どこで就農するのかは生死にかかわる重要な問題

農業をやりたいと考えたときに、
どこでやろう?
という選択肢があるのは、実家が農家ではない人たちです。
もしくは実家は農家だが長男が跡を継ぐから自分は関係ない、という人たち。

いわゆる親元就農の人たちは、就農地選びなんて気にするまでもなく、どこで農業をやるのかは決まっています。
実家のある地域が就農地です。
でも、そうじゃない非農家就農者は、まずは住むところ、農業をやる場所を選ぶところからすべてがはじまります。

それが面倒なんだよねー、
親から譲り受ける農地があったらラクちんだよねー、
という意見もあるかと思いますが、じつは就農地を自分で選べることこそ
非農家出身者にとって唯一の優位な点だと言えなくもないんです。
だから。
そこをうまく利用しなければ、親元就農組にくらべると不利に不利を重ねたような悲惨な状況からスタートする非農家組は、営農で苦労することになるでしょう。

というわけで今回は。
せっかく就農地を選べる状況にあるなら使わなきゃ損ですよ、という話になります。

 

親元就農のメリット・デメリット

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仕事になにを求めるのかによって変わってきますが、農業を生活の糧を得る手段とするなら、条件が整ったなかで就農できることは大きなメリットですよね。
自分のうちが農家で、自分は跡取りで、就農するときには親の持っている農地を引き継ぎ、栽培技術も継承し、売り先も親の販路をそのまま利用する。
農機や倉庫なども使える。
新しい事業を立ち上げるという意味において、こんなに恵まれた状況はなかなかありません。
もともとの親の事業が順調で、そのまま引き継いでなにも問題ないなら、安定収入を得る手段としてそれをやればいいと思います。

でも。
もし売り先である地元農協が産地として弱く、いまいち販売力を持たなかったら。
所有している農地の条件が悪く、思ったような収量を上げられていなかったら。
自分がやりたい農業の形が親のやっていることと違っていたら。

自分自身になにか思い描くような強い未来があって、それに合わないところで就農を余儀なくされたら、親元で就農することはむしろデメリットになる可能性すらあります。

 

詳しくは親元就農こせがれ農家と非農家新規参入組との圧倒的な差

 

100人いても買ってくれる人はほんの一握り

ひとつ例を挙げてみます。
あなたはこれから新規就農しようと計画を進めています。
自分で育てたこだわりの農産物を、自分で売り先を見つけて販売していきたい。
いわゆる販売農家になりたいと考えているとします。

そのこだわりは、まあまあ強いものです。
いわゆる無農薬で作物を育てていく、有機農業をやろうとしています。

その有機農産物を自分で売っていく。

もし自分で販売まで手がけようとするなら、買ってくれる見込み客ががどこにいるのか、どれくらいいるのかは重要ですよね。

自分の商圏内に見込み客がたくさんいたら、営業はかんたんだし、たくさん売れます。
でも就農地が過疎地で、商圏での人口がそもそも少なく、買ってくれそうな見込み客が少なければ・・・販売でかなり苦労することになります。
商圏を広げるか、需要のある商品に移行するか。
なにか対策をしなければ、その土地では自分の農業は成立しないことになってしまいます。

 

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たとえば。
人口50万人の町で有機野菜を売っていくときのことを想像してみてください。
50万人を抱える都市は決して小さくありません。
ちょっとした県であれば県庁所在地になるほどの規模感です。
じゃあここで。
有機野菜を購入する人はそもそもそれほど多くない、という事実を考えます。
食の安全は気にしているから有機野菜に興味ある、という人は多いですが、実際に日常的に購入している人は少ないです。
それは有機農産物の流通量をみれば明らか。
有機農産物が市場全体に占める割合は、生産量も流通量も1%に届きません。
それはつまり、購入する人がそれくらいしかいないということに直結します。

じゃあ仮に。
50万人都市に1%の見込み客がいたとすれば、5千人が商売の相手になりますよね。
5千人が日常的に有機野菜を購入していると。
そんなにたくさんいるなら売り先はじゅうぶん?
いえいえ、その結論は早計過ぎます。

その5千人は都市人口全体に対する1%という数字。
年齢や性別が考慮されていません。
まずおおざっぱにみて、有機野菜を実際に購入する人は多くが女性だと思います。
女性、おもに主婦が購入して、それを料理して食卓にあげるわけですから。
そして購入する年齢層は、未成年を除く必要があるでしょう。
家族構成、年齢層などを考えると主婦(20~70歳、女性)が主な見込み客になるだろうという絞り込みで、5千人のうちの2千人くらいが購入対象者になるかもしれませんよね。
もちろん、その人たちすべてから買ってもらえるわけではないし、まわりに競合が多ければ顧客の取り合いになります。
スーパーなどで有機農産物の取り扱いがあるとか、自然食品店があるとか、野菜セット宅配農家がいるとか、有機農産物を扱う全国規模の食品宅配業者がいたりとか。

そうして競合を考えていくと、そもそも自分の見込み客は300人くらいしかいない、なんて可能性があるんです
人口50万人のうちの300人しか、現状では見込み客がいない。
それって怖いですよね。
その人たちに認められるものを提供して、もし評価されなければ商売として終わってしまいますから。

 

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これがもし人口500万人規模で商圏があればどうでしょう。
単純に10倍の見込み客がいることになります。
3千人です。
それだけいたら売りやすくなるし、競合とぶつからないため、勝っていくための差別化戦略も立てられますから、いくらでも商売として成り立つ可能性が出てきます。
需要が少ないなかでなんとか売っていこうとすることほど難しいことはありません。


どうでしょうか。
もし過疎と言われるような地域で新規就農して、地域密着で販売をしていく農家になったら・・・。
こだわりを追求すればするほど自分の首を絞めることになってしまいます。

自分の商圏がどのような状況なのかを知っておくことは非常に重要です。
もし就農地を選べる立場にいるなら、このあたりをしっかりと考えるべきではないでしょうか。

 

就農地選びは慎重に

じゃあ過疎地、人口の少ない地域には可能性はないのか。
弱い農協の管轄にある地域で就農したら、儲からない農業をやっていくしかないのか。
というと、もちろんそんなことはありません。
人口が少なければ競合も少ないですし、うまく時流に乗って儲かることがあるかもしれません。
でも。
ただ流されて、人から勧められるままにやっていたり、親から引き継いだものをそのまま使っていたり、なにも考えずに就農すれば現状は変わりません。
でも、やれることはたくさんあります。
不利な条件を打ち消す手立ては山ほどあります。

さきほどの過疎地就農問題にしても、商圏を広げるためにインターネットを活用することができますし、販売力のある業者とつながって契約栽培することで高利益・安定収入を実現できるかもしれません。
時代の流れをよく読み、うまくそれに乗っていけば、就農地がどこであろうと自立した農家としてやっていくことはできます。
でもそのためには、しっかりと考えて、調べて、準備をしたうえで動いていく必要があります。

いずれにしても、就農地は大切です。
多額の補助金が出るから、毎月の収入支援が見込める制度があるから、といった目の前にぶらさがった人参に踊らされないよう気をつけてください。

 

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

つづきはこちら

 

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