ネットに落ちている栽培方法の正しい拾い方

栽培で分からないことがあったとき、どうやって調べますか?
一昔前までは、近所の篤農家に聞いたり本屋に行って栽培の本を買ったりして疑問を解決していたと思います。ですが今はインターネットがあります。調べるといくらでも情報は落ちていますし、YouTubeには栽培技術を伝える動画が山ほどあります。本当に便利になりました。

もちろんそういった動画は有益ですし、実際に真似をしてみたらうまく育てられた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。すごい技術を持った農家から直接教わることができるメリットは計り知れないものがあります。ぞんぶんに活用するべきでしょう。

ただし注意点があります。その農家の技術は、個人的な経験則で語っていることが多いので、置かれている気候環境や土壌条件が違うとそのまま使えない技術であることに注意すべきです。
黒ボク土でやっている栽培や肥培管理を、粘土質が強いところでやってもうまくいかなかったり。温暖地域での栽培を、寒冷地で真似してもうまく育たなかったり。上っ面だけを真似しても同じ結果にならないことはよくあります。

ネット上の記事やYouTube動画での栽培技術はあくまでも属人的なもの、真似してみるのはいいのですが「なぜそうやっているのか」という本質まで理解できないとリスクがあることを理解したうえで真似するべきです。

作物を育てるときに考慮しなければならないこと

植物生理のこと、病気や虫のこと、栽培管理で気をつけることなど主観が入らない基本的な話であれば、ありがたい情報として受け取っておけばいいと思います。でも、肥料を1㎡で200gほど入れてください、植えるときは株間を30㎝ほど空けてください、など数字を含んだ話にはちょっと気をつけたほうがいいかもしれません。その数字は話し手にとっては最適値でも他の人に当てはまらないことがあるからです。
では安易に情報を鵜吞みにしないためには、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか。大きく分けて3点あります。

①人  誰が育てるのか、誰のために育てるのか

けっこう忘れがちですが、作物を育てるときには買ってくれる人の希望に合わせる必要があります。家庭の主婦は安くて大きくて調理しやすい形を好む一方、レストランのシェフはミニサイズで味が特徴的なものを欲しがるかもしれません。
であれば大きく育てるために株間を広げたり、味を追求するために肥料の種類を変えたり施肥量を調整したりしなければなりません。
顧客が見えてないのに栽培方法を突き詰めていくことはできませんし、ネット上の情報を鵜呑みにせることもできません。

②環境 どこでどんな環境でどうやって育てるのか

「4月15日にトマトの苗を植えました~」というYouTube動画を見て「そうか!もう植え時か!」と真似をする。画面越しにあれこれ情報を読み取って判断できるならいいですが、画面の向こうにある気候環境・土壌条件と自分自身の環境が同じだと思っていたら痛い目にあいます。4月中旬定植は多くの地域では問題ないかもしれませんが、長野県や東北・北海道など冷涼地域ではトマトの定植はまだ早すぎますから。
しかもこれは露地の場合で、ハウス栽培であればもっと早く植えても大丈夫だったり、ハウス内に暖房をかけて暖めるなら冬に植えても問題ありません。
肥料の種類や量についても簡単に真似できません。黒ボク土と沖積土では肥料設計がぜんぜん違いますし、化学肥料を主体にするか有機肥料を主体にするかでもまったく違ってきます。
どこでどんな環境でどうやって育てるのか、これらを画面を通して読み取らないと大きな失敗をしてしまう可能性があります。

③作物 何を育てるのか

品種による差は非常に大きいです。
ユーチューバーさんはブロッコリーの株間は40cmって言ってたな、と学んで自分もそれに倣ってみる。もちろん参考にできることも多いのでまずは同じようにやってみる姿勢はよいと思います。でも品種を少し気にしてみてはどうでしょうか。
品種によっては密植になるよう30cmを推奨する場合や、脇芽を中心に収穫するから広めに株間50cmを勧める場合などさまざまあります。間引きが栽培工程に入っていたり、仕立て方がすこし特殊だったりして株間が変わることもあります。
ブログやユーチューバーを信じるのもけっこうですが、まずは基本的な情報としてタネ袋の説明を読む、その品種を販売している種苗メーカーのHPを見てみるなど複数のソースを確認したほうがいいと思います。

3つがかみ合って初めてうまく育つ

ネット上の記事やYouTube動画から得られる情報は、簡単に手に入るだけに精査する目を自分自身が持っていないと間違った情報に踊らされてしまう怖さがあります。
①人  誰が育てるのか、誰のために育てるのか
②環境 どこでどんな環境でどうやって育てるのか
③作物 何を育てるのか
などを気にしながら、手に入れた情報が正しいのかどうか、過不足がないだろうかと考えたうえでうまく使いこなしてください。

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