差別化は大事。
よく言いますよね。
ほかの農家と違う特徴をしっかり持っていないと、商品を比べられて価格競争に陥る。
安さで勝負するんじゃなくて、価格以外の価値で勝負すべき。
といった話です。
まあ、農業界は産業としてあまり競争が激しくないですし、わりと牧歌的なところもあるので、差別化論は一般的にされる話じゃないかもしれません。
でも、少なくとも私はこのサイト内でよく言ってます。
差別化は本当に大切。
あなたから買いたい、あなたの野菜を食べたい、と言ってもらえることが農家として最高の喜びですし、そういうファン商売をしている農家は強いです。
そして、ファン商売の基本になっているのが差別化。
他とは違う特徴があり、そこでしか買えない商品がある。
あなたから買いたいという魅力を持った生産者がいる。
独自のウリがあるからこそ、ひいきにしてくれる消費者がいるわけです。
この差別化、気にしている農家はあまりいないと思います。
キャベツはキャベツだろ!
人参にウリもくそもない、美味しいかどうかの差がウリだ!
といった感じで、差別化なんて考えずに、いいものさえ作れば売れる、高く買ってもらえるという感覚を持っています。
でも。
それぞれの農家がウリにできる要素はけっこうたくさんあって、ウリを掘り起こして整理し、アピールのしかたを工夫すれば、いくらでも差別化できます。
うまくいけば商品単価が何倍にもアップします。
じゃあ、実際にどうやってウリになる要素を見つけたらいいの?
具体的にどうやって差別化していけばいいの?
と聞きたくなると思いますが、今回はパス。
気になる方はこちらにヒントがありますのでご覧ください。
→https://nouest.com/semi/
今回は、差別化について重要なことを書いていきます。
これを知らないで、
差別化だ!
と意気込んでも意味がありません。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
差別化って誰と差をつけるの?
結論から言ってしまいますが、差別化を考えるなら
誰と差をつけたいのか
を明確にすることが非常に重要です。
比較する商品があったり、比較する農家がいたりするからこそ、同じだと思われないために差別化をするわけで。
差別化は、比較対象があってこそ意味をもちます。
農薬を使った農産物があるからこそ、無農薬がウリになります。
世のなかに無農薬のものしかなければ、いくら無農薬だと叫んでもまったく差別化になりませんよね。
スーパーに並ぶ野菜が収穫から数日経っているからこそ、産直での新鮮さがウリになります。
収穫した当日に店頭に並ぶのが当たり前の直売所で、
うちの野菜は朝どりで新鮮だよ!
とアピールしても、周りがみんなそうなんだから差別化になりません。
差別化をしたいなら、比較対象ありき。
これは絶対におさえておいてください。
戦う相手が農家だとは限らない
次に考えなければならない重要なポイント。
その比較対象は同業者だけとは限らない。
という点です。
たとえば、
あなたがニンジン農家だとして、生産したものを農協に卸していれば販売は農協にお任せしてしまっています。
出荷したそのニンジンの比較対象は、市場に流れたときに同じように流通しているニンジン、つまりは他産地の農協かもしれません。
他産地のニンジンと比べて、うちのニンジンのほうが美味しいとか品質がいいとか、そういったウリをアピールできなければ価格競争になります。
じゃあ、あなたが自分のニンジンを自分で販売しているとしたらどうでしょうか。
もしスーパーと契約して卸していれば、市場から流れてくるニンジン、つまり先ほどの他産地農協が比較対象となるかもしれません。
これは比較対象がさきほどと同じです。
でも、地元の直売所に出していれば、比較対象は地元の農家に変わります。
ここでは、新鮮さはウリになりません。
みんな新鮮なので。
じゃあ別のウリ、美味しさとか、珍しい品種だとか、葉つきで出すとか、ほかの出品者とは違った特徴をどんどん出していく必要がありますよね。
また別の例を挙げると。
ネット通販でニンジンを売りに出せば、ネット上のショップサイトが比較対象になります。
ここでは、
注文をいただいてから収穫します!
という新鮮さのアピールができます。
生産者のこと、栽培へのこだわり、発送するときの梱包などもアピールできるポイントになります。
比較対象となるネットショップが、農家からニンジンを仕入れて売っているのだとしたら、うちは農家自身が販売しているので透明性が高くて安心できますよ、というアピールをすることもできます。
というように。
売り先が変わることで比較対象がずれたりします。
それは他の農家であったり、野菜販売業者であったり、もしかしたら加工業者になるかもしれません。
あなたのニンジンを健康食品と位置付けるなら、その他の健康食品が比較対象になります。
差別化って言うほど簡単なものではありません
このように。
よーし、差別化するぞ!
と意気込んでアピールポイントを見つけたいなら、
一.誰と差別化したいのかをしっかり意識する
二.その比較対象は同業者とは限らない
この2点を考える必要があります。
ただひたすら差別化して、自分にしかないウリをアピールしていくのではなく、そのウリは誰と比較されたときに効果があるのか、このウリで本当に差をつけられているのか、を考えましょう。
じゃないと、ウリだと思っていたものはじつはウリになっていない、差がついていないなんてことが起こりかねませんよ。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・