トラクター必須 思い込み問題

農業における成功のカギ「固定観念にとらわれない」は実践するのがけっこう難しいですが、なんとしても獲得したいスキルのひとつです。農業界に浸透している凝り固まったイメージや考え方からいかにして抜け出すか、出る杭になれるかどうか、突き抜ければ成功が近づくのは理解できると思います。

たとえば、農業やるならトラクターが必須だと一般的には思われているようですが、状況によっては耕うん機・管理機という選択肢もあるわけです。トラクター必須という固定観念。これを以前YouTubeで話したところ、

「売上1000万円あれば200~300万円のトラクター買うでしょ。アホなのか?」

というコメントがつきました。アホという表現はともかくとして、僕としてはけっこう的を射ている意見だと感じますし、この方はちゃんとコスト計算をしているのだろうと想像できます。

この方は自身の経営、品目や耕作面積から想像して発言したと思うし、おそらく費用対効果を計算して判断できているから、健全な経営ができてるんでしょう。他農家の多様な環境まで想像できていれば売上1000万円でもトラクターを買わない経営があることに気づけるので「アホなのか?」発言は少し残念ですが。

費用対効果の推測

結局のところ費用対効果を計算できるかどうかがカギになります。

売上1000万円だと平均的に経費が700万円ほどかかっています。そのうち約10%の70万円が減価償却費であることが統計データで出ています。農業機械の耐用年数は税務上7年なので70万円×7年=490万円を農業機械等に投資している。ざっくりいえばこんなイメージです。

必要な農機・設備はトラクター以外にもあるし、トラクターは7年どころか10年15年使えたりするので、そのへんを考慮しても490万円のうち半分をトラクター購入にあてるのはイメージとしては間違ってなくて。

このように統計データから平均的な農業経営像をみても「売上1000万円あれば200~300万円のトラクター買うでしょ。」が的外れじゃないことが分かります。

ただし、私のように圃場が大きく分散していてトラクター自走が難しい場合、圃場ごとにトラクターを置いて2台3台所有するのはバカげてます。売上1000万円だから即トラクター購入!ではないことも知っておくべきです。

思考の末に投資すべき

大切なのは「トラクターは必要でしょ!」といった固定観念ではなく、ちゃんと計算して経営上間違っていないと思えるような投資ができるかどうか、周りに流されないで自分で判断できるかどうか、ではないでしょうか。

トラクターがいらないと主張したいわけではありません。農業機械を含む設備費用は高額であり、経営規模に見合ったコストなのかをちゃんと考えてほしいという話です。
そのグレードが本当に必要なの?
その新機能は生産性や労働効率にちゃんと貢献してくれる?
中古じゃだめなの?
共同利用やリースという選択肢はないの?
トラクターじゃなく手押し耕耘機3台という選択肢はないの?

物価高騰の影響が大きい近年だからこそ、お金の使い方は慎重に、ご利用は計画的に。

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

つづきはこちら

 

関連記事

  1. 生産が先か、顧客確保(営業)が先か

  2. 農業研修で最も大切なポイント・仕組みを盗む

  3. これからの農家に求められるのは総合力

  4. 20年30年先を見通した長期計画は農家に必要なのか

  5. 【統計】大規模農業ほど儲かる?小さな農家に生き残る道は残されているのか

  6. 農業は衰退している!の嘘と新規就農者がもつ明るい未来