫なんでしょうか。

とはいえ、
副業として空いた時間を使うのはいいと思うし、
子育て中にパートとして短時間でも働くのは
スキマ時間の活用として今っぽい働き方です。
それらをうまく受け入れられる農家がいるなら
仕組みとしてはアリかもしれませんね。
子育て中のパートを採用するのは既実現してますし、
これをJAが仕組み化して広げるのは
ありかもしれませんね。

まあ、
農業を始めたい人と農家をつなぐマッチングサービスは
すでにいくつかありますし、
91農業が特別目新しいモノでもないので、
農業界の巨人がこの分野にもついに来たのかと、
そんなふうに見ておけばいいんじゃないでしょうか。

なぜ今回、
91農業の提唱についてこんなに反発があるんでしょうか?
それは、
農家の経済事業を支えるJA全農が言ってるからでしょう。
もし別の団体が提唱していたら、、、
たとえば人材派遣とかやってる団体とか、
生協のような組合員を持っているところなら、
もしかしたら賛同されることもあったかもしれません。
そう考えるとちょっと勿体ない。。。

農ある暮らしの提案としてはいいんですが、
農業の人手不足解消には絡めちゃいけない案件でしたね。

農の関係人口を増やす取り組みとしては、
べつに悪くないんだけどなぁ。

働き方や生き方が多様化してきた社会で、
農業にもその波がやってきてます。

この91農業をネタにして
自身の働き方について改めて
考えてみてはいかがでしょうか。

関連記事

  1. ゴッドハンドをもつ農家の苗づくり

  2. 主食だからこそ守りたい、だから振り回される稲作農家

  3. 七草バイトから見えてくる農家の働き方とは

  4. 農業のリアル 実際どんな 収入?働き方?【稲作編】

  5. 忙しすぎる日常をなんとかするには?制約はイノベーションを生む

  6. 2030年に生き残れる農家と死んでいく農家