農地を借りて、耕作を始めます。
堆肥を入れたり畝を立てたり。
種をまいたり苗を植えたり。
あれこれと手をかけて、必死になって作物を育てていきます。
その結果。
収穫して売ることができる商品、農産物が出来上がったとして。

一年目の経験が少ない農家から買ってもらえると思いますか?
競合する農家がまわりにひしめいているなかで、もっともっと経験を積んでしっかりとした栽培技術を持っている農家が育てたものと比較して、勝負できると思いますか?
おそらく勝てません。
もし勝てるとすればそれは安さで勝負したとき。
よほどの知名度がないかぎり、就農した最初の年から経験豊富な農家と対等に勝負していくことは難しいです。
ですが、もちろん手がないわけではありません。

今回は、就農初年度から農産物を売っていくときに必要なポイントについて書いていきます。
競争相手と戦って勝つ、というよりはとにかく買ってもらう、まずは手にとってもらうという第一歩についての話です。


手にとってもらう、まずは買ってもらうときに必要なことは何でしょうか。
味ですか?
食べてもらわないと分からない味という要素は、買ってもらわないことには味見でもしてもらわない限りお客様には伝わりません。
もちろん味は大切ですが、それは一度買ってもらった人が気にいってリピートしてくれるために必要なことで、所見の人に対しては有効ではありません。
そもそも、一年目から味で勝負できるような農産物が作れると思わないほうが身のためです。

では安さですか?
ある意味では正解です。
安ければもちろんたくさんの人に買ってもらえます。
これは事実です。
だから、まずは手にとってもらうために安い商品を提供していくというのは、就農当初はもしかしたら有効な手段になるかもしれません。
ただし。
その価格で買ってくれる人たちは、その価格でしか買ってくれません。
将来的には値上げして本来つけたい価格にしようと思っていても、安さで選んだお客様は値上げした途端に離れていってしまう可能性が高いです。
入り口として低価格で商品を提供しておいて、がっちりとファンをつかんだうえで価格を上げる。
そういった形の綿密な戦略を立てなければ、低価格での提供は失敗します。
それだけは頭に入れておく必要があります。


とにかく。
ぺーぺーである一年生の商品は、既存の農家と比べられると買ってもらえないと思ってください。
味でもなく、安さでもなく、ファン作りが大事だと以前の記事で書きました。
新規就農者が熟練農業者と対等に戦う方法
じゃあファンをつくるにはどうしたらいいか、という具体的な話に入っていくのが今回の記事です。


まず。
自分が消費者の立場だとして、どんな農家から買いたいと思うかを考えてみてください。安くて味が良くて見た目がきれいで、もちろんそうなんですがここではファンになりたいのはどんな農家だろうか、という点で考えてみてください。

ひとことでいえば優秀な農家。
この農家に任せておけば大丈夫、安心して買えるという農家です。
ただし。
ここで気にしてほしいのは、優秀に見える農家になりましょうという点です。
本当に優秀であることはもちろん素晴らしいことですが、優秀だからとって必ずしも上質な農産物を育てていて高い次元で利益を上げる経営をしているわけでもありません。
大事なことは、優秀に見えること。
内情なんて外から見れば誰にも分からないんです。
とにかく優秀な農家であるように見えることがなによりも重要な点だということを頭に入れておいてください。

では優秀な農家とは、いったいどんな農家なのか。
それは単純に商品がきれい、形が整っている、収穫量がすごい、栽培技術が抜きんでている、ものすごい高付加価値をつけて販売している、利益率がすごい、年商がすごい、といったことではなくて、新規就農者であっても優秀に見える要素をもっている農家のことです。
つまり。
自分がやっていることに自信を持っている。
栽培がうまくいっているように見える、見せている。
失敗を失敗としてみないで成功の糧として前向きにとらえている。
といった農業者として経営者としての姿勢が、優秀に見えるための不可欠な要素です。
だってそうでしょ。
うちのキュウリは美味しいよ!
よそじゃまずこんな味は出せないし、これを食べたらよそのキュウリは食べられなくなるよ。
と自信あふれるトークをされたら、よほど胡散臭くないかぎり美味しく感じるものです。
そして、こういったことは日常の行動に表れます。

 

ブログでの失敗談

たとえば。
販売に力を入れている農家はもちろん、インターネットを活用して農産物を売っていこうとしていない農家でもブログを書いていることはけっこう多いです。
安全や安心を伝えていきたいと考えている農家にとって、日常の出来事や畑の様子などを書いていくことは、野菜を食べてくれているお客様やファンの方に知ってほしいことだと思っているからでしょう。
ただ、農家によって更新頻度はばらばらです。
毎日欠かさずに更新している農家がいるかと思えば、1ヶ月のうちに1~2回程度更新するだけの農家もいます。
単純にみて、毎日更新するような熱心な農家は優秀で美味しい野菜を育てる、とは言い切れません。
更新頻度が低いから優秀じゃない、ということを言いたいわけではありません。
頻度ではなく書く内容で、その農家が優秀かどうかが分かるんです。
ひどい虫害
今年は虫の発生がなんだか多い気がする、被害拡大中!
今週末はオーガニックマーケットに出店します。ぜひ来てください。
昨日の台風でオクラがばったり倒れてしまいました。くやしい!
先週は遠く北海道から農園に見学にお越しいただきました。
と、それぞれの農家はここに書ききれないほどいろんな角度からいろんなネタを披露しています。
そんななかで、
おかしい。今年のナスはなんだか生長が鈍い。気候のせいだろうか・・・。
虫による被害がひどくなってきました。このままではお届けできるものがなくなってしまいます・・・。
思った以上に雨が降り続いて畑が湖のようになってしまいました。排水対策が万全ではなかったか・・・。
というような栽培の失敗をとりあげている記事がちらほら目につきます。
たまにだったらいいんです、かわいいもんですよ。
なんだかいつも失敗してるよね、というような失敗の記事ばかりを書いている農家さん、たまに見かけます。
日常の出来事を書いている日記風ブログで失敗談が多いということは、ふだんの栽培で失敗ばかりしているということです。
そのような農家は優秀だとは言えません。
もし本当に失敗ばかりしているとしても、お客様がそんな失敗ばかりの農園から買いたいと思ってくれるのか、そこんところをよく考えて情報発信する必要があります。
私だったらそんな失敗ばかりの農家からは買いたくありません。
ほかにもたくさん同じようなものが買える農家はありますから、そっちで買います。

