農業で生計を立てられないから兼業農家、それでいいの?

このブログを見ていただいているということは、少なくとも新規就農を検討しているでしょうし、もしかしたらすでに農業研修を受けているところかもしれません。
あなたが思い描くのは専業農家ですか?兼業農家ですか?

専業農家としてやっていきたいということであれば、そのまま突き進んでいってください。
なにも言うことはありません。
このブログではそのために必要な有益な情報を提供していきますので参考にしてください。
そうではなくて、兼業農家としてやっていきたい、もしくは半農半Xな生き方を検討している方。
そう考えている根底にはどのような想いが隠されていますか?

農業だけで生計を立てていくのは難しいから他の仕事も兼業していこう。
ちゃんと稼げるようにならなくても兼業農家として一生農業に関われるなら満足だ。
もしこのように考えているのであれば、ちょっと立ち止まっていただきたいと思います。

 

 

奥様がOLというだけで兼業農家?!

専業か兼業か
日本の農業統計をみていくと、農家を営農形態によっていくつかに分類しています。
専業農家・・・農業収入だけで生計をたてている農家
兼業農家・・・農業を営みながら農業以外からも収益を得ている農家
自給的農家・・・経営耕地面積が30a未満かつ農産物販売金額が50万円未満の農家

また、兼業農家はさらに二つに分けられます。
農業を主にする第一種兼業農家と、農業が副業になっている第二種兼業農家です。

本題に入る前にすこし前置きをしておきます。
上記の専業農家や兼業農家の定義をみて、私は非常に違和感を覚えます。
なぜ農家単位なのか?
ということに。
この定義でいくと、たとえば農業者である夫が年収3000万円くらいを稼ぎ出していたとしても、奥様が生きがいとしてパートなどをして働いていると兼業農家として分類されてしまうということです。
農業者個人がどうこうではなくて、世帯単位での分類というところに違和感があるんです。

農業は家族でやるものだという潜在意識が形になって表れているんでしょうけど、こんな統計は時代に沿っていないと思いますし、農業を産業としてみるのであれば真っ先に変えるべき分類だと思います。


今回は、新規就農をして新しく農場を立ち上げた農業者自身が、専業で農業をやっていくのかそれとも兼業で他の仕事もしながら農業をやっていくのか、という形について書いていきます。
つまり、専業農業者と兼業農業者についてです。
耳慣れない言葉だと思いますので、下記で話を進めていくときには
専業農家と兼業農家
といった書き方をしますが、その内情は農業者個人の働き方を指していると考えてください。

 

専業農家では食べていけないという幻想

専業ではなくて兼業でやっていきたい。
半農半Xな生き方をしていこう。

このように考えている方は非常に多いです。
その考え方自体を否定するつもりはありませんし、どのような生き方をするかは当人の自由です。
やりたいことがたくさんあって兼業農家の道を選ぶのであればそれは正解でしょうし、暮らしの中に農業があるというような生きがい思考は素晴らしいと思います。
問題だと感じるのは、兼業でやっていこうと思っているその奥底に
農業だけで生計を立てるのは難しいから
といった考えが潜んでいることです。


なぜ、農業では稼げないと最初から決めつけてしまうんですか?
農業を仕事にしたいと考えているのであれば、そこになにかしらの魅力を感じているんですよね?
農業だけで生計が成り立つのであれば、そのほうがいいとは思いませんか?
一生のうちの大部分の時間を費やす仕事を、農業という魅力的な労働にあてたほうが楽しいと思いませんか?

新たな一歩を踏み出そうというときに、最初から農業では稼げないからといって専業を避けてしまうというのは非常にもったいないです。

 

兼業農家でいいや、という逃げ道を作らない

ここで、これから新規就農しようとしているあなたが考えるべきことはなんでしょうか。

ちゃんと稼げるようにならなくても兼業農家としてなら無理なく生涯に渡って農業に関われるぞ。
専業農家としてやってみて、もし失敗しても兼業農家という道があるぞ。
半農半Xを提唱している方もおられるんだし、兼業農家も悪くないんじゃないか。

そんなふうに考えているのだとしたら・・・。
断言しましょう。
最初から兼業農家を頭にちらつかせている人が、専業農家として一人前になれることはありません。
専業農家とは、その道のプロ。
ほかのことをやりながら兼業で収入を得ていこうとしている人と比べれば、真剣さがまったく違います。
兼業農家を専業農家と同列に語ってしまっては失礼です。

ただし。
独立時にあまり資金がないから最初は兼業して、ゆくゆくは専業農家としてやっていこう。
という話とは違います。
専業農家としてやっていく自信がないから、はじめから兼業農家の道を検討しているんだとしたら・・・。
農業では生計を立てることができない、という前提を勝手につくって兼業農家になろうとしているのだとしたら・・・。
それはあまりにももったいない考え方です。

 

最初から「だめだったら兼業農家でもいいや」という逃げ道を作らないでください。
農業を一生の仕事にしていく、一生のうち多くの時間を費やす仕事を価値あるものにしたい、と考えているのであれば
その道一本でやっていく
という強い気持ちが必要です。
やっていくと決めて、それをベースにして計画を積み上げて行くべきです。

いや、でも・・・じゃないんですよ。
できると思ったらできます。
できないと思ったらできません。

そんなもんなんですよ。
それぞれの人が持っている才能がどうとか仕事の能力がどうとか、そんなことは問題ではありません。
農業自体はものすごく遅れた産業です。
技術競争が激しいとか、値下げ合戦になって疲弊するとか、そんなことは稀です。
ほかの産業で培ったノウハウを持ち込んだり、他の農家とは違う工夫をいくつか取り入れるだけで、農業初心者でも意外に生き残っていくことはできます。

足りないのは、意気込み。
専業でやっていくという思考。
その思考をベースにした戦略と実行力。

すべてのはじまりは
専業でやっていく!
という強い決意からです。

 

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

つづきはこちら

 

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