昨年よりスタートした青年就農給付金制度。
【青年就農給付金】
青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図るため、就農前の研修期間(2年以内)及び経営が不安定な就農直後(5年以内)の所得を確保する給付金を給付します。
松本自然農園は都道府県等が認めた先進農家として登録されているので、現・研修生のなかには研修期間(2年以内)として給付を受けている者もいます。
すでに就農した人たちの中にも給付を受けている者は大勢います。
これから先も給付を受けようと動く研修生・就農者は多いと思います。
年間150万円という金額はバカにできない数字です。
7年間満額で受け取ったとすると1000万円を超える金額ですからね、受給する立場としてはうれしい限りでしょうけど、そうじゃない周りの人間からみれば「おい、それ税金だからな!」と言いたくなるようなバラマキです。
僕は基本的に青年就農給付金には反対の立場です。
受入先進農家として登録されているのにこんなことを言うのはなんですが、給付金をもらった時点で補助金漬け農家の仲間入りです。
生涯にわたって行政にたてつくことはできなくなります。
まあ、たてつこうと思っていないにしても、少なくとも行政(農政)には頭が上がらなくなります。
農家になるということは起業をするということです。
立派な事業であり、経営者になるということです。
起業に必要な資金は自ら用意するからこそ大切に使おうと思うし、自分の力で道を切り開いていかなければならない状況の中でなんとか生きていこうともがきます。
起業にともなうリスク(金銭的不安や不安定な生活など)とも常に戦わなければなりません。
これを覚悟というなら、補助金でリスクを減らすことは覚悟をも減らすことにつながりかねない危険な行為です。
覚悟とは不測な状況で踏みとどまれるかどうかの大事な力です。
覚悟のない者が起業することほど怖いことはないと思います。
松本自然農園には当然ながら受給資格がありません。
補助金をもらえないことに対する単なるひがみに聞こえるかもしれません。
でも僕が就農したころにも、青年就農給付金ほど大きな金額ではありませんがうまくやれば100万円以上潤う補助金制度はありました。
もちろん利用していません。
覚悟があったからです。
補助金をもらうとはどういうことか知りたくて、興味本位で環境保全型農業への補助金を受け取ったことはありました。
1万円とか2万円とかそういう金額でしたが、それですら違和感があり今は受け取っていません。
給付金を受け取るか受け取らないかは自由です。
そのひとの考え方ひとつです。
覚悟うんぬんなんて知らん、くれるものは欲しい。
それでもけっこう。
ですが目先の金額だけでなく大きな視野で見定めてほしいと思います。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・