農協や市場に生産物を卸す場合、たいていは自分で値段をつけることはできません。
売れてみてはじめていくらだったのか知ることができるわけです。
産直のような直売所だと自分で価格設定できますが、他の生産者がつける価格にある程度あわせる必要があります。
高くしすぎると売れないけど、安くしすぎると利益が薄くなる。
趣味で野菜をつくっているような道楽農家と競争することが多いので、専業農家は低価格に苦しむことが多いようですね。
直接お客様から代金を頂く場合、自分で商品に値段をつけなければいけません。
会社から給料をいただく形で生活しているサラリーマンから転身して就農したときに困るのは、この価格設定ではないでしょうか。
この野菜はいったいいくらにしたらいいの?
というのは誰しもがかかえる悩みのタネだと思います。
結論から言えば売りたい値段で売るということですが、適正価格を外すと売れないので自分が希望する値段をつけられるとは限りません。
大根1本1000円で売りたいと思っても、それじゃ買う人いないでしょう。
コストを計算して利益が出るように価格設定するのが通常でしょうけど、多品目栽培しちゃうと労働の重複が多くなるので厳密なコスト計算ができないことが多いです。
ちゃんとコスト計算すると高級野菜になっちゃうし。
じゃあどうするか。
それぞれの農家にそれぞれの基準があって価格を決めているので一般的な話はできませんが、松本自然農園の場合はザックリ見積もりしています。
頭のなかには一応基準となる価格を持っていて、2000円のセットをつくるときは野菜ひとつひとつの値段を考えながら詰め合わせていきます。
人参200円、水菜250円、レタス250円・・・で足したら2000円になればOK。
みたいな。
でも最終的には、2~3人家族が1週間で食べきれる量を想定して2000円セットをつくる、という形に落ち着いてきました。
営農5年のあいだには紆余曲折があったんです。
詰め合わせる量が多すぎたら定期で毎週購入していたお客様が隔週購入に変更してしまうし。
少なすぎたら満足していただけないので定期解約するお客様が続出するし。
そんなことを繰り返しながら落ち着いたのが今の詰め合わせ量です。
無農薬・無化学肥料の野菜だったら2000円でこれくらい、という世間的な感覚に寄ったといえるかもしれません。
このように松本自然農園の価格設定は経験に基づいています。
売りたい値段で売る、とまではいきませんが、お客様が買ってくれる値段で売る、といった感じでしょうか。
就農当初は商品に値段をつけるのが難しいと思いますが、高く売りたいと思ったらやってみればいいんです。
売れなきゃ高すぎるわけだし。
ただし安くしすぎるのには注意。
安ければもちろん売れますが、利益がでない価格じゃ続けていけません。
一度つけた価格を下げるのは簡単だけど上げるのは難しいですし。
2000円の適正量が知りたければ出荷日に手伝いにきてください。
もしくは・・・買ってみます?
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・