野菜を栽培しているなかでの農薬の役割、農薬を使う目的について考えてみたいと思います。
いやいや。
農薬を使わないで野菜を育てたいので、農薬について知らなくてもいいです。
という方。
無農薬に興味がある人にこそ、農薬とはどんなものなのかを知ってほしいと思います。
農薬の役割、目的を知ることによって、無農薬で野菜を育てることの意味、無農薬野菜を食べることのメリットを感じられるようになります。
ぜひご覧ください。
目次
農薬は病気や虫害を防ぐためのもの
まず、農薬を使う目的でもっとも分かりやすいのは
病気を抑える
病気の発生を予防する
殺虫する
虫がつかないように防御する
といった病気や虫害に関することです。
病気になったら薬をかけて治す。
病気にならないように予防として薬をかけておく。
という薬の使い方はそんなにおかしいでしょうか。
野菜に寄ってくる虫を殺してしまう。
野菜に虫が付かないように薬でブロックする。
これはそんなにいけないことでしょうか。
野菜の立場でいえば、病気になってもなにもしてくれない無農薬栽培農家よりも、あれこれ手を焼いて大切に育ててくれる農薬を使った栽培農家のほうが、野菜にとってはうれしいという見方が出来ますよね。
それなのに無農薬で育てることのほうがもてはやされる。
なぜでしょうか。
これは人に例えてみると納得できます。
野菜を人に置き換えて考えてみます。
病気になったら薬を飲んで治す。
病気にならないように予防接種を受ける。
といったことで人は薬に頼って生きています。
蚊やブヨが飛んできて血を吸おうとしてきたらパチンとたたいて殺してしまう。
蚊が寄ってこないように虫除けスプレーを体にかけて寄りつかないようにブロックする。
よくやりますよね。
自分は病気になったら処方された薬を飲むのに、野菜が病気にかかってもなにもしないで放っておくほうがいいですか?
自分は蚊がいやだから殺してしまう、防虫スプレーを体にかけるのに、野菜に農薬をかけることはダメですか?
農薬を毛嫌いする気持ちはわからなくもないですし、私自身も農薬には相当な嫌悪感をもっていた時期がありました。
でも、このように人に置き換えて考えてみると、農薬を使わないという選択にはどこか野菜に対して冷たい感情が含まれているように感じませんか?
病気にかかっているのに何もしないなんて・・・。
虫にやられるのがわかっているのに何もしないなんて・・・。
ある意味では虐待。
無農薬栽培ってなんて無慈悲なの。
そのようにとらえることも、できなくはないです。
無農薬で育てる意義とメリット
病気や虫に対しての、人と野菜での対応の違いを比べてみると、無農薬で育てることにすこし抵抗を感じられるかもしれません。
ですが、無農薬であることの意義は別のところに存在します。
人と野菜の健康を考えるうえで決定的な違いがあります。
それは。
健康じゃない個体の扱い、です。
人であれば、病気にかかったら早く治して元気になりたいと思うし、病気にかかりたくないと思えば予防接種をすることもあります。
表面上なんとなく元気そうに見えるだけでじつは病気がちで不健康だったとしても、
100人いれば100人すべてが元気に生きたいと思っているはずです。
社会もそのように動いています。
これを野菜で考えると。
表面上なんとなく元気そうに見えるだけでじつは病気がちで不健康だったとしても、農薬をかけることで100すべての野菜が元気に育っているように見えるということ。
農薬をかけることで100%すべてを生かそうとします。
でも内情は違います。
本当は消えてなくなるべき不健康な野菜も、無理やり生き残らせている状態。
健康ではないものを健康なように見せて、とりつくろって100%の収穫を目指そうとするのが農薬を使った栽培です。
無農薬で育てようとすることは、健康ではないものを排除しようとする行為なんです。
農薬が使えなければ・・・。
病気にかかって死んでしまうものもある。
虫に食われて被害をこうむるものもある。
100すべての野菜を生かすのではなく、なんらかの理由によって病気になったり虫に食われたりしたものをそのまま自然淘汰してしまうんです。
不健康なものは排除していくんです。
そうすることで薬に頼らないでも健康に生き残っているものだけが収穫されるようになります。
食卓には健康なものだけが届けられます。
無農薬で育てることの意義は、健康なものと不健康なものを選別するところにあるんです。
だから。
無農薬で育てることで病気がちな野菜が収穫されるのを防ぐことができる。
健康な野菜だけをお届けすることができる。
といったメリットが無農薬栽培にはある、とも言えます。
もちろん、農薬が悪いわけじゃありませんよ。
農薬は素晴らしいものだし、なくてはならないものだと思います。
世間的な評価はあまりよくないものですが、安全性でいえばほとんど問題がないレベルにまで高まっています。
農薬を使うことで生産性が上がったり、安定して生産ができるようになるのをメリットと感じるのであれば、罪悪感なく使えばいいです。
そうじゃなくて、とにかく美味しくて生命力にあふれた力強い農産物を育てたいんだ、そういう食べ物を食卓へとお届けしたいんだ、というのであれば無農薬栽培を選択すればいいと思います。
農薬を使用する目的、役割、効果などをしっかりと真正面からとらえたうえで、それでも必要ないと思われるのであれば使用しない。
農薬は必要ないから使わない。
というスタンスが非常に重要です。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・