もし優秀な農家に見られたいなら。
もし将来的に優秀な農家になっていきたいと思っているなら。
新規就農して最初から、意識して優秀な農家を演じてみてください。
こういうのは嘘でも誇張でもなく、戦略ですよ。

 

メディアへの露出

撮影スタジオ
ほかにも優秀な農家に見える要素はあります。
ごくごく単純に、テレビやラジオ、新聞などのメディアに取り上げられることが多い農家というのは優秀である確率が高いです。
テレビ向きの容姿・話し方であるとか、取り上げやすい珍しいやり方をしているとか、そういう理由もあるでしょうけど、やはりメディアに取り上げられるということは他にはない特徴を備えているから露出するわけです。
あとは、みなさんが触れる機会は多少あると思いますが農業者同士の集まり、技術交流会などで壇上に立って講演やパネルディスカッションをするような農家は非常に優秀です。
同業者から選ばれる農家というのは技術的には確かなものを持っています。
メディア出演はこちらから意図的にどうこうする機会はあまりないと思いますが、メディアをうまく利用することは販売戦略としてはかなり有効なので、自分から動いてとりあげてもらう農家もいるくらいです。
お客様の立場から考えても、メディアでよく取り上げられている農家はやっぱり優秀だと思ってしまいますし、文章だけではなく動画として生産者のことが伝えられる利点は大きいです。
また、自分紹介をして自分を売り込んでいる農家ホームページを見ても心は動きにくいですが、他人(メディア)から評価されているという「お客様の声」とか「口コミ」のような効果が期待できるため信頼のされかたが全然違います。
新規就農者というのはメディアとしても取り上げやすい題材ですし、意図的にメディアを利用するくらいの気持ちがあってもいいと思いますよ。
優秀な農家になりたいなら。

 

経験年数

年寄り農家
そしてもうひとつの優秀ポイントは経験年数です。
長くやっていれば必ず優秀な農家、というわけではありませんが、農業という仕事は経験の積み重ねがあってようやく一人前になれます。
どんな仕事でもそうだと思いますが、ベテランの域に達した方は仕事の進め方や完成度の高さにおいて初心者マークのついた方とは比べものにならないほどの違いが見られます。
農家も例外ではありません。
過去の成功や失敗をもとに、今年の気候や土の状態を見ながら栽培を進めていくのは、経験年数が浅いうちは蓄積がないので難しいです。
農家によるばらつきこそありますが、全体的に見れば長くやっている農家ほど栽培技術が高いということは言えると思います。
ただし何年目から優秀である、という基準はありません。
個人差が大きい指標です。
そしてこれは、新規就農者にはどうしても得ることができない指標です。
年数を重ねているのに優秀な農家になっていないなぁ、ということのないように就農時から意識して経験を積み重ねていきましょう。

 


このように、
ブログで失敗談がたくさん書かれていないか
メディアに取り上げられる機会はどれほどか
何年くらい農家を続けているのか
という3点は、その農家が優秀であるかどうかの判断基準になるものです。
これらを意識しながら、自分が優秀な農家になっていくためには日々どうしていったらいいのかを考えてみてください。
最初から優秀な農家に見えるためにはどういったことを考えて、どういった見せ方をしていけばいいのかを考えてみてください。

 

 

栽培が下手でも時給3000円で働く農家になる方法とは?

もしかしたらあなたは、ひたすら栽培技術を磨こうとしていませんか?
いいものを作れば売れると思っていませんか?
その道は、優秀な先進農家と戦うことになる、かなり危険な道です。死に物狂いで努力しても結果を残せないかもしれない道です。

それよりも、たとえ栽培が下手でも時給3000円、しかも週休3日で働く農家になる道があります。見つけさせすれば誰でも通れる道です。

そんな道どこにあるの?じつは・・・

つづきはこちら

有機栽培農家・松本がやってしまった間違いとは?

農業をやりたいと考えたときに最も重要なことは

栽培技術の習得

であることは間違いありません。商品ができなければ何も始まりませんから。
ちゃんと作物を栽培できて、ある程度のレベルの農作物を自分で作れるようにならなければ、当たり前ですが買ってくれるお客様はいないわけです。
だから栽培技術を身につけることは最低限やらなければならないはずです。

じゃあここで、あなたが、農業のなかでも難しいとされる無農薬栽培に挑戦しようと考えていたら・・・。自分の育てたものを消費者に直接お届けしたいと考えていたら・・・。

それはほとんどの場合。
有機農業では王道とされる、野菜セット農家になるということです。
たくさんの種類の野菜や果物、米などを育てて、それを詰め合わせボックスという形でお客様へお届けする。
そういう農家です。

当サイトの管理者・松本は、この野菜セット農家になるときに大きな間違いをしてしまいました。

それは・・・

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