新規就農に向けて農地を借りる 行政相談

農家ではなくサラリーマンの家庭に生まれ育った人間が、農業をやりたいと決意する。
自分の家では農地を所有していないし、そもそも農家ではない。
どうやったら農家になれるんだろうか。
という疑問は新規就農を希望する人が最初のころにぶつかる疑問です。

ほかにも、どれくらいの貯金があったら農業を始められるんだろうかといった疑問、有機農業をやりたいけど栽培技術はどうやって身につけたらいいんだろうかという不安。
新規就農に向けての問題点がいくつか考えられます。

今回は、新規就農するにあたってどうしても必要な農地の確保について書いていきます。

 

農地がなければ始まらない

実家が農家じゃない人が農業をはじめようと思ったときに一番問題になるのが農地の確保です。
農業は農地がなければ始まりませんから。
まず農地を手に入れないことにはなにもスタートすることができない大切なものです。
どこで就農するのか決まっていないときは、まずはそこから固めていく必要がありますが、就農地が決まっているのであればあとは農地を探すだけです。

農地はどこにいけば借りられるのか、買えるのか。
どこに相談すればいいのか。
といったことは行政のサイトや書籍をご覧いただければいくらでも載っているのであえてここで詳しく書きませんが、簡単にいってしまえば行政(市役所等)や農協に行くと相談に乗ってもらえます。
行政相談
で、相談にいって必ず聞かれること。
なにを作るんですか?
といった栽培品目、どんな規模でどんな農業をやりたいと思っているのかなど。
ようするに本気で農業を仕事にしようと思っている人なのかどうかを聞いてきます。
そんなの余計なお世話じゃ!
農地を借りたいって言ってるんだから貸してくれよ。
と強行しても無駄です。
農地を借りるのは自分ひとりでどうこうできることではありませんので、辛抱強くペコペコする以外に道はありません。

というよりも、行政側の立場になって考えてみてください。
行政は、農業をやりたい人と農地を所有している人をつなぐ仲介役です。
農地所有者にへんな人を紹介してたった数年ですぐに離農されたりすると、仲介した行政の信用が落ちます。
行政としては、慎重に就農希望者を見定めて、この人ならちゃんと農地を耕作してくれると思えなければ、こわくて農地を紹介することなんてできませんよ。

そんな事情があるので、農地を借りたいと相談に行けば、たいていは就農計画書のようなものを求められます。
起業するときに必要ないわゆる事業計画書です。
どのような品目を、どれくらいの面積で栽培して、どこに出荷してどれくらいの収益をあげていくのか。
5年後にはどれくらいの経営規模になっているのか。
といったことをざっくりと数字で示した計画書です。
こういうのは相談に行って求められてから作成するのではなく、事前に作成したうえで相談に行くくらいのやる気を見せておいたほうがいいと思いますし、農地を借りる段階に来ているのであれば計画があって当然です。
だって、自分がやろうとしている農業について人に説明できないのであれば、農地を借りる段階ではないですよ。
自分の頭の中にある5年先までの計画を、数字にして誰が見てもわかるように示すこと。
これだけです。
数字の根拠を示すのは、まだなにもやっていないのでムリですが、いろんなところに転がっている資料を参考にすればそれなりのものは作れます。
研修中なのであれば、その研修先で相談に乗ってもらうといいでしょう。
数字があまりにも現実からかけ離れていないかぎり、よほど常識外れの計画でないかぎり、それを否定する権利は行政にはありません。
行政ができるのは、農地を貸してもいいと思えるような人物を残すようにフルイをかけることだけです。

口下手で自分の想いをうまく伝えられる自信がないなら、しっかりとした計画を作っていく。
とにかくしゃべりまくって想いをぶつけられる、やる気を見せる自信があるというのであれば、ざっくりとした適当な計画でもOKかもしれません。
大事なことは、仲介の立場にいる行政に
農地所有者を紹介してもいいかな
と思わせるような新規就農者にあなたがなるべきだということです。

 

相手の立場になって考える

普通に考えれば分かることですが、まったくの素人に農地を貸すというのは農地所有者にとってはけっこう怖いことです。
どんな管理をするのか分からない。
もしかしたら草ボーボーにして、荒らすだけ荒らして数年で返却されるかもしれない。
へたな栽培で虫害や病気が多発して、周りの農家に迷惑をかけるかもしれない。
なかなか知らない相手に農地を貸すのは勇気がいることです。
だからこそ行政が仲介をすることに意味があるんだと思います。
行政から紹介されたのであれば、それなりにちゃんと農地を管理してくれる人物だろう。
と思えるから、見ず知らずの他人に農地を貸せるんです。

ということは、行政としてはフルイをかけて紹介するに値する就農希望者だけに絞る必要があります。
誰でもいいから農業やってみなよ、とは言えません。
会って話をしてみて、
この人は本気で農業をやっていく気があるんだろうか
ちゃんと計画的に商売として農業を続けていってくれるんだろうか
ということを判断しなければなりません。

農地を貸す人の気持ち、仲介して地主と就農者をつなぐ役割を担っている行政の立場。
これらを考えてみれば、彼らの不安を少しでも解消できるようにしっかりとした就農計画が必要なのはわかりますよね。
どれくらいのものを提示すれば安心してもらえるかを考えてみてください。

また、新規就農の前に農業研修を受けていたという実績があれば、それは農地を借りるうえでの大きなプラス材料になります。
農地所有者や行政が安心できる材料になるからです。
農業研修は絶対に必要なものではありませんが、国家資格をもっていたほうが企業面接に有利なように、農地を借りるときには有利な要素だと思います。

 

このように、相手の立場に立って物事を考えてみることは、計画を進めていったり交渉をしていくうえで非常に有効な方法です。
ぜひ参考にしてみてください。

 

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

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