研修には2つのルートがある

お盆週間が終わりました。
仕事が、というよりは私生活のほうがドタバタとして日記を書くに至りませんでした。
今週よりまた書いていきます。

今日は見学者が来ました。
新規就農希望者です。
遠く関東方面からわざわざやってきました。
あまりしっかりと時間をとれませんでしたが、ホームページやブログをよく読んでくれていたおかげで話がしやすかったように思います。
参考になったかどうかわかりませんが。
もしかしたら来年はうちで研修を受けるかもしれませんし、別のところで研修を受けるかもしれません。
いずれにしても農業の世界に飛び込む心意気を祝福したいと思います。

話をした中で、ここに書きたいと思ったことを少し。
新規就農を志す場合に研修を受けるという道がありますが、ここには2種類のルートが存在すると思います。

ひとつは農家への研修
実際に営農している農家から直接技術を学びとることができます。
基本的な栽培技術を学ぶこともできますし、販売に関するノウハウも盗めるかもしれません。
栽培そのものではなく圃場全体を管理していく技術も学べます。
ただし欠点もあり、その農家が採用している農法に凝り固まってしまう傾向が強いように思います。
言い方を変えれば視野が狭くなる
トラクターを使っていたらそれが必要だと思いこんだり、堆肥は欠かせないと思ったり、草を生やすことは悪だと思ったり。
その農家は、たくさんある農法や栽培技術を知った上で自分にあったやり方を選んで採用しているので、同じやり方が他人にとって最適とは限らないのですが、研修生にとっては目の前でうまくいっている方法が最上だと思ってしまうのはしょうがないのかもしれません。
こういうことを知った上で「自分にとって最適な農法・技術は?」ということを常に意識するなら農家研修は意味のあるものになると思います。

もうひとつのルートは学校に通う
全国を見渡せば、農業系の学校や研修施設はたくさんありますし、有機農法に限定してもよりどりみどりとはいかないけど選択肢はあります。
僕が行っていた自然農法センターもこちらです。
小手先の栽培技術だけではなく、もっと基本的な有機農法の理念から教えてくれるため、大きな視野で農業をとらえることができます。
そのため農家研修とは違い、栽培に関しては思い込みによって技術を限定してしまうことが少ないように感じます。
山の頂上が見えているからそこに辿り着くルートは自分で探すことができる、というと分かりますか?
基本をみっちり叩き込まれるので応用力がつくということです。
ただしこちらも欠点が。
労働をコストとして意識することが少ないため、栽培上最適だと思われることを惜しげもなく労働・資材を投下して遂行します。
農家の技術というのは商品を販売して利益を出してはじめて成り立つものなので、商売のことを考えていない栽培技術に用はありません。
丁寧に手間暇をかけて栽培された野菜は元気にすくすく育つけれど、そこにかかったコストを考えるとその栽培方法は採用できないんです。
なるべく手をかけずに育てる、最小限の資材で栽培する、ということを考えるのが農家です。
学校系で学ぶときは、このことを常に意識していれば有意義な時間になると思います。

ということで。
どちらも短所長所がありますが、短所を補うように意識を高めていけばどちらで研修を受けても大丈夫だと思います。

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