農業を仕事にしたい・・・けど何をつくったらいいの?

ひとくちに農業といってもいろいろな分類があり、品目があります。
米や麦などの穀類
多種多様な品目がある野菜類
切り花や盆栽などの花き類
牛・豚・鶏などの畜産


それぞれの分野においてもたくさんの品目・品種があり、それらを統括して農業と呼んでいます。

さてここで。
農業を仕事にしたい!と決意した人が農業を始めようと考えたとして。
こんなときにどこへ相談に行くかというと、選択肢のひとつですが
市役所などの行政機関
だったりします。
もちろん農業を始めるときには相談に乗ってくれますし、農地を借りるときや補助金を受けるときにお世話になりますから、行政を頼って新規就農のステップにするのは順当な手段です。

そして。
農業をやりたいんです!
と気持ちを打ち明けます。
今の仕事を辞めて、農業を一生の仕事にしていきたい。
農業という生き物を扱う、命ある食べ物を扱う大切な仕事に関わっていきたい。
そのような熱い想いをぶちまけます。

行政相談

それを聞いて行政サイドがどんな対応をするかというと。
なにを作りたいんですか?
といった質問を返します。
けっこう冷静です。
まあふつうに考えれば同然の対応ですが、農業といっても幅が広いので
「農業をやりたい!」
と言われても困るんですよ。
でも。
就農希望者としてはとにかく農業がやりたいんだけど、栽培する品目が絞りきれていない。
なにを作りたいかなんて決めていない。
そういう状況。
とにかく農業に関わりたいんです、といった感じ。

こういうことは意外にあります。
農業をやろう!
という決意をしたまではよかったけど、栽培品目の種類が多すぎて選べない。
絞りきれない。
なぜこんなことが起きるのか。
そもそも品目は絶対に絞らなければならないのか。
このあたりについて詳しく解説していきます。

 

農業をやりたいという動機

さきほどの行政相談の場合、新規就農希望者が持っている動機は
農業をやりたい
なんです。
●●を育てたい
が動機ではありません。
とにかく農業という仕事がしたい、農業という業界で働きたい、自分の人生を賭けてみたい。
決めたのはそこまでですから「なにを作りたいんですか?」とか聞かれても困ってしまうわけです。
とはいえ。
ある程度の絞り込みは必要です。
牛や豚を扱う畜産と、植物である野菜では同じ農業といっても考え方が大きく違います。
畜産をやりたいのか、野菜をやりたいのか、花をやりたいのか。
それくらいは決めるべきです。

そのから先。
野菜のなかでも何を作りたいのか。
どの品目を主力にして農業をやっていきたいのか。
といったことについては、実家が農家でそれを引き継ぐという形でなければなかなか絞り込むのは難しいと思います。
まあ、それは当たり前といえば当たり前。
さきほど言ったように動機が「農業をやりたい」なんですから。

 

品目は必ず絞らなければならないわけではない

ではここで。
品目は絞らなければならないんでしょうか。
トマトを栽培したい。
トウモロコシを栽培したい。
里芋を栽培したい。

どれかひとつ、もしくは数品目を選ばなければ農業はできないんでしょうか。
子どもの頃に庭で育てられていたトマト、それを食べたときの美味しさが忘れられない。
とか。
なぜかモロヘイヤを食べると心が躍ってしまう。
とか。
ズッキーニの良さをもっと日本に広めたい。
とか。

よほど好きな、思い入れのある品目がなければ選ぶことは難しいのが現状ではないでしょうか。
だからこそ。
儲かる品目はどれですか?
といったわけのわからない質問が出たりするんです。


農業を始めるときには何か特定の品目を決めてなければだめなのか。
このことについて例を挙げてみます。
たとえば。

和食

料理の世界を想像してみてください。
和食の素晴らしさに魅了されて、和食の料理人になりたいと考える人はたくさんいます。
そして。
包丁の研ぎ方、出汁の取り方、魚のさばきかた、味付けの極意・・・。
どのような形で修業をするのかわかりませんが、いろいろな場面でいろいろなことを学びながら和食を極めていくんです。
じゃあここで、世の中にある飲食店を見てください。
天ぷら専門店があります。
寿司屋があります。
うどん屋があります。
蕎麦屋もあります。
和菓子をメインに揃えている甘味処だってあります。
和食のなかでも特定の料理を極めた店、たくさんありますよね。
そして。
和食の店だってあるんです。
焼き魚も天ぷらもうどんもメニューにある、そんなお店です。
和食全般のいろいろな料理を提供している和食の店は、日本中いたるところにあります。
料理の世界には。
品目を絞った専門店もあれば、種類を揃えた和食の店もあるんです。

 

農業でも同じことが言えます。
品目を決めてそれを極める農家がいれば、多品目でいろいろな種類の作物を育てる農家もいる。
それでいいと思います。

 

多品目栽培という可能性を捨てない

野菜セット

品目が絞りきれないうちは、多品目栽培で構いません。
トマト、ナス、キュウリ、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、水菜、チンゲンサイ・・・。
米をやってみてもいいし、ニワトリを飼ってみてもいい。
多くの作物を育ててみて、和食の店のようにたくさんの品目を扱ってみて、そういう多品目農業をやってみたらいいんです。
そのうち、特別に好きになる品目が見つかります。
そのときに方向転換すればいいでしょう。
もしくは、多品目栽培農家でもいいじゃないですか。
和食の店があって成り立ってるんだから。

多品目栽培という道。
そんな方法があるということを覚えておいていただければ幸いです。
 

 

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

つづきはこちら

 

